障害者四十六人が殺傷された相模原事件からおよそ五カ月。障害とは無縁の人々の間では、記憶の風化が加速しているようにも映ります。けれども、内心では、事件が突きつけた「優生思想」におびえているのではないでしょうか。脳性まひ当事者でもある熊谷晋一郎・東京大先端科学技術研究センター准教授と、現代社会の諸相を考えます。 <大西> 事件は、優秀な人のみに生きる価値があるという優生思想のおぞましさを広めました。でも、精神障害者が知的障害者施設を襲ったという構図に閉じ込められて、健常者にとっては人ごとという空気を生んでいるような気がします。 <熊谷> ちょっと角度を変えて見ると、障害の有無にかかわらず、現代人は「自分は明日から不要とされないか、用無しとされないか」という不安を抱えている時代だと思うのです。それが右肩上がりに強まっている。
![東京新聞:「不要な存在」になる不安 大西隆編集委員が聞く:考える広場(TOKYO Web)](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/e8f85b22c9f4c1951ac2f5e89b018d588dbad7ea/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fwww.tokyo-np.co.jp%2Farticle%2Fculture%2Fhiroba%2Fimages%2FPK2016122402100132_size0.jpg)