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bookに関するlizpicin39のブックマーク (224)

  • 入り組んだイスラエルの歴史、その問題を、解きほぐすように解説していくノンフィクション──『イスラエル 人類史上最もやっかいな問題』 - 基本読書

    イスラエル 人類史上最もやっかいな問題 作者:ダニエル ソカッチNHK出版Amazon2023年の10月7日に勃発した、イスラム組織ハマスによるイスラエルへの大規模攻撃。件については今なお目まぐるしく状況が動いていて日々ニュースが絶えないが、その背景には複雑な歴史や思想があって素人が理解するのは容易ではない。Web記事なども多数読んだが、まとまった情報がほしい時はやはり書籍に限る。 いくつか読んだが、中でもイスラエルの民主主義を達成させるためのNGO、「新イスラエル基金」のCEOの著者ダニエル・ソカッチによる『イスラエル 人類史上最もやっかいな問題』は今年(2023年)の2月に刊行されたばかりのノンフィクションで、現在の事態をフラットに、かといって事実を列挙するだけではない形でイスラエルーパレスチナ間の問題を説明していて、特におすすめの一冊だったので紹介したい。 著者は書を、ある特定の

    入り組んだイスラエルの歴史、その問題を、解きほぐすように解説していくノンフィクション──『イスラエル 人類史上最もやっかいな問題』 - 基本読書
  • 『宗教の起源──私たちにはなぜ〈神〉が必要だったのか』 ダンバー数、エンドルフィン、共同体の結束 - HONZ

    ロビン・ダンバーは、彼が提唱した「ダンバー数」とともに、その名が広く知られている研究者である。ダンバー数とは、ヒトが安定的に社会的関係を築ける人数のことであり、具体的には約150と見積もられている。ダンバーは、霊長類各種の脳の大きさ(とくに新皮質の大きさ)と集団サイズの間に相関関係があることを見てとり、ヒトの平均的な集団サイズとしてその数をはじき出したのであった。 さて、そんなダンバーが書で新たな課題として取り組むのが、「宗教の起源」である。人類史において、宗教はどのようにして生まれ、どのように拡大を遂げていったのか。宗教に関する広範な知識に加えて、専門の人類学や心理学の知見も駆使しながら、ダンバーはその大きな謎に迫っていく。 ダンバーも言及しているように、現生人類の歴史のなかで、宗教は個人や社会に対していくつかの利益をもたらしてきたと考えられる。その代表的なものを5つ挙げるとすれば、(

    『宗教の起源──私たちにはなぜ〈神〉が必要だったのか』 ダンバー数、エンドルフィン、共同体の結束 - HONZ
  • 「ブルーバックス」おすすめ10冊+α(9/28まで電子版半額セール中) - 沼の見える街

    講談社の科学系新書レーベル「ブルーバックス」が60周年記念ということで、9/28まで大規模な(史上最大らしい)電子版50%セールを開催中なので、個人的に面白かったり広めにオススメできそうなタイトルをまとめておこうと思った。 amzn.to ブルーバックスは広大な科学ジャンルを扱っているレーベル(昨年時点で出版総数2200点らしい)なので、チョイスが偏ってると思うけど…。数学とかも沢山あるのだが弱いジャンルなのであまり紹介できなかった。あと新しめのが多いです。 60周年記念の一環なのか、ブルーバックスが読み放題サービスのkindle unlimitedにもけっこうドカンと入ったので、加入して読み倒してもいいかも。いま3ヶ月無料キャンペーンもやってるそうなので(〜10/15)対象者はぜひ。 ところでオススメは「10冊」に絞ってみた…つもりだったが、いま目次を数えたら11冊あった。まぁあわ

    「ブルーバックス」おすすめ10冊+α(9/28まで電子版半額セール中) - 沼の見える街
  • 毒はどのように人間を死に至らしめるのか?──『毒殺の化学:世界を震撼させた11の毒』 - 基本読書

    毒殺の化学:世界を震撼させた11の毒 作者:ニール ブラッドベリー青土社Amazonこの『毒殺の化学:世界を震撼させた11の毒』は、その書名の通りに人間を毒殺するために用いられた11の毒について書かれた一冊になる。毒殺では常套手段といえる青酸カリやトリカブトはもちろん、一般的には糖尿病治療で用いられるインスリンなど、それらがどのように人体を死に至らしめるのかという科学。そして、歴史を振り返ったときにその毒がどう殺人に用いられてきたのかが合わせて語られていく。 取り上げられているエピソードは単なる毒殺ではなく暗殺であったり、不特定多数に向けた無差別毒殺テロにみせかけて実は特定の狙いがいたというはた迷惑なケースであったりと、犯罪・事件的に話題性にとんだものばかりで、科学と犯罪捜査で一度で二度おいしい構成になっている。おもしろいのが、発覚したケースでないと誰にも知られぬまま忘れられていくだけだか

    毒はどのように人間を死に至らしめるのか?──『毒殺の化学:世界を震撼させた11の毒』 - 基本読書
  • 2023年上半期に読んで面白かった本5選 - 本しゃぶり

    今週のお題「上半期ベスト◯◯」 俺がやるならを選ぶしかない。 2023年上半期に読んで面白かったはこれだ。 【目次】 バリューブックスとの提携 2023年上半期に読んだ 『同志少女よ、敵を撃て』 『コード・ブレーカー』 『ネットワーク科学が解明した成功者の法則』 『ある人殺しの物語 香水』 『後悔の経済学 世界を変えた苦い友情』 『シンプルで合理的な人生設計』 終わりに 2022年下半期に読んで面白かった バリューブックスとの提携 題に入る前に、一つお知らせがある。オンラインを中心とした屋バリューブックスと提携し、今回紹介するをバリューブックスの特設サイトで販売することになった。 もちろんバリューブックスで購入するだけのメリットはちゃんと用意してある。 1. クーポンコード適用で送料無料 (2023/8/10まで一度限り) 2. 16%のポイント還元 (2023/7/31まで

    2023年上半期に読んで面白かった本5選 - 本しゃぶり
  • コーマック・マッカーシー5選

    くり返し読み返す作家は少ないが、コーマック・マッカーシーの作品はその中に入っている。特に『すべての美しい馬』は今度も何度も読み返すだろう。小説でしか伝えられない美と残虐を、確かに受け取ったと信じさせてくれるからだ。 アメリカ文学を代表する作家の訃報に接し、わりと衝撃を受けている。あたりまえなのだが、人生は期限つきであり、生きて、読んでいられる時間は思ったより短いことを、あらためて思い知らされたから。 ここでは、お薦めの作品を5つ、紹介する。世界には美と残虐が仲良く同居しており、剥き出しになった暴力と向き合うときにこそ、人間とは何かが見えてくる作品だ。 ザ・ロード 氏の作品を知らない人向けの入口となる一冊。他と比べると短めで、作風と世界観を味わうのにうってつけだ。 カタストロフ後の世界を旅する、父と子の物語。 ゾンビのいない終末世界だとこんな風になるのだろう。劫掠と喰人が日常化した生き残りを

    コーマック・マッカーシー5選
  • 史上初の三年連続ヒューゴー賞を受賞した、惑星規模のサイエンス・ファンタジー三部作、ついに完結!──『輝石の空』 - 基本読書

    輝石の空 〈破壊された地球〉三部作 (創元SF文庫) 作者:N・K・ジェミシン東京創元社Amazonこの『輝石の空』は、『第五の季節』、『オベリスクの門』に続くサイエンス・ファンタジー《破壊された地球》三部作の完結巻である。なんといっても注目すべきは、歴史上はじめて三部作が三年連続でヒューゴー賞を受賞していることで、特に完結巻の作に至ってはネビュラ、ローカスも受賞しトリプルクラウンとなっている。 近年のSF・ファンタジーとしては、『三体』に並ぶ話題作中の話題作といえる。ジャンル区分としては終末・破滅SFに分類されるだろうが、最初にサイエンス・ファンタジーと評しているように、後半、特に最終巻に至ると「科学と魔法」が大きな意味を持って立ち上がってくる。単純なジャンル分けを許さない複雑さを備えた作品で、特にこの完結巻の終盤は読みすすめるたびに手が震えていくほどおもしろかった。 全部500ページ

    史上初の三年連続ヒューゴー賞を受賞した、惑星規模のサイエンス・ファンタジー三部作、ついに完結!──『輝石の空』 - 基本読書
  • 『「これから何が起こるのか」を知るための教養 SF超入門』という本を刊行します。 - 基本読書

    「これから何が起こるのか」を知るための教養 SF超入門 作者:冬木 糸一ダイヤモンド社Amazonこのブログ「基読書」を書いている冬木糸一です。3月1日に、『「これから何が起こるのか」を知るための教養 SF超入門』というをダイヤモンド社から刊行することになったので、その告知文を下記につらつらと書いていきます。このブログの読者にはまず楽しんでもらえる内容なので、ぜひ告知分だけでも読んでいってください。 の外観。440ページ超えなのでけっこう分厚い SF超入門とは何なのか 「SF超入門」と銘打っているわけなので、当然SFに入門するためのになる。歴史や作家など入門といっても無数の入り口があるわけだけれども、今回はいわゆるSF小説のガイド的な内容になっている。ただ、「SF初心者はこれを読め!」といって初心者向けを語る、ガイド記事を拡張した内容とは異なるアプローチでを選んでいる。 たとえば

    『「これから何が起こるのか」を知るための教養 SF超入門』という本を刊行します。 - 基本読書
  • 【2/21刊行】アマゾンを舞台に暴き出す20世紀文明の闇――第10回ハヤカワSFコンテスト特別賞受賞作、塩崎ツトム『ダイダロス』一章特別公開!|Hayakawa Books & Magazines(β)

    【2/21刊行】アマゾンを舞台に暴き出す20世紀文明の闇――第10回ハヤカワSFコンテスト特別賞受賞作、塩崎ツトム『ダイダロス』一章特別公開! 第10回ハヤカワSFコンテスト特別賞受賞作、塩崎ツトム『ダイダロス』を2023年2月21日(火)に刊行いたします。作は最終選考委員の東浩紀氏の激賞を受け、また他の選考委員からも大賞受賞の小川楽喜『標作家』に劣らない評価を得ての受賞となりました。今作では、レヴィ・ストロース一番弟子の文化人類学者、ナチスハンターの医師、そして〈カチグミ〉の残党を追う日系人ジャーナリストらを中心に、「陰謀論の20世紀」が見事に描き出されています。 塩崎ツトム『ダイダロス』(四六判・並製) 刊行日:2023年2月21日(電子版同時配信) 定価:2,420円(10%税込) 装幀:坂野公一(welle design) ISBN:9784152102072〈STORY〉 1

    【2/21刊行】アマゾンを舞台に暴き出す20世紀文明の闇――第10回ハヤカワSFコンテスト特別賞受賞作、塩崎ツトム『ダイダロス』一章特別公開!|Hayakawa Books & Magazines(β)
  • 書籍「ザ・パターン・シーカー 自閉症がいかに人類の発明を促したか」、ものの認知に関する視点が目鱗でお勧めです - 勝間和代が徹底的にマニアックな話をアップするブログ

    先日、こちらのを読みました。もともと、サイモン・バロン・コーエン氏の著書は共感脳とシステム化脳や、マインド・ブラインドネスのなどが好きて翻訳されているものはすべて読んでいました。 ザ・パターン・シーカー: 自閉症がいかに人類の発明を促したか 作者:Baron-Cohen, Simon 化学同人 Amazon そして、新著が出たのでさっそく読んでみたのですが、やはりおもしろい!! 要は、人間(ホモ・サピエンス)だけが、単純な経験則に基づく反復学習だけではなく、 if A and B then のような感じで、まだ見ぬ未来についてもこれまでの経験や仮説や条件節を使って、パターンを理解し、文字や言葉の活用はもちろんのこと、さらに新しい技術文化開発を可能にしたのではないか、という仮説です。 特に、4-10万年前前後に起こっているホモ・サピエンスの認知能力の急激な拡大について、言語の発達がきっ

    書籍「ザ・パターン・シーカー 自閉症がいかに人類の発明を促したか」、ものの認知に関する視点が目鱗でお勧めです - 勝間和代が徹底的にマニアックな話をアップするブログ
  • 「後味の悪さがクセになる」と話題の湊かなえ『カケラ』が文庫化!読書家たちはどう読んだ? | ダ・ヴィンチWeb

    『カケラ』(湊かなえ/集英社文庫) 自分の理想の姿くらい自分で決めたいし、自分の幸せだって、自分で決めたい。太っていても痩せていても、一重でも二重でも、背が低くても高くても、当人が幸せならば、それでいいはずだ。だが、「美」から外れているものは、それだけで不幸に思える。どうして私たちは外見というものにこんなにも固執し、人の幸せを勝手に決めてしまうのだろう。 湊かなえの『カケラ』(集英社文庫)は、そんな容姿にまつわる固定観念を炙り出す心理ミステリーだ。地の文や会話文は一切なく、一人語りだけで綴られていくスタイルは、湊のデビュー作『告白』(双葉文庫)を彷彿とさせる。全7章、章ごとに語り手を変えながら語られるのは、大量のドーナツに囲まれて自殺した田舎町の少女に関すること。多くの読書家たちの間で「後味の悪さがクセになる」として話題を呼んでいる作品なのだ。 語り手たちの話を聞いているのは、元ミス・ワー

    「後味の悪さがクセになる」と話題の湊かなえ『カケラ』が文庫化!読書家たちはどう読んだ? | ダ・ヴィンチWeb
  • 【直木賞受賞】『地図と拳』小川哲はエンタメ小説界のスター作家になるーー文芸評論家が絶賛する才能

    第168回直木賞を昨日1月19日に受賞した小川哲による長編小説『地図と拳』が、早くもAmazonの和書総合ランキングで7位に入るなど、大いに注目を集めている。 『地図と拳』は、日露戦争前夜から第2次世界大戦後までの半世紀にわたって、満洲のとある地域を舞台に繰り広げられた知略と争いの歴史を綴った骨太な長編小説だ。都市の出現と消滅を、多くの人物の運命とともに描き出した壮大な物語に、選考委員の宮部みゆきは「こんなに大風呂敷を広げられる作家は現在ほとんどいない。(中略)この作品を書き上げる上での取材と膨大な資料の読み込み、それらをしっかりと咀嚼することを惜しまなかった創作への姿勢に敬意と拍手をしたい」と手放しでの賛辞を送っている。 小川哲は、2015年『ユートロニカのこちら側』で第3回ハヤカワSFコンテスト大賞を受賞してデビュー。以降、『ゲームの王国』(2017年)、『噓と正典』(2019年)と話

    【直木賞受賞】『地図と拳』小川哲はエンタメ小説界のスター作家になるーー文芸評論家が絶賛する才能
  • 【2023年本屋大賞】ノミネート10作品決まる!書店員さんオススメの小説を一挙ご紹介します

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  • 小説好き注目の「直木賞」決まる!候補作と合わせて一挙ご紹介します!

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  • 元国立国会図書館司書が書いた「調べもののバイブル」が飛ぶように売れている理由

    ブログ「読書猿 Classic: between/beyond readers」主宰。「読書猿」を名乗っているが、幼い頃から読書が大の苦手で、を読んでも集中が切れるまでに20分かからず、1冊を読み終えるのに5年くらいかかっていた。 自分自身の苦手克服と学びの共有を兼ねて、1997年からインターネットでの発信(メルマガ)を開始。2008年にブログ「読書猿Classic」を開設。ギリシア時代の古典から最新の論文、個人のTwitterの投稿まで、先人たちが残してきたありとあらゆる知を「独学者の道具箱」「語学の道具箱」「探しものの道具箱」などカテゴリごとにまとめ、独自の視点で紹介し、人気を博す。現在も昼間はいち組織人として働きながら、朝夕の通勤時間と土日を利用して独学に励んでいる。 『アイデア大全』『問題解決大全』(共にフォレスト出版)はロングセラーとなっており、主婦から学生、学者まで幅広い層か

    元国立国会図書館司書が書いた「調べもののバイブル」が飛ぶように売れている理由
  • またまた早川書房1600作品が50%割引の大型電子書籍セールがきたので、SF・ノンフィクション中心にオススメを紹介する - 基本読書

    早川書房の1600作品が最大50%割引という大型の電子書籍セールが来たので、僕が読了済みのものからオススメを紹介しよう。早川書房は定期的にこの規模のセールをやることで知られているが、そのたびにラインナップが異なる。特に、前回のセール時には刊行間もなかった作品なども今回は多数セールに入っているので、今回は主に2022年1月〜以降に刊行されたセール品を中心にオススメを紹介していこう。 Amazon.co.jp: [プライムデー] Kindle最大70%OFF:早川書房タイトル: Kindleストア まずは目玉のSFから紹介していこう。 早川書房公式ページの刊行年月リストから一個一個セールになっているかな……と確認していったのだが(Kindleページの検索機能が劣悪なので)、今回は特に小説が豊作だった印象。たとえば、最初に紹介しておきたいのは春暮康一の『法治の獣』 法治の獣 (ハヤカワ文庫JA

    またまた早川書房1600作品が50%割引の大型電子書籍セールがきたので、SF・ノンフィクション中心にオススメを紹介する - 基本読書
  • この本がスゴい!2022: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる

    「いつか読もう」はいつまでも読まない。 「あとで読む」は後で読まない。 積読をこじらせ、「積読も読書のうち」と開き直るのも虚しい。人生は有限であり、が読める時間は、残りの人生よりもっと少ない。「いつか」「そのうち」と言ってるうちに人生が暮れる。 だから「いま」読む。 10分でいい、1ページだっていい。できないなら、「そういう出会いだった」というだけだ。「いま」読まないなら、「いつか」「そのうち」もない。 に限らず情報が多すぎるとか、まとまった時間が取れないとか、疲れて集中できないとごまかすのは止めろ。新刊を「新しい」というだけの理由で読むな。積読は悪ではないが、自分への嘘であることを自覚せよ。「いま」読むためにどうしたらいいか考えろ。「」にこだわらず読まずに済む方法(レジュメ、論文、Audible)を探せ。難解&長大なら分割してルーティン化しろ。こちとら遊びで読書してるんだから、仕事

    この本がスゴい!2022: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる
  • 第12回アガサクリスティー賞大賞受賞作にして、医療的な仮想空間・介助用ロボットの可能性を謎解きと絡めて描き出す意欲作─『そして、よみがえる世界。』 - 基本読書

    そして、よみがえる世界。 作者:西式 豊早川書房Amazonこの『そして、よみがえる世界。』は第12回アガサ・クリスティー賞の大賞受賞作である。前回のアガサ・クリスティー賞の受賞作は話題沸騰の逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』だったのでその次の選考にはさすがにプレッシャが(大賞決定後には著者にも)かかったと思うが、作も『同志少女〜』とは別方向で新たな書き手の可能性を切り開いてくれるような作品だ。ジャンル的にはSF要素がガッツリ謎の発生とその解決に関わってくるタイプのミステリで、SF読者的にも満足度が高い。 あらすじ・世界観など。 物語の主な舞台になっているのは2036年。仮想空間であるVバースや介助用ロボット技術が発展し、身体障がい者にとっても(2022年と比べると)比較的過ごしやすい環境が整っている時代。物語の主人公である牧野は、事故で脊髄を損傷して首から下の運動と知覚を完全に失ってしま

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  • 『三体』の劉慈欣を代表するような作品が集められた、同時刊行の短篇集2冊──『流浪地球』『老神介護』 - 基本読書

    流浪地球 (角川書店単行) 作者:劉 慈欣,大森 望,古市 雅子KADOKAWAAmazonこの『流浪地球』と『老神介護』は、『三体』で知られる中国を代表する作家劉慈欣の短篇集である。なぜ同時に二冊出てるんだ、と思うかもしれないが、KADOKAWAが翻訳権を得た劉慈欣の短篇11篇(原著者側のセレクトによるもので、最初の英訳版短篇集とほぼ同じ)が、分量的に1冊で収まりきらなかったので分冊したようだ。 よって、分冊というか、上下巻みたいなものなので今回は同時に紹介しよう。いちおう作品傾向ごとに分けられていて、『流浪地球』(6篇収録)は全宇宙規模の物語が中心で、『老神介護』(5篇収録)は、地球を舞台にした作品が多い。繋がりのある短篇は一冊でまとまっているので、どちらを読むか、どちらから読むかは完全に自由だ。 すでに劉慈欣の短篇集としては早川書房から刊行の『円 劉慈欣短篇集』があるが、そのすべて

    『三体』の劉慈欣を代表するような作品が集められた、同時刊行の短篇集2冊──『流浪地球』『老神介護』 - 基本読書
  • 科学の世界に革命をもたらしえる力──『因果推論の科学 「なぜ?」の問いにどう答えるか』 - 基本読書

    因果推論の科学 「なぜ?」の問いにどう答えるか 作者:ジューディア・パール,ダナ・マッケンジー文藝春秋Amazonこの『因果推論の科学』は、その名の通り因果推論について、その先駆者の著者が書いた一般向けのサイエンスである。とはいえ、大半の人の反応は「因果推論ってなんなんだ」であろう。僕も何もわからぬまま読み始めたが、著者がこれは「科学の世界の革命」であると自賛するだけのことはある概念であることはすぐにわかった。 その一方、相当に難しい、とっつきづらい概念でもあり、いかな一般向けの著作といえども書を読んで理解するハードルは他のサイエンスと比べても高いといえるだろう。数式も出てくるし、統計学の用語もぽこぽこ出てくるので、素人がスルスルと読み通せるではない。とはいえ根気強く読んでいけば理解できるように書かれているし(数式自体は別に読み飛ばしても問題はない)、理解すれば因果推論の科学がいか

    科学の世界に革命をもたらしえる力──『因果推論の科学 「なぜ?」の問いにどう答えるか』 - 基本読書