「原判決を破棄する」 主文を聞き、法廷でメモをする遺族の手が止まった。 裁判長の言葉が続き、やがて遺族の目から涙がこぼれた。それは想定してきた中で最悪の判決だった。 無謀な運転を罰する危険運転致死傷で、一般感覚とズレた司法判断がなくならない。 国会で審議が始まった改正法案は被害者たちを救うのか。 法定最高速度の3倍で衝突 大分市で2021年、交通死亡事故で弟を亡くした長文恵(おさふみえ)さん(60)は今年1月、福岡高裁で検察官の隣に座り、裁判長が読み上げる判決を聞いた。 被告は当時19歳だった男性(24)。高級外車を時速194キロで運転し、県道交差点で長さんの弟、小柳憲さん(当時50歳)が運転する車に衝突した。 双方の車が大破し、下半身を粉砕骨折した小柳さんは命を落とした。 県道の法定最高速度は時速60キロ。被告は3倍以上の猛スピードを出していた。 「進行を制御することが困難な高速度」で人

