あの人とのデートの帰りでしたから、多分10年くらい前のことだと思います。 郊外の駅を降りてすぐのところに、広場やロータリーがあって、その先に商業施設がありました。広場を抜けて少し歩いて、彼の家まで歩こうと、駅を出て歩いていくと、ふらふらと怪しげな感じで歩いているおじいさんに遭遇しました。そのおじいさんは時折、何かを言いながら歩いていました。 最初、わたしたちと同じ方向に歩いて行き、そして、戻ってくる感じで、行ったり来たりしています。夕方の早い時間でしたが「酔っているのかな?」と思って、ふと見ると、手には刃物のようなものが握られていました。 わたしたちを通り過ぎ、またこちらに戻ってきます。わたしたちがそのまま歩いていると、そのおじいさんと正面から出会うことになります。 「こっちに行かないで、あっちを歩こうよ」 と、彼に小声で言いましたが、彼はまったくおじいさんに気がつかず 「え?なんで?こっ