樹徳中高一貫校 「医療倫理・医系 小論文講座 特別講演会&シンポジウム」*1 講師: 松本卓也氏(精神科医/自治医科大学附属病院) 医療目線を問い直すイベントを中高生向けに企画していること、そしてレベルの高い話をなさった講師がまだ20代の精神科医であることが、すばらしい。 「こんなイベントを、医療目線におびえていた10代の自分が聴けていたら・・・」と思わずにいられない。 わたしたちは、一般に、医師は「くもりのない眼で」「ありのままに」患者の病気を診ている、と思いがちです。しかし、松本先生によれば、そもそも「くもりのない眼」や「ありのまま」の対象のあらわれなんてありえないのだ、ということです。 医師の「患者」へ迎えるまなざし、「治療」という観念、そして「患者」や家族の要望さえも、その時代や社会に特有な「構造」によってすでに規定されている、のです。そうすると、医学は「進歩してきた」のでなく、た