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ブックマーク / blog.livedoor.jp/yamasitayu (5)

  • 神門善久『日本農業への正しい絶望法』(新潮新書) 5点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    9月20 神門善久『日農業への正しい絶望法』(新潮新書) 5点 カテゴリ:社会5点 『さよならニッポン農業』(NHK生活人新書)が非常に面白かった神門善久による2冊目の新書。単純な農業保護論でも、経済学の立場からでもない提言というスタンスは変わらないのですが、東日大震災であまりに「憂国の情」が強くなってしまったのか、今回のは冷静な議論とはいえない部分も多く、やや残念な感じです。 著者は、日の農業が「危機」であると考えていますが、その危機の原因を「輸入自由化」や「行き過ぎた保護」、「農協」などに見るのではなく「技能の消滅」に見ています。 近年、マスコミでたびたび農業がとり上げられ、一種の「農業ブーム」が起きていますが、そこでスポットライトの当たる新しく農業にチャレンジする人による無農薬有機栽培や、企業による「野菜工場」などは、いずれも日の農業の強みである土づくりを始めとする「技能」

  • 新雅史『商店街はなぜ滅びるのか』(光文社新書) 8点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    5月23 新雅史『商店街はなぜ滅びるのか』(光文社新書) 8点 カテゴリ:社会8点 商店街というのが20世紀になって「発明」されたものであり、その担い手が「近代家族」であったためにその存続は必然的に厳しいものだった。 そんな商店街の形成と衰退を社会学的視点から描いたのがこの。マクロ経済についての分析にやや問題があるのですが、その着眼点と商店街の位置づけ方は非常に面白いです。 京都の錦小路、東京の浅草寺仲見世など、商店街というと長い伝統の上に形成されたきた印象がありますが、全国の商店街のほとんどは20世紀になってつくられたもので、その背景には日の労働事情がありました。 このではそれを次のように述べています。 二〇世紀前半に生じた最大の社会的変動は、農民層の減少と都市人口の急増だった。都市流入者の多くは、雇用層ではなく、「生業」と称される零細自営業に移り変わった。そのなかで多かったのが、

  • 今野真二『百年前の日本語』(岩波新書) 9点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    9月29 今野真二『百年前の日語』(岩波新書) 9点 カテゴリ:芸術・文学9点 「明治期の日語がいかに表記されたのか?」という、かなり細かい話題を追っているなのですが、これが面白い! 漢字の字体、振り仮名、外来語、「同語異表記」と「異語同表記」、「消えたひらがな」、辞書の変遷などのトピックを通じて、明治期の言葉の揺れと、その揺れの終息、そして日語に起きたこの100年の大きな変化が見えてきます。 著者は、まず明治期のテキストの現物を徹底的に見ていきます。 例えば、夏目漱石の手書きの原稿。その中の漢字には「楷書体」「草書体」「行書体」が混在しており、またいわゆる「旧字体」である「康煕字典体」と「新字体」である「非康煕字典体」の両方を見ることができます。 さらに行頭に句読点が来る例もあり、「禁則処理」がなされていません。 このようにある意味で明治期の日語というのは「自由」です。 「元始

    lotus3000
    lotus3000 2012/10/05
    変体仮名があまりにも軽視されすぎるのは前々から気になっている。
  • 外村大『朝鮮人強制連行』(岩波新書) 9点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    4月30 外村大『朝鮮人強制連行』(岩波新書) 9点 カテゴリ:歴史・宗教9点 この手の日の加害責任について書かれたでは、「左」の人がその中でも特に悲惨な目にあった人々の証言を用いて日の国家と国民の加害者としての責任を告発し、一方で「右」の人々はうまくいったいくつかのケースを出してきて「そんな悲惨な例だけではない」と否定する展開になりがちです。 しかし、このはそのどちらでもなアプローチになっています。 著者は、朝鮮人の強制連行について、日の残した公文書を中心にその実態を丹念に追い、そこに日の植民地支配と戦前・戦中の日社会の矛盾を見出しています。 例えば、朝鮮人の強制連行を否定する議論として用いられるものに、朝鮮人の日への「密航」の存在があります(著者が46pで指摘するように日帝国臣民である朝鮮の人びとが日に来ることを「密航」とするのは来ならばおかしい)。 「朝鮮から日

  • 伊藤邦武『経済学の哲学』(中公新書) 7点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    10月22 伊藤邦武『経済学の哲学』(中公新書) 7点 カテゴリ:政治・経済7点 ジョン・ラスキン、多くの人は名前は聞いたことはあるが具体的に何をしたのかというとわからないというような存在だと思います。 もちろん絵画に詳しければターナーの擁護者としてのラスキンを知っているかもしれませんし、デザインに詳しい人ならウィリアム・モリスに大きな影響を与えた人として、あるいは環境保護に関心のある人ならナショナル・トラスト運動の元になる運動を始めた人として名前を知っているかもしれません。 そんな多面的な活動をしたジョン・ラスキンの経済学批判を読み解き、現代社会においてクローズアップされてきたエコノミーとエコロジーの調和の問題を考えようとしたです。 著者は伊藤邦武は歴史学者でも経済学者でもなく哲学者。今までも『ケインズの哲学』などで経済学における合理性の問題などを扱い、パースやジェイムズのプラグマティ

    lotus3000
    lotus3000 2011/10/23
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