戦国時代で最も優れた戦術家は誰か。東京大学史料編纂所教授の本郷和人さんは「それは毛利元就だろう。元就は圧倒的に兵力差のある戦闘にも勝ち続けた。一方、天下統一を果たした徳川家康にはそうした華々しい戦績はなく、戦術面では平凡な武将だった」という――。(第2回) 【画像】本郷和人『徳川家康という人』(河出新書) ※本稿は、本郷和人『徳川家康という人』(河出新書)の一部を再編集したものです。 ■2度と博打的な戦をしなかった織田信長 基本的に戦いは、兵力が多いほうが勝つ。この原則を踏まえた上で、優秀な兵器をそろえて、そしてしっかりとご飯を食べさせる。そうして戦っていくわけです。 だから戦国大名たちも富国強兵を進めて領民を増やし、商業を振興した。そうして兵を増やし、金を儲けて優秀な武器を購入する。またしっかりと食糧を整えて戦いにのぞむ。そうしたことができる人が優秀な戦国大名であって、三国志の諸葛孔明(
自民党が検討している新型コロナウイルスの感染拡大に伴う農業分野の経済対策の骨格が24日、判明した。和牛などの需要を喚起するため、購入を促す商品券を発行。肉用牛肥育経営安定交付金制度(牛マルキン)の負担金免除、花きの次期作支援、人手不足解消に向けたスマート農業の推進などを盛り込む方向だ。 続きを読む
6月24日に福岡でおきてしまったHagexさんの刺殺事件から、もう3週間以上が経過しています。 正直、この事件についてはまだ全ての真相が明らかになったわけではありませんし、いまだに自分の中では整理ができていない点も多々あるのですが。 このまま事件を風化させるのは良くないのではないかという複雑な思いが、どうしても頭の中でぐるぐるぐるぐると空回りしてしまうのと、この事件に関する取材の打診を受けたこともあり、一度自分なりの整理を書きだしてみたいと思います。 今回の事件は、直接面識がなかった容疑者と被害者が、オンライン上での投稿がきっかけとなって発生してしまった殺人事件ということで、事件発生直後は情報が錯綜し、メディアの報じ方や、言及の仕方に対しても様々な問題提起がなされました。 特に初期の報道では、容疑者と被害者が直接ネット上で論争をしていた結果、今回の事件が発生したという誤解をしたままの報道も
採決が強行された高プロ2018年5月25日、衆議院の厚生労働委員会で、遺影を掲げた過労死ご遺族が多数見守る中、高度プロフェッショナル制度の採決が強行され、5月31日にも衆議院を通過するとも言われています。 たとえば、2016年9月に労災認定され、大きな社会問題になった電通過労自死事件のご遺族・高橋幸美さんは、高度プロフェッショナル制度に反対する集会に向けて、こんな悲痛なメッセージを出していらっしゃいます。 高度プロフェショナル制度の対象の人は24時間ぶっ通しで働いても死なない!病気にならない!って誰が担保してくれますか?誰も生き返らせてくれません!死んでも誰も責任とってくれません! 自己責任にされます。年収1075万円で悪魔にいのちを売ってはいけない!高度プロフェショナル制度を適用する業種でかつ年収1075万円 以上とされているが、いずれ経団連は政府に適用年収を下げた改定を求める魂胆じゃな
エアコンをつけたままにしたがらない理由夜間も気温が25℃を下回らない「熱帯夜」の季節がやってきた。2007年夏に東京23区実施されたアンケート調査では、25℃を下回らない熱帯夜条件になると睡眠障害の人が増加し、特に暑さの厳しい都心・内陸部では、30%近くにも上った(1)。省エネルギー意識が高まっているとは言え、エアコンの冷房なしに夏の夜を過ごすことは考えにくくなっている。 一昔前ならば、エアコンは寝つくときだけつけておき、寝ついたところの時間でオフになるようにタイマーをセットしておくのが、一般的だった。しかし昨今のこの暑さでは、エアコンが切れれば、暑さのあまりたまらず目覚めてしまう人も多いだろう。寒くなりすぎないようにやや高めの温度に設定して、一晩中エアコンをつけておくというアドバイスが、最近では主流である。 ただこのように助言すると、 「エアコンつけっぱなしで寝ると、次の朝だるいんですよ
「太りやすい」「空気が読めない」「勝負に弱い」、そんな悩みの原因は、もしかしたら「睡眠負債」かもしれない――わずかな睡眠不足が積み重なり、知らないうちに命に関わる病気のリスクが高まったり、仕事のパフォーマンスが大幅に低下したりしてしまう。そんな「睡眠負債」と呼ばれる状態が、日本人の、特に働き盛りの人々に蔓延しているという。睡眠負債の弊害は個人だけでなく国家レベルにも波及しており、世界的シンクタンクによる分析では、日本だけで年間15兆円の経済的な損失を生んでいるとも指摘されている。睡眠負債の実態と、対策について取材した。(取材・文=NHKスペシャル「睡眠負債が危ない」取材班/編集=Yahoo!ニュース 特集編集部) 「きちんと寝ているはずが、通勤時間や仕事中につい、うとうとしてしまう」 「仕事や家事で、思わぬミスをしがち」 「特に原因が見当たらないのに疲れやすい」 こうした症状に少しでも心当
保育士になる夢を支えるみどり(仮名)は来春、短期大学の保育学科を卒業する。 中学時代からの夢だった保育士になる予定だ。 あと1回の実習を残すのみだ。 みどりの家庭は、貧しかった。そして荒れていた。 みどりは、6人兄妹の上から3番目。上の兄2人はすでに実家を出ていたので、みどりが弟や妹の面倒を見た。 弟たちの面倒を見るために高校には行かない、と言っていた時期もある。 しかし、保育士にはなりたかった。 周囲が後押しした。 無料塾で学習し、高校に進学した。 みどり。地域のソフトボールクラブでも活躍している高校は、無欠席、無遅刻、無早退で通した。 39度の熱があっても、登校した。 「意地だった」とみどりは笑う。 でも、高校から先の進学の見通しはなかった。 高校2年生のとき、みどりを取りあげた新聞記事が出た。 それを読んだ京都の松田嘉子さんは、新聞社に手紙を書いた。 「女性が社会に必要とされる時代に
特定のキュレーションメディアの記事が、ここ最近、さまざまな分野で、急速に検索順位を上げていることが話題になっている。命に関わる病名の検索結果も例外ではない。 日本の5大がんは胃がん・大腸がん・肝臓がん・肺がん・乳房がん、3大血液がんは白血病・悪性リンパ腫・多発性骨髄腫だ。これらは当然、命に関わるがんであり、それを患ったり、疑われたりしたら、不安にもなるだろう。 不安になった人々がどうするか。インターネットが普及しきったこの時代には、検索をする。そこで、2016年9月10日時点での「多発性骨髄腫」という病名の検索結果の上位を確認してみよう。 2016年9月10日時点での「多発性骨髄腫」クリックしてそれぞれの運営元を調査すると、検索結果の1番目は慶応大学医学部血液内科のサイト、2番目は『がん情報サービス』という国立がん研究センターがん対策情報センターのサイト、3番目は『welq』というDeNA
パリに本部を置くNGO「国境なき記者団」が発表した「報道の自由ランキング」で、日本が180ヵ国中、72位とされたと伝えるテレビ朝日の報道ステーションで、ジャーナリストの後藤謙次さんが、「実感がない」とコメントしたことが、一部ではかなり批判をされていた。 だが、「実感がない」というのは、かなり控えめな言い方ではないか。 ピンとこないランキングこのランキングで47位のポーランドでは、昨年暮れに憲法裁判所の権限を大幅に制限する法律を作り、さらには今年1月、公共放送や通信社を国有化し、幹部人事を掌握するなど、報道機関の独立性を制限する法案が成立。政府は直後に公共放送のトップを交代させた。これについて、EU欧州委員会が予備調査を始めると報じられている。 67位のハンガリーの現政権も、一足先に裁判官の退職年齢を早めたりメディア規制の法律を次々に行ってきた。70位の香港では、中国共産党に批判的な書籍の出
「シュートは打たなければ入らない」 「とりあえずシュートを打っておけ」 長年に渡り「決定力不足」が叫ばれる日本サッカー界の指導現場ではいまだにシュートの理論と論理的指導へのアプローチが少なく、それゆえに冒頭のような声が監督、コーチから飛び交う。そのためか、日本にはシュートが外れてもチームメイトから打った選手に「ナイスシュート」なるかけ声(なぐさめ?)も出るのが常識となっている。 そんな常識を真正面から覆すような取り組みを行なっているのが、大学サッカーで今年関西1部リーグに復帰を果たした同志社大学だ。 4月9日(土)に開幕した2016年度 第94回関西学生サッカーリーグ(前期)1部リーグ第1節で昇格組の同志社大学は、昨年度のリーグ戦とインカレ(全日本大学サッカー選手権大会)で準優勝している全国区の強豪・阪南大学を破るアップセットをいきなり起こした。 確かに阪南大からすれば主力選手が複数名ケガ
交通事故の大きな原因となっているのが信号無視や一時停止無視。最近は高齢ドライバーによる信号の認知ミスも問題になっており、対策は待ったなしの状況と言える。一方、自動運転技術の進化により、今や信号や一時停止標識の判別など容易になった。スバルの『アイサイト3』は先行車のブレーキランプを判断して早めの制御を入れており、ホンダの『ホンダセンシング』も一時停止を見て表示させている。 上の写真はホンダセンシング付きステップワゴンの表示。クルマに付いているカメラで一時停止標識を認識し、ドライバーへ注意喚起してもらおうというもの。ここまで出来るのなら一時停止標識手前で減速しなかった場合、自動的にアクセルを戻したり弱いブレーキを掛けたり出来ないのだろうか? 関係者に話を聞くと「出来ます」。注意喚起の方法だって、表示だけでなくハッキリ解る音を使えばいい。 実際、赤信号を明確に判断できる性能持つメーカーが国交省に
日本国憲法 第五十三条 内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。 国会法 第三条 臨時会の召集の決定を要求するには、いずれかの議院の総議員の四分の一以上の議員が連名で、議長を経由して内閣に要求書を提出しなければならない。 憲法53条を読めば分かるように、議院の総議員の四分の一以上の要求があったときは、内閣は、臨時国会の召集を決定しなければなりません。なお、直接的に「召集しなければならない」と書いていないのは、召集自体は憲法7条2号で天皇が行う国事行為だからです。天皇の国事行為は「内閣の助言と承認」に基づいて行われ、天皇の独自の判断は許されません。結局、内閣が召集を決定すれば、臨時国会は召集されるのです。 なので、例えば参議院のホームページには端的に下記のように記載してあります。 どち
国から補助金を受けた企業からの閣僚に対する不正献金問題で安倍政権が揺れています。しかし、「自民党からは「これで打ち止めだろう」(幹部)と余裕の声も出ている。」とのことです(2月27日毎日新聞)。安倍首相も国会答弁で「首相は「補助金は知っていたかどうかが要件で、冷静に議論すべきだ」と強調し」(2月28日日経新聞)と述べ、問題なしとの姿勢を取っています。 刑事処罰に必要な故意について刑事罰を問う際には一般的に「故意」が必要です。例えば、殺人罪であれば単に人を死にに至らしめる行為をするだけではなく、典型的には殺すつもりでその行為をしなければなりません。その「殺すつもり」の部分を刑法では「故意」といいます。ただ、ここが重要なのですが、故意と言っても、例えばナイフで刺す瞬間に「死ね、死ね」と念じている必要はなく、殺傷能力のある刃物で人を刺すことについて事実の認識があれば、殺人(刃物の持ち方や刺した強
またまた「残業代ゼロ」制度(「定額¥働かせ放題」制度)のお話です。 今回は「残業代ゼロ」制度の健康確保措置を少し注意深く見てみましょう。 前回、八代尚宏先生の署名記事を批判した拙稿(過労死を促進させる「残業代ゼロ」法案を「過労死防止法案」と呼ぶべきとする珍論について)でも指摘しましたが、「残業代ゼロ」制度には、健康確保措置というものがあります。 健康確保措置内容は、次のとおり。 <健康管理時間に基づく健康・福祉確保措置(選択的措置)> ・ 健康管理時間に基づく健康・福祉確保措置について、具体的には、制度の導入に際しての要件として、以下のいずれかの措置を労使委員会における5分の4以上の多数の決議で定めるところにより講じることとし、決議した措置を講じていなかったときは制度の適用要件を満たさないものとすることが適当である。 (1) 労働者に24 時間について継続した一定の時間以上の休息時間を与え
・「一人負け」の次世代第47回衆議院議員総選挙の結果が出揃った。自民党は改選前(293)からわずかに2議席減らして291議席。公明党は同じく4議席増の35議席。結果、自公の与党では改選前から2議席増の上積みとなった。しかも選挙区定数が5削減された事を考えると、「さらに増」と言えなくもない。自公政権にとっては「大勝利」である。 一方、民主党は海江田党首が落選という衝撃の事態に陥ったとはいえ、11議席増の73議席で「そこそこの数字」。苦戦が予想された維新は、1議席減の41議席を確保し「かなり善戦」。選挙のたびに「消滅」が危惧された社民党は現有2議席を死守して何とか「踏ん張」り、逆に共産党は改選前の3倍弱となる21議席を獲得して大きく躍進し、「大勝利」である。 そんな中、「自民党より右」を掲げて選挙戦を戦った次世代の党。改選前の19議席から、ほぼ10分の1の「2議席」にとどまり、社民党と同数とな
人間関係を良好にするために、コミュニケーション能力を高めることは極めて重要です。家庭においても、職場においても、地域社会においても、顔を合わせるたびに挨拶をしたり、立ち止まって軽いお喋りをすることで、信頼関係は構築されていくもの。問題を解決するため、自分の成長を促すための「実のある話」もいいですが、日ごろの「実のない話」も大切なのです。 ところが、そのような「実のない話」――つまり雑談や世間話をしても、うまく噛み合わない人がいます。正直なところ本人に自覚がないケースが多く、意識させることは厄介ですが、「話し手」からすると、いつ話しても噛み合わないので「シックリ」きません。どんなケースが考えられるでしょうか。たとえば、以下の会話文を読んでみましょう。 A:「ジャイアンツの菅野選手はスゴイな。入団3年目で年俸1億1千万円だって。高橋由伸選手や、松坂大輔選手に続いて3人目らしいよ。社会人になって
今月6日にプレジデントオンラインに掲載したコラム「日本男子は、なぜベビーカー女子を助けないのか」は、24時間で1万件を超えるツイートがなされた。内容の9割以上が筆者の僕に対する非難・抗議・罵倒。「これが炎上というものなのか」と気づいたときは遅かった。 炎上の具体的な経緯と心境については本日発売の『週刊文春』に書いた。ベビーカーに関する考え方の変化(変化のなさ)は、ベビーカー使用者であるフリー編集者の洪愛舜さんとの対話を11月頭に「エコン-マグ」に載せる予定だ。ここでは、「なぜ炎上したのか」について文章論に限って書いておきたい。今後の「火の用心」のために……。 コラムは3ページ構成になっている。1ページ目は「僕は手助けしますよ」という小見出しで、ベビーカーなどを持っている女性を僕自身は手助けしている様子を描いた。善意のページである。 2ページ目は一転して「ベビーカーは親のためのもの」との小見
時系列による事実整理弁護士が事件の事実関係を整理するときは、とにかく起こったことを時系列にまとめます。そこで、朝日新聞の「福島フィフティーの真相」、大分合同新聞(共同通信配信)の記事「全電源喪失の記憶~証言福島第一原発~」を読み比べ、記載してある事実を時系列にしてみました。最後に添付しておきます。 まず、朝日新聞は吉田所長がテレビ会議でした「構内退避」の発言と吉田調書をもとに、9割の職員が第二原発(F2)へ退避したことを「命令違反」としています。 放射線量が測られた。免震重要棟周辺で午前7時14分時点で毎時5ミリシーベルトだった。まだ3号機が爆発する前の3月13日午後2時すぎと同程度だった。吉田の近場への退避命令は、的確な指示だったことになる。 ところがそのころ、免震重要棟の前に用意されていたバスに乗り込んだ650人は、吉田の命令に反して、福島第一原発近辺の放射線量の低いところではなく、1
先日、結婚したばかりの友人の男性がこんなことを言った。 「子どもができても奥さんにはずっと働いてほしい。だって、専業主婦の子どもってかわいそうじゃない? 社会を知らない世間知らずな母親に育てられるってことだよ」 ひどい偏見だと感じる人が多いだろう。私もそう思う。配慮がない、決めつけの強い意見だと思う。彼自身、友人である私との1対1の会話だから言ったのであって、きっと実名で行っているSNSでこんなことを発言しないはずだ。 ただ、逆のことを言う人は少なくない。それはずっと当たり前のように言われてきた。 「共働きの家の子って、かわいそうだよね」 「子どもが小さい時にお母さんがそばにいないのって、かわいそうだよね」 ■「かわいそう」かどうかを決めるのは子ども自身 先日発表された、マッチアラーム社が行った調査によれば、20~30代の独身男女のうち、約8割が結婚後に共働きを希望しているという。経済的な
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