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「今の日本社会を見て、いちばん足りないと思うのが“成熟”」と語るのが、思想家の内田樹氏だ。「未成熟であることは誤りでも罪でもないが、まっとうな大人の比率が高まれば、たいへんに住みやすい世の中になる。ところが、今の日本社会には大人がいなくなった」と内田氏は指摘する。大人の頭数を増やすためにはどうすればいいのか。新著『街場の成熟論』を上梓した内田氏に聞く(全2回の1回目)。 子どもの知性的・感情的成熟を支援した人が「大人」 ――日本社会から「大人」が消えつつあるとはどういうことでしょうか。 「大人」をどう定義するかは難しい問題です。僕の個人的な定義を申し上げれば、大人というのは「周りの子どもたちの知性的・感情的な成熟を支援できる人」のことです。つまり、結果的に「大人」を創り出してくれるのが「大人」だということです。なんだか、同語反復みたいですけれど。 「大人」というのは、個人単体についての属性
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新型コロナウイルス・ワクチンをファイザーなどのビッグファーマーと並んで世界へ供給する、2010年に設立されたばかりのベンチャー企業モデルナ。 モデルナは「製薬業界のアマゾン」である、私はそうみています。 拙著『モデルナはなぜ3日でワクチンをつくれたのか』でも詳しく解説していますが、例えば、モデルナは創業以来、自動化やロボティクス、アナリティクス、データサイエンス、AIなどに1億ドル以上を投資してきた、最先端のテクノロジー企業であること。また、製品・サービス単独ではなく、それらを生み出すプラットフォーム戦略に注力していること。これらはいずれも、アマゾンが既存のEC(電子商取引)小売りと一線を画し、世界最強のエブリシングカンパニーへと成長したポイントと重なります。 そして、何より私が強調したいのは、モデルナの企業としてのポテンシャルです。 オンライン書店として創業したアマゾンですが、その後は家
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一生のうちにすい臓から分泌されるインスリンの総量については、生まれつき決まっている、と考えられています。元来、日本人を含むアジア人は、インスリンを分泌する能力(インスリン分泌予備能)が欧米人に比べて低いとされています。そのため、アジア人はそれほど太っていなくても、糖尿病になりやすいのです。 というのも、肥満によってインスリン抵抗性が強まると、下がらない血糖値を下げるためにより多くのインスリンが分泌されるようになります。ただでさえインスリン分泌予備能が低いアジア人は疲弊・枯渇が早くなり、糖尿病になってしまうわけです。 なぜ太った欧米人は糖尿病にならないのか? 一方、欧米人にはアジア人ではあまりお目にかかれない、超肥満な人が存在します。たとえば、元大関の小錦さんのような体型の人。小錦さんはあれだけ太っていても糖尿病ではないといいます。 小錦さんはハワイ出身のポリネシア系でアジア人の系統ではあり
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台風19号がもたらした各地の水害。全容はまだ明らかになっていない。堤防決壊は7県59河川に達したが(10月16日現在)、未確認の地域もあるため今後も被害は拡大しそうだ。 東京をはじめとする大都市圏でも、近年に例のない浸水被害がもたらされた。多摩川の氾濫は誰もが予想していなかったことだろう。 東京都世田谷区の東急電鉄「二子玉川駅」付近の多摩川では、堤防の整備していない場所から川の水があふれ出し、住宅街へと流れ込んで膝の辺りまで冠水した。川の反対側の神奈川県川崎市では、水没したマンションの住人が死亡している。大田区田園調布でも浸水被害が発生。また、多摩川最大の支流とされる秋川では堤防が決壊した。 今回とりわけ世相を最もよく表していたのは、人気エリアとして知られる武蔵小杉における大規模な浸水被害と、それをソーシャルメディア上やネット掲示板などであざ笑う風潮だ。 SNSで「武蔵小杉ざまあ」との投稿
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子どもは親が望むようには動いてくれないものです。なかなか勉強してくれませんし、テストでいい点を取ってもくれません。翌日の支度をしてくれませんし、お手伝いもしてくれません。 子どもに言うことをきかせるためにはやむなし? そんなとき、親がつい手を出してしまうのが、お金や物で釣る“ご褒美方式”です。たとえば、自分で勉強したら10円、テストで100点を取ったら100円、洗濯物をたたんだら10円などです。ご褒美で釣ると、子どもは重い腰を上げてくれます。でも、これってどうなんでしょう? 弊害はないのでしょうか。 このことを考えるうえで、私の教師としての体験を2つ紹介します。まず1つ目。ある年、私は4年生を受け持っていたのですが、運動会の競技で盛り上がっているとき、私は子どもたちに「さあ、みんなで赤組を応援しよう」と言いました。すると、井上君(仮名。以下、名前はすべて仮名)が「先生、応援したら、いくらく
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医学部などの難関校に受かる生徒の特徴として、今回は「講義の聞き方、ノートの取り方」という視点から少しお話ししたい。 これも私の実体験を紹介しよう。医学部入試に特化したやや難しい生物の講義を担当していた頃、興味深い生徒がいた。 その生徒は東京の私立中高一貫校出身の男子で、いつも講義室の前のほうに座り、私の話によく耳を傾けていた。こちらに顔を向け熱心に話を聞いている風なので、最初は何ら気にとめることはなかった。 忙しくペンを走らせる生徒が大半の中…… だが、いつしか彼の挙動が気になり始めた。それは、私が黒板に書く膨大な板書を必死にノートにメモしているわけではないと分かったからだ。 ある日のことである。その日は細胞生物学の基本事項を扱う日で、動物細胞と植物細胞の違いについて説明していた。植物細胞では老廃物や色素を含む液胞が発達していること、植物細胞の外側が細胞壁で囲まれている点で両者には大きな違
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