完璧な平等、そんなあり得ないものを希求するのも悪くはない。 およそ理想などとというものは、叶わないくらいに高くあるべきだと思う。理想的でない現実をただ否定し続ける。それもひとつの生き甲斐だろう。けれども、理想を語るだけでなく、少しでも何かを為そうとするなら話は別である。暫定的な妥協を考えざるを得なくなる。それは、平等についても同じである。完全な平等を実現する方法はたぶんひとつしかない。それは「平等」という概念を持った生き物を根絶すること、要するに、人間をひとり残らず殺すことである。死後の世界を信じないぼくの感覚では、これでキレイに平等が実現する。それ以外の方法は思い浮かばない。 ある双子の母親がケーキを買って家に帰る。すると、双子が各々の部屋に友だちを連れてきている。母親は双子と自分で「平等に」ケーキを分けた。母親は家族と他所の子を何の疑問もなく「区別」したのである。これは差別だろうか。ち