がん:p53による腫瘍抑制の新機構 2015年4月2日 Nature 520, 7545 転写因子p53の腫瘍抑制作用は、細胞へのストレスに応答して細胞周期の停止やアポトーシス、老化を引き起こす働きによるものだと一般に考えられているが、p53にそれ以外の働きがあることを示す証拠が最近見つかっている。今回W Guたちは、代謝系におけるp53の標的の1つが、p53の持つ腫瘍抑制活性にも関わっている可能性があることを示した。特に、シスチン/グルタミン酸輸送機構の重要な要素であるSLC7A11の発現が、p53により抑制されることが分かったのである。この抑制がシスチンの取り込みの阻害につながり、鉄に依存した細胞死であるフェロトーシスが促進される。これまで知られていなかったp53のこの働きが腫瘍の抑制に重要であり、特に他の経路が機能しないときに役立つらしい。