「著作権制度が想定していない状況に直面し、右往左往している」――東京大学の中山信弘教授が2月29日、「著作権リフォーム」をテーマにしたデジタルコンテンツ協会のシンポジウムで講演した。一般ユーザーが創作し、ネットで著作物を発表する現代に、プロを前提にした著作権制度が対応できなくなっていると指摘。著作物の流通を円滑化するための改革の必要性や、著作物を独占せず、広く共有しようという「コモンズ」の考え方などを紹介した。 中山教授は著作権法学界の第一人者で、政府の知的財産戦略本部の構成員や、文化庁傘下の文化審議会著作権分科会私的録音録画小委員会の座長、クリエイティブ・コモンズ・ジャパン理事長も務める。約20分の短時間に詰め込まれた濃い内容と問題提起に、参加者は聴き入った。 19世紀の前提が時代に合わない 「19世紀の状況を前提にして構築された著作権制度が、インターネットの発展でとてつもなく大きな問題
先日、著作権に関するとても興味深い話を弁護士の人から聞くことができた。実際にあった法廷闘争に基づく話だが、トピックは、「他の人が書いた料理の本に乗っているレシピを参考に、似たような料理の本を出版した場合、どんな法律を破っていることになるか」という話である。 適用できる法律は、著作権、特許、登録商標の三つ。それぞれについて考察を加えるとこうなる。 【著作権】このケースで言えば、著作権で守られているのは、文章そのもの・イラスト・写真。レシピそのものは著作権では保護されない。つまり、オリジナルの料理本の文章を丸写しにしたり、イラスト・写真をそのままコピーしさえしなければ、(材料・調理方法などが)まったく同一のレシピの本を書いても著作権法違反にはならない。言い換えれば、著作権で保護されるのは、「特定の表現」であり「情報そのもの」ではない。 【特許】レシピに特許権が成立するかどうかは微妙ではあるが、
漫画家の島本和彦さん「YouTubeでエヴァを見たつもりになるな。日本はアニメや漫画を見る作法がなっていない」(「痛いニュース(2008/1/28)) うーん、僕は基本的に「自分が好きなものの火を消さないためには、ちゃんと対価を払うべき」だと考えている。いや、『YouTube』も『ニコニコ動画』も大好きだけどさ。 僕はX68000というマイコンで「ユーザーが『コピーで安く手に入るから』という理由でお金を払うことを渋ってしまったがために消えてしまったゲーム文化」を体験した。 端的に言えば、「いいものを作った人が報われるシステム」を維持していかないと、そのジャンルの創作というのは先細りになっていくのだ。 そして、僕自身が今は「好きなことにある程度はお金を遣わなければならないくらいの大人」になっていることを自覚しているので、「自分が好きなものが生み出され続けるための投資」をしているつもりだ。まあ
きのうのMIAUシンポジウムは、「ダビング10」というマニアックなテーマにもかかわらず、会場はほぼ満員だった。まもなくYouTubeの公式チャンネルに映像がアップロードされると思うが、議論で気になったことをひとつ: 「ダビング10の是非論」とか「落としどころ」とかいう話にはまりこむと、この話はデッドロックになる。この泥沼は10年前のボタンの掛け違えから始まっており、それをいくら掛けなおしてみても、同じことの繰り返しになるからだ。そもそもなぜ無料放送にCASがついているのかという根本的な問題から問い直し、これまでの経緯をいったんリセットしたほうがいい。 CAS(conditional access system)は、有料放送のシステムとしてはどこにもあるが、無料放送にCASをつけている国は日本以外にない。FAQにも書いたことだが、事の起こりは、BSデジタルを有料放送にするか無料放送にする
きのうのMIAUのシンポジウムも、1週間足らずのドタバタで決まったにもかかわらず、会場は満員で、なかなか盛り上がった(映像がYouTubeにアップロードされる予定)。私の話の内容は前の記事でも書いたので、ここでは会場から出た質問に関連して、ひとつ補足しておきたい。 文化庁の「ビジョン」によると、将来は私的録音録画補償金を廃止し、DRMと契約ベースで著作権処理を行なうという方針らしい。これは現在の通信(自動公衆送信)と放送を区別する法体系を残したまま、通信だけに煩雑な権利処理を強要するものだ。しかし総務省は、「情報通信法」によって放送法も電気通信事業法も廃止する方針である。つまり2010年には通信と放送の区別はなくなるのだ。それなのに文化庁だけが通信と放送を区別する法体系をつくるのは、いったいどういうわけだろうか。 このように文化庁が他の官庁と矛盾する法律をつくるのは今度が初めてではない
日経新聞によれば、総務省は地デジの番組を受信して無制限にコピーできるようにする受信機Friioを規制する方向で検討するそうだ。 しかし現在のコピーワンスはARIBという民間団体が勝手に決めた規格にすぎず、そのコピープロテクトを破ることは違法ではない(*)。またFriioはB-CASを挿入して使う機材なので、通常の地デジ受信機と変わらない。B-CASカードは他のテレビのものを使ってもよいし、オークションで買ってもよい。このカードはB-CAS社が1台ずつ「認証」することになっているが、これには何の法的根拠もない。 そもそも、このように民間企業が法にもとづかないで放送の受信や私的複製を制限するB-CASやコピーワンスは、独禁法や著作権法に違反する疑いがある(FAQ参照)。むしろFriioこそ、自由に放送を受信・複製できるようにすることによって、こうした違法の疑いのある行為を是正するものだ。
またぞろ「初音ミク」界隈が騒がしくなってますね。この前もグーグル検索で初音ミク画像がいきなり表示されなくなったり、ウィキペディアの初音ミクの項目での著作権侵害疑惑で、ややこしい騒動が起きたりしたばかりですが、今度はニコニコ動画に絡んだ問題ですよ。 騒動は今月頭からみたいですけど、騒ぎが大きくなったのは昨日みたい。俺はこの件ではネット見てなかったので今日気がつきましたよ。とっくに2ちゃんねるのニュース速報+などではスレッドが乱立して祭り状態になってます。出遅れてすいません。 とりあえずわかっているのは、クリプトンの社長と「ニコニコ動画」を運営しているニワンゴの親会社であるドワンゴが、「契約した・しない」「オリジナル曲作者に使用許可をもらうのはどちらだ」「ドワンゴは、勝手に初音ミクをJASRACにアーティスト登録するな」みたいなことで揉めているということです。 この事件、論点が多岐にわたって結
イギリスで、子どもたちを招いて行われていたチャリティーイベント。内容は特段変わったものではなく、子どもたちがキャロル(賛歌)を歌ったりするようなものだったのですが、そこに著作権団体がやってきて使用料を払うように言ってきたそうです。慈善事業でもしっかりお金は取られるんですね。 詳細は以下の通り。 Charity hit with carol copyright bill - Wigan Today 昨年、ダム・ハウスという施設で、子どもたちがキャロルを歌うようなイベントが行われました。すると、イギリス演奏権協会(Performing Rights Society:PRS)がやってきて、230ポンド(約5万2000円)を支払うように言ってきたそうです。この時は富くじを行うことで使用料を工面できたのですが、今年もまた協会が現れて、今度は470ポンド(約10万6000円)支払うように言われたそうで
ハイビジョン月面画像をネット公開しなかったNHK 9月14日に打ち上げられた日本の月探査機「かぐや」は、月周回軌道上で、順調に科学観測の準備を進めている。日本放送協会(NHK)が搭載したハイビジョンカメラは、早速月面の撮影を開始し、11月7日には最初の月面画像が、次いで11月16日には、月の際から昇る地球と、月の際に沈む地球のハイビジョン映像が公開された。かつてない高精細の月面の画像であり、一般に与えたショックは、アポロ8号が撮影した有名な「地球の出」にも比肩するするものだった。 1968年にアポロ8号が撮影した「地球の出」(Photo by NASA:上)と、この11月に月探査機「かぐや」が取得した「地球の出」(中)と「地球の入り」(下)のハイビジョン動画像からのキャプチャー(Photo by JAXA/NHK)。NASAの画像は、教育用途、報道用途、非営利用途で出典を明記することで
JASRACは、作詞家、作曲家、音楽出版社などから著作権の管理を委託され、使用料を回収して著作権者に分配するという事業を行なう団体。音楽の歌詞やメロディーには著作権があり、コンサートやカラオケ、CD/DVD、テレビ/ラジオ/インターネットなどで音楽を利用する際には、著作権者に対して使用料を払う必要がある(著作権が切れているときや、権利者が無料での使用を認めた場合などは除く)。 JASRACとの提携は「既定路線」 ── 今回の提携を率直にどう評価しますか? 津田 YouTubeもニコニコ動画も、投稿される動画の大半は著作者の許諾を得ない「海賊版」ですよね。利用者の動画に対するニーズと、権利者の削除要請や法的圧力が完全に対立する中で、今回の契約締結を前提とした協議が開始されたことは、膠着する著作権問題を解決すべく第一歩を踏み出したという点で評価されるべきだと思います。 とはいっても、個人的には
【教えてくん】コミュニティーなのです。 なんかニュースとかあったらここに書こうかと思ってますよ。とりあえず、おいらのブログ Wikipediaの文章は日本の著作権法では保護されない? : ひろゆき@オープンSNS ひろゆき@オープンSNS (ひろゆき@オープンSNS) 投稿者, @ 2007-10-31 23:45:00 Wikipediaの文章は日本の著作権法では保護されない? 著作権法を見ていたら、 Wikipediaの文章は日本の著作権法では保護されないという気がしてきたので、 ちょいと説明してみます。 ひろゆきの解釈は間違ってるよってな説明があったら教えてください。 著作権法で守られる著作物とはなんぞや?ってのを知るために、 著作権法から引用してみます。 (著作物の例示) 第十条 この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。 一 小説、脚本、論文、講演その他の言語の
2007年10月19日 文化祭って営利目的じゃないよね? (4) カテゴリ:考え事 昨夜TVを見てたらビックリニュース 高校の文化祭で公演される芝居で、著作権料を請求されるって話題。 ブロードウェイミュージカルを文化祭等学校行事で公演する時、 権利関係しっかりやってくれってアメリカが言って来たから日本の作品も んじゃ~しっかりやりましょってコトらしい。 著作権は大切だけど… それをしっかり教えるのも大切だけど… ちゃんと連絡させるノウハウを学ばせるだけでイイのでは 学生が文化に触れる場を減らすコトにはならないのだろうか 文化祭ってのは教育の一環で営利目的じゃないよね 著作権法に「営利を目的としない上演等」ってな項目があって… 第三十八条 公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から 料金(いずれの名義をもつてするかを問わず、著作物の提供又は提示につき受ける対価をいう。 以下
自分もブックマークした先週のNHK杯「羽生対中川」戦の逆転劇だが、梅田望夫氏があっさりしたエントリを書いたところ、窪田義行六段がコメント欄にて丁重に抗議して、エントリ本体よりコメント欄が注目されている。大した量ではないので、いちいち経緯を説明しない。以下のリンク先のコメント欄における議論を見ていただけばよろしいだろう。 ニコニコ動画で「羽生対中川」戦を見た - My Life Between Silicon Valley and Japan これに対する反応は例えば、以下のようである。 はてなブックマーク - ニコニコ動画で「羽生対中川」戦を見た - My Life Between Silicon Valley and Japan Party in Preparation: 梅田アマ初段vs窪田六段 梅田さんと窪田棋士とニコニコ動画 - あかさたの日記 梅田さんが"ニコニコ動画で「羽生対中
P2Pとかその辺のお話 WinMXとかWinnyとか、日本ではろくな扱いを受けていないP2Pですが、海外ではけっこう真面目に議論されてるんですよというブログ。 文化庁・文化審議会の著作権分科会・私的録音録画小委員会が、同委員会の津田大介委員の指摘していたように、違法にアップロードされた著作物のダウンロードを「違法化」する方向で著作権法を改正する意見が大勢となったとする中間報告案をまとめたようだ。asahi.comによれば週明けにも公表されるとのこと。この記事では、あたかも法改正が規定路線であるかのように書かれているところが鼻につくが、それでもその流れが確実に現実に近づいていることは間違いないだろう(この手の記事がそれを後押しする部分もあるのだけどねぇ・・・問題点がいっぱいあるんだから、そこをもっと指摘しろよと思うわけで)。以前のエントリでこの法改正がいかにクソッタレであるかをいろいろな側面
【教えてくん】コミュニティーなのです。 なんかニュースとかあったらここに書こうかと思ってますよ。とりあえず、おいらのブログ 集合知を多数決で作るのは間違い。 某本で、あるブロガーさんの言葉を引用したのですが、 「ガリレオガリレイの時代に集合知があっても、地動説にはならなかった」 って話もありますが、 知識というのは多数決で決めると間違ってることがままあります。 普通の人が知識を超えた質問をされた場合に、 「わからない」という発言をしてくれればいいのですが、 「竹中直人は好きだから、正しいと思う」とか、 「モー娘はカワイイから嘘をつかないと思う」とか、 ギリシャ人と同じような感覚で評価したものが、 多数出てきたりします。。 そうすると、みんなが言ってるのだから、 真実であると誤解してしまう人が出てしまうのですね。 「ポケットはてなは著作権侵害ではないのだろうか」 という記事があります。 それ
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