『江戸と東京』1939年1月号所収の小川正之助「草加の煎餅」に、草加町長が語る草加せんべいの由来が書かれています。 いわく、徳川三代の頃から日光参拝客相手に「草加だんご」を売っていたが、雨の日などには売れ残るので、それをせんべいに焼き直したのが草加せんべいの始まりだそうです。 しかし、食物史研究家の鈴木晋一によると、草加せんべいの歴史はそれほど古くないそうです。 “現在の塩煎餅を代表する草加煎餅だが、これが江戸時代につくられていた事実を示す資料はないという。どうやら、草加煎餅は明治以後の新しい煎餅であるらしい。”(鈴木晋一『たべもの史話』小学館ライブラリー1999年刊) 現在、草加せんべいが塩せんべいの代名詞とまでなったのは、歴史が古いからではなく、手焼きの伝統を長い間守っていたからのようなのです。 ■三原堂本店 所在地:東京都中央区日本橋人形町1-14-10 TEL:03-3666-33