●『ジャンゴ 繋がれざる者』をDVDで観た。うーん。なんで多くの人がこの作品を痛快な娯楽として受け入れられるのかがぼくにはよく分からない。観ていてひたすら気が重くなる。アメリカの保守派のおっさんたちが「キーッ」となるようなものを世界的な商品としてつくって流通させてしまうというのは皮肉としては確かに利いているのかもしれなし、そういう意味で「政治的に意味がある」かもしれないけど。 ●例えば、黒人奴隷に対して非道の限りを尽くす人物が、立場が逆転して、黒人から鞭打たれあっさり無残に殺される時、どうしたってスカッとした気持ちというか、溜飲が下がるという感情が起動する。しかしその一瞬後に、自分が「スカッとする気持ちをもってしまった」という事実に対して、そこでスカッとしたことの痛快さよりもずっと深く落ち込むことになる。あるいはラストのヒロインの「してやったり」的な表情を見て「魅力的だ」と感じてしまう--