貧困の再発見と子どもの貧困対策推進法の制定 「貧困」が再発見されたのは、2006年のことである。その頃、私は授業で恐る恐る「日本に貧困問題はあると思うか」と学生に尋ねた記憶がある。それほど「豊かな日本」には「貧困」はないという思い込みが広がっていた。 その後、2008年は「子どもの貧困元年」と言われ、2013年に議員立法により「子どもの貧困対策の推進に関する法」が制定される。そして、翌2014年、「子どもの貧困対策大綱」(以下、大綱)が閣議決定され、2019年には同法と大綱が改正される。 こうして様々な子どもの貧困対策が実施されるようになり、ひとり親世帯の貧困率の高さも広く知られるようになった。貧困が問題になり始めた2006年、竹中平蔵総務大臣(当時)は、日本社会に格差は存在するが、「社会的に解決しないといけない大問題としての貧困はない」と語ったそうだが、おそらく竹中氏も、今はもうそのよう
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