日本銀行副総裁 氷見野 良三 2024年8月28日 全文 [PDF 680KB] 図表 [PDF 317KB] 1.はじめに 本日はお忙しい中お集まりいただきありがとうございます。また、日本銀行と甲府支店への日ごろからのご協力に感謝申し上げます。 わたくしは富山県富山市の出身で、屏風のように聳える立山連峰を朝な夕なに仰ぎ見て育ちました。昨日当地に参りまして、南アルプスの姿に懐かしい思いがいたしました。武田信玄の「動かざること山の如し」という言葉も、実際に甲斐の山々を目にして思い起こしますと、動かないことの背後にある峻厳さが感じられ、風のように速く、火のように激しい、ということと、動かない山の峻厳さは表裏一体であるような気がいたしました。また、林も山も生きており、力に満ちた静けさなのだ、という印象を抱きました。 2.当面の経済・物価情勢 さて、まず、これから景気はどうなっていくのか、物価はど
日本銀行総裁 植田 和男 2023年9月30日 全文 [PDF 837KB] 1.はじめに 日本銀行の植田でございます。日本金融学会でお話しする機会を頂き、ありがとうございます。 本日は、「中央銀行の財務と金融政策運営」をテーマにお話しいたします。この論点については、海外の中央銀行が出口局面を迎えるもとで、注目度が高まっています。一方で、わが国では、2%の「物価安定の目標」の持続的・安定的な実現を見通せる状況には至っておらず、なお「出口」には距離があります。しかし、「出口」には距離がある現時点だからこそ、このテーマについて客観的に議論するのに適したタイミングであると考えたところです。また、私は、日本金融学会では、ちょうど20年前に「自己資本と中央銀行」と題する講演を行いました1。今日は、その続編ということになりますが、話の本質的な部分には大きな変更はありません。ただ、その後20年間の内外の
2024年6月20日 安部展弘*1 石黒雄人*2 小池洋亮*3 古仲裕貴*4 高野優太郎*5 平形尚久*6 全文 [PDF 1,841KB] 要旨 本稿では、大規模緩和による金利低下が金融仲介機能に与えた影響について、モデルによる反実仮想分析(カウンターファクチュアル・シミュレーション)を用いて分析した。モデルによる試算結果では、大規模緩和による金利低下は、資金供給主体である金融機関の貸出利鞘や有価証券利鞘を下押しした。ただし、自己資本比率については、金利低下による株や債券の価格上昇や信用リスクの低下が押し上げ要因となったこともあり、必ずしも大きく下押しされたわけではない。一方で、景気の改善や貸出金利低下は、資金需要主体である企業部門からの需要を拡大させ、貸出残高の増加につながった。また、景気改善や貸出金利低下、土地などの資産価格の上昇による企業財務の改善は、貸出における信用リスクを抑制し
日本銀行政策委員会審議委員 野口 旭 2023年12月2日 全文 [PDF 955KB] 図表 [PDF 290KB] 1.はじめに 日本銀行の野口です。本日は、講演の機会を賜り誠に有り難く存じます。本日のフォーラムの主題は、コロナ禍を経て大きな変貌を遂げた現在の世界経済の状況を踏まえて、ケインズの理論、政策、行動の意義を改めて問い直すというところにあるものと理解しておりますが、私自身はとりわけ政策の問題についてお話ししたいと考えております。より具体的には、コロナ禍による経済的収縮とその後の急激な物価上昇を克服しようとする海外における政府や中央銀行の試みを通じて、ケインズが礎を築いたマクロ経済政策というものの内実がどのような方向に変化しつつあるのかを、私の個人的観点から整理し直してみます。 私はこれまで、マクロ経済政策はどのように生み出されるのか、そしてそれは本来どうあるべきなのかという課
2024.6.19 日 本 銀 行 政策委員会 金融政策決定会合 議事要旨 (2024年4月25、26日開催分) 本 議 事 要 旨 は 、 日 本 銀 行 法 第 20 条 第1項に定める 「議事の概要を記載し た書類」として、2024 年6月 13、14 日開催の政策委員会・金融政策決定会 合 で 承 認 さ れ た も の で あ る 。 公表時間 6月19日 (水) 8時50分 本 稿 の 内 容 に つ い て 、 商 用 目 的 で 転 載 ・ 複 製 を 行 う 場 合 ( 引 用 は 含まれません)は、予め日本銀行政策委員会室までご相談ください。 引用・転載・複製を行う場合は、出所を明記してください。 1 (開催要領) 1.開催日時:2024 年 4 月 25 日(14:00~16:10) 4 月 26 日( 9:00~12:15) 2.場 所:日本銀行本店 3.出席委員:
日本銀行政策委員会審議委員 安達 誠司 2024年5月29日 全文 [PDF 540KB] 図表 [PDF 181KB] 1.はじめに 日本銀行の安達でございます。この度は、熊本県の行政、財界、金融界を代表される皆様とお話をさせて頂く貴重な機会を賜り、誠にありがとうございます。また、皆様には、日頃から私どもの熊本支店の様々な業務運営にご協力頂いておりますことを、この場をお借りして改めて厚く御礼申し上げます。 本日は、わが国の経済・物価情勢と日本銀行の金融政策運営につきまして、私の考えを交えつつお話しします。その後、皆様方から、熊本県経済の動向や日本銀行の業務・金融政策に対する率直なご意見をお聞かせ頂ければと存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。 2.足もとの円安と金融政策 通常であれば、金融経済懇談会でのご挨拶の冒頭では、経済・物価情勢についてお話しさせて頂くところですが、このところ
日本銀行政策委員会審議委員 安達 誠司 2023年11月29日 全文 [PDF 758KB] 図表 [PDF 505KB] 1.はじめに 日本銀行の安達でございます。この度は、愛媛県の行政、財界、金融界を代表される皆様とお話をさせて頂く貴重な機会を賜り、誠にありがとうございます。また、皆様には、日頃から私どもの松山支店の様々な業務運営にご協力頂いておりますことを、この場をお借りして改めて厚く御礼申し上げます。 本日は、わが国の経済・物価情勢と日本銀行の金融政策運営につきまして、私の考えを交えつつお話しします。その後、皆様から、愛媛県経済の動向や日本銀行の業務・金融政策に対する率直なご意見をお聞かせ頂ければと存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。 2.経済・物価情勢 (1)経済情勢 まず、日本経済の現状と先行きをみる上での注目点についてお話しします。 わが国の景気は、本年5月に新型コロ
2 0 2 3 年 2 月 2 日 日 本 銀 行 日本銀行副総裁 若田部 昌澄 最近の金融経済情勢と金融政策運営 ── 静岡県金融経済懇談会における挨拶 ── 1 1.はじめに 日本銀行の若田部です。本日は、静岡県の行政、経済、金融各界で活躍さ れている方々との懇談の機会を賜りまして、誠にありがとうございます。ま た、日頃から静岡支店の業務運営に多大なご協力とご支援を頂いております ことを、厚く御礼申し上げます。 静岡県と日本銀行には、今年のNHK大河ドラマで注目を集めている徳川 家康公を通じて、 深いゆかりがございます。 静岡支店のある葵区金座町には、 名前の示す通り、一時期(1607~1612 年) 、江戸幕府の金貨を鋳造する金座 (駿河小判座)が置かれておりました。その後、金座は江戸に移り、現在の 日本銀行本店はその金座の跡地に建てられています。江戸時代には、すでに 物価の安定を目
16 NICHIGIN 2022 NO.71 若 田 部 山 形 さ ん は 、 特 定 の カ テ ゴ リ ー に は め る の は 難 し い 方 で す ね 。 野 村 総 合 研 究 所 ( 以 下 、 野 村 総 研 ) で 開 発 援 助 に 関 わ っ て こ ら れ ま し た が ( 現 在 は 退 職 ) 、 一 方 で 、 評 論 家 や 作 家 、 何 よ り 翻 訳 者 と し て 名 が 通 っ て お り 、 経 済 学 で 言 え ば ポ ー ル ・ ク ル ー グ マ ン 、 ト マ ・ ピ ケ テ ィ の 翻 訳 で 知 ら れ て い ま す 。 非 常 に 多 彩 な 活 動 を さ れ て き て い る の で 、 な ぜ そ う い う こ と が で き る の か 、 そ の 方 法 論 や 仕 事 術 に 関 心 が あ る の で す
回答 為替介入(外国為替市場介入)は、通貨当局が為替相場に影響を与えるために、外国為替市場で通貨間の売買を行うことで、正式名称は「外国為替平衡操作」といいます。為替介入の目的は、為替相場の急激な変動を抑え、その安定化を図ることです。 わが国では、為替介入は財務大臣の権限において実施することとされています。日本銀行は、特別会計に関する法律および日本銀行法に基づき、財務大臣の代理人として、その指示に基づいて為替介入の実務を遂行しています。 為替介入の実務 日本銀行は、財務省に対し、為替市場に関する情報を毎日報告しています。また、財務大臣が為替介入を必要と判断した旨の連絡を受けた場合には、財務省に対し、為替相場の変動要因や、介入決定の判断に資するようなマーケット情報を報告します。これを受けて、財務省は、日本銀行に対し為替介入実行の具体的指示を行い、日本銀行が介入を実施します。 なお、財務大臣の代
作成 2000年6月 改訂 2007年1月 2010年7月 2018年3月 2023年6月 日本銀行金融市場局為替課 1.はじめに 日本経済は、変動相場制度へ移行した1973年2月以降、為替相場の大幅な変動を経験してきました。わが国では、こうした為替相場変動がもたらす実体経済への悪影響を緩和するために、必要に応じて外国為替市場への介入(「外国為替平衡操作」とも言われます。以下、「為替介入」ないし「介入」)を行ってきています。以下では、為替介入について、実務を中心に出来るだけ分かりやすく解説します。 2.為替介入とは何か 為替介入とは、外国為替相場の急激な変動を抑え、その安定化を図ることを目的に、通貨当局が外国為替の売買を行うことを言います。わが国では、財務大臣が円相場の安定を実現するために用いる手段として位置付けられており、『外国為替及び外国貿易法』第7条第3項(「財務大臣は、対外支払手段
経済・物価情勢の展望 2022 年 1 月 公表時間 1 月 19 日(水)14 時 00 分 本稿の内容について、 商用目的で転載・複製を行う場合 (引用は含まれません) は、予め日本銀行政策委員会室までご相談ください。 引用・転載・複製を行う場合は、出所を明記してください。 1 経済・物価情勢の展望(2022 年1月) 【基本的見解】 1 <概要> 1 本基本的見解は、 1月17、 18 日開催の政策委員会 ・ 金融政策決定会合で決定されたものである。 日本経済の先行きを展望すると、新型コロナウイルス感染症によるサービス消費への下 押し圧力や供給制約の影響が和らぐもとで、外需の増加や緩和的な金融環境、政府の経 済対策の効果にも支えられて、回復していくとみられる。その後も、所得から支出への 前向きの循環メカニズムが家計部門を含め経済全体で強まるなかで、わが国経済は、潜 在成長率を上回
日本銀行政策委員会審議委員 片岡 剛士 2020年2月27日 全文 [PDF 572KB] 1.はじめに 日本銀行の片岡でございます。この度は滋賀県の行政および金融・経済界を代表する皆様と懇談をさせていただく貴重な機会を賜り、誠にありがとうございます。また、皆様には、日頃から日本銀行京都支店の業務運営に対し、ご支援、ご協力を頂いておりますことを、この場をお借りして改めて厚く御礼申し上げます。 本日は、わが国の経済・物価情勢と日本銀行の金融政策運営につきまして、私の考え方を交えつつお話しします。その後、皆様から、当地経済に関するお話や、日本銀行の業務や金融政策に対する率直なご意見をお聞かせいただければと存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。 2.経済・物価情勢 (1)海外経済の動向 初めに、海外経済の動向についてお話しします。世界経済の成長ペースは、2018年の後半から弱まり、2019
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