8年9カ月続いた「安倍・菅政権」。国会の議論の前提となる資料の隠蔽や改ざんが相次ぎ、異論に耳を傾けない姿勢も相まって、少数意見を尊重しながら熟議する民主主義の根幹が揺らいだ。憲法で国権の最高機関と定められた国会の責任者は、議会や政治のありようをどう見ていたのか。次の衆院選に立候補せず、政界を引退する衆院の大島理森議長(75)に聞いた。 「(1990年の)第2次海部内閣で官房副長官を務め、イラクのクウェート侵攻や(貿易不均衡の是正を目指した)日米構造協議などの課題の中で政治のダイナミズム、権力の怖さと維持する難しさを経験したことだ。(2009年からの)野党時代に自民党の幹事長や副総裁として政権奪還に努力したことや、上皇さまの退位を巡り、衆参両院の正副議長で国会としての見解を取りまとめる作業をしたことも思い出深い」