2009/04/10 ソフトウェアは工業製品ではない――。Rubyの生みの親としてしられるまつもとゆきひろ氏は2009年4月9日、InfoQ主催のイベント「QCon Tokyo 2009」の基調講演で、ソフトウェアと何であり、何でないのか、それはどういう性質のものであるのかを雄弁に語った。 コードとは設計である 「ビューティフルコード」と題した基調講演を行ったまつもと氏は、2007年に共著者の1人として出版した同名の書籍に書いたエッセイに込めた思いを、次のように語る。 「世界に冠たる日本の製造業のノウハウを適用することで生産性を上げることができるに違いないという発想がありますが、ソフトウェアは工業製品ではない。そうした誤解を正していきたい」。 ソフトウェア産業界では、よくエンジニアが何十万人足りないということが言われる。しかし、まつもと氏は、これは工業生産と同じ方法論を当てはめることから来
楽天のさまざまな研究開発の成果を紹介するとともに、技術者のコミュニティに探求と論議の場を提供する「楽天テクノロジーカンファレンス2008」が11月29日、都内で開催された。同カンファレンスは、楽天の会社設立10周年を記念して、2007年から行われている。 楽天の取締役常務執行役員である杉原章郎氏は開催にあたり、「技術は楽天の競争力の源泉であり、技術者同士のつながりに組織として楽天も加わりたい。そのためにも、エンジニアの人的ネットワークの拡大や、活動の活性化に寄与していきたい。また、技術者のコミュニティ活動を支援、推進していく。昨年は、楽天がどれだけ技術開発に注力しているかをアピールしたが、今回はエンジニアやコミュニティに対する後方支援の要素を前面に据えた」と話した。 基調講演にはプログラミング言語「Ruby」の開発者として知られる楽天技術研究所フェローで、ネットワーク応用通信研究所フェロー
島根大学オープンソース・ソフトウエア研究プロジェクトの記者会見。左から島根大学法文学部 教授 野田哲夫氏,島根大学 副学長 高安克己氏,まつもとゆきひろ氏,Rubyアソシエーション 副理事長 前田修吾氏(写真提供:島根県) 島根大学は2008年7月25日,同大学でオープンソース・ソフトウエア研究プロジェクトを開始すると発表した。世界的に普及しているオープンソースのプログラミング言語Rubyの作者であるまつもとゆきひろ氏らも参加し,技術とビジネスモデル両面での研究を行う。 研究プロジェクトの名称は「オープンソース・ソフトウエアの安定化とビジネスモデルの構築に関する研究プロジェクト」。島根大学は2007年度と2008年度にRubyの講座を開講している。まつもと氏は島根県松江市に在住しており,同講座でも講義を行っている。松江市では「Ruby City Matsueプロジェクト」を進めており,島根
パソナテックは3月11日、同社が提供開始したITエンジニア向けサイト「てくらぼ」のオープニングイベント「Matz×Dan×Daiji エンジニア進化論」を実施した。イベントでは、Ruby開発者のまつもとゆきひろ氏と、ブロガーでプログラマの小飼弾氏のトークセッションが開催された。会場となった東京・秋葉原のUDXギャラリーは大勢のITエンジニアで埋め尽くされ、キャンセル待ちが出るほどの盛況だった。 トークセッションは、ニューズ・ツー・ユー 取締役 平田大治氏が司会し、まつもと氏と小飼氏に質問を投げ掛けた。まつもと氏と小飼氏が質問に○か×かで答えた後、平田氏が詳しく話を聞くというスタイルだった。以下にトークセッションでの2人の発言をいくつかまとめた。
パソナテックは「エンジニアの進化を支援する」ことを目的に、同社が自ら情報を発信するWebサイト「てくらぼ」を11日オープンした。同サイトでは、シリコンバレーでコンサルティングを行なうBlueshift Global Partners社の社長である渡辺 千賀氏のコラム「渡辺千賀のはたらけシリコンバレー」をはじめ、ライフハックやスキルアップのためのコンテンツなどを提供していく予定だという。 てくらぼのオープニングを記念したイベントとして、同日秋葉原UDXギャラリーにて「エンジニア進化論」と題したイベントが開催された。ファシリテーターとして登壇したのはニューズ・ツー・ユーの取締役である平田 大治氏、パネラーにはネットワーク応用通信研究所のフェローで、プログラミング言語「Ruby」の開発者であるまつもと ゆきひろ氏、そしてディーエイエヌ代表取締役で自身のブログ「404 Blog Not Found
Webアプリケーションが流行しています。Webブラウザ上で何でも実行させる昨今の風潮はいかがなものかと思いますが,これも時流なのかもしれません。Webプログラミングに習熟する前段階として,今回は基礎となるHTTPとCGIについて学びます。 WWW(World Wide Web)はもともと欧州合同素粒子原子核研究機構(CERN)で開発された,相互リンクした技術文書を参照する手段でした。文書間のリンクが世界中をクモの巣(Web)のようにつなぐありさまをもってWWWと名づけられました。 WWWが最初に登場した時点では,基本技術は次の3つしかありませんでした。 (1)HTML(HyperText Markup Language),相互にリンクされた構造を持つ文章を記述するマークアップ言語。 (2)URL(Uniform Resource Locator),各地のサーバーに分散した,文書を指定する記
プログラムの高速化については本連載の第13回で紹介しています。プログラム中のどの部分を高速化すべきなのか,どのように効果を測定するのか,そもそも高速化が必要なのかを考察しました。今回は実際に高速化を試みます。 今回はプログラム高速化の実践編として,ある程度の大きさの具体的なプログラムを段階的に高速化しながら,実践的なテクニックを学ぶことにしましょう。 例題はマンデルブロ集合*1の計算プログラムです(図1)。マンデルブロ集合は非常に美しい集合ですから,本当はグラフィックス表示が好ましいでしょう*2。しかし,GUIを使うと,特定のGUIライブラリ(グラフィックス・ルーチン)に依存したコードが大量に必要です。今回のテーマは「高速化」ですから,直接関係のないGUIコードはできるだけ省くため,キャラクタ(英文字)で図形を表現することにしました。 1 require 'complex' 2 3 def
2007/12/25 「そういえばあのretryの話、どう思う?」、「誰も使ってないから害悪が多いっていう話は説得力ありますよね」、「じゃあなくすか……、うん、なくしといて」、「あ、決まっちゃった(笑)」――。 まつもとゆきひろと、笹田耕一。いま、世界が注目するプログラミング言語「Ruby」の生みの親と、開発コアメンバーの2人は、こともなげにRubyの仕様を記者の目の前で変更してしまった。Rubyの開発はどのように行われ、どこへ向かおうとしているのか。現行のバージョン1.8系から大きく様変わりする次期開発版「Ruby 1.9」のリリースを12月25日に控えた2人に、師走の秋葉原で話を聞いた(文中、敬称略)。 Rubyの仕様は密室で決まる!? 冒頭に紹介した2人の会話は、「retry」というRubyの文法の2種類ある使い方のうち、これまでほとんど使われた形跡がない方を文法仕様から取り除くかど
まつもとゆきひろ ネットワーク応用通信研究所 フェロー 楽天 楽天技術研究所フェロー Rubyアソシエーション理事長。Rubyの作者 Blog「Matzにっき」 まつもとゆきひろの起こした小さな奇跡---梅田望夫氏の著書「ウェブ時代をゆく」の中の節のタイトルである。「時代の巨大な変化の中で個人がどう生きるべきか」をテーマにしたというこの本の中で,Rubyを生み「オープンソースで飯を食う」生き方を実践するまつもと氏の生き方に,梅田氏は何を見い出したのか。梅田氏とまつもと氏が,インターネットがもたらす新しい時代の新しい仕事,新しい生き方を語る。 まつもとゆきひろの起こした小さな奇跡 ――梅田望夫さんの新刊「ウェブ時代をゆく」には,「まつもとゆきひろの起こした小さな奇跡」という節があります。この本で何を伝えようとされ,なぜまつもとさんを紹介されたのでしょうか。 梅田 いま,インターネットの切り拓
インターネットの世界では、技術の進化はとどまるところを知らない。これから先の10年、技術はどう進化し、エンジニアにはどういったことが求められるのだろうか。11月24日に楽天が10周年を記念して開催したイベント「楽天テクノロジーカンファレンス2007」において、代表取締役社長兼会長である三木谷浩史氏、楽天技術研究所フェローのまつもとゆきひろ氏、アドビ システムズ代表取締役であるギャレット・イルグ氏が議論した。 三木谷氏は経営者の視点から技術を捉え、「技術は、戦略、オペレーションとともに経営の基本軸になるもの。たとえばGoogleは技術と戦略を軸に規模を拡大してきた。ただ、それが強みでも弱みでもある。楽天はオペレーションを加えた3つをしっかりとやってきた」と話す。 次の10年はメディアや会員サービス、ビジネスアプリケーションを強化する。さらに、4000万人の会員データベースを構築し、パーソナラ
写真●「X-over Development Conference 2007」で講演する,まつもとゆきひろ氏 「結局のところ,顧客に何が必要かは,顧客にも開発者にも理解は不可能だ。そうならば,まずアプリケーションを作って,それを使ってもらい,顧客に合うように直すしかない。これからのエンタープライズ開発も,とにかく速く安く作って,直すことが重要になる」--。プログラム言語「Ruby」の開発者であるまつもとゆきひろ氏は9月7日,ソフト開発をテーマにしたイベント「X-over Development Conference 2007」の講演でこう主張した。 まつもとゆきひろ氏の講演テーマは「Web 2.0時代のエンタープライズ開発」というもの。Web 2.0時代のアプリケーションは,「YouTube」に代表されるように,「仕組みそのものよりも,データがどれだけ集まっているかが生死を分けている」(ま
島根大学は2007年10月から,後期の授業としてまつもとゆきひろ氏らRubyの第一人者がリレー形式で講義するRubyプログラミングの講義を開始する。登壇するのはまつもと氏のほか,日本Rubyの会会長でツインスパークの高橋征義氏,Ruby次期版に採用される仮想マシンを開発している東京大学の笹田耕一氏,チェンジビジョン取締役社長の平鍋健児氏,「JavaからRubyへ」の翻訳などで知られる角谷信太郎氏,Ruby on Railsを利用したアプリケーションのコンテスト「Drecom Award on Rails」で大賞を受賞した大場寧子氏,サン・マイクロシステムズの下道高志氏,ネットワーク応用通信研究所の喜多川豪氏ら。主任担当教官は島根大学法文学部教授 総合情報処理センター長でしまねOSS協議会(関連記事)の副会長も務める野田哲夫氏である。 島根大学では2007年前期,まつもと氏も登壇する「情報と
ハッカーは、プログラミング言語にこだわる人がとても多いことで有名です。その理由はおそらく、プログラミング言語がハッカーの力と密接な関係があるからだと思います。言語は人間の思考をコンピュータに理解できる形で表現する手段なわけですが、同時に思考の道具でもあるのです。 言語へのこだわり ハッカーは、プログラミング言語にこだわる人がとても多いことで有名です。例えば、『ハッカーと画家*』などの著書で知られるPaul Graham*はLispに大変こだわっており、著書やエッセイの中でLispのパワーについてたびたび熱く語っています。わたし自身もプログラミング言語に深いこだわりを持つハッカーであり、「言語おたく」を自称しています。わたし以外にもプログラミング言語好きのハッカーは数多く、中にはそれを本職にしてしまっている「言語屋」と呼ばれる人たちも存在するほどです。 では、なぜハッカーはここまで言語にこだ
自分の周囲の環境を積極的に改変してきた人類ですが、「電脳空間」の環境を積極的に改変していく能力は、まだ誰もが持っているとは言いがたいようです。あらゆることを自分の手で改造しないと気が済まないハッカーは、進化の最前線どころか時代に取り残されたオールドタイプなのでしょうか。 環境を改変していく能力 「環境問題」といっても、地球温暖化などの話ではありません。ハッカーが生活する空間、つまりコンピューティング環境のお話です。 地球上には数えきれないほどの種類の生物が生息していますが、人間ほど広い範囲に住んでいる生物はいないでしょう。赤熱の赤道直下から極寒の極地までカバーしています。これは生物としての耐久力が高い*からではありません。人類の繁栄は、衣服や住居によって自分の周囲の環境をコントロールすることで実現されているのです。どんなに外が寒くても快適な住居を作り上げる能力、暖房や冷房などを発明する能力
知られざる「ハッカー」の生態や心理についてまつもとゆきひろ氏が紹介する人気連載がITmediaに登場。ハッカーの生き方を知ることは、あなたがより良いプログラマーになるのに役立つかもしれません。もちろん保証はできませんが。 こんにちは、はじめまして。まつもとゆきひろと申します。世間ではRubyというプログラミング言語の作者として知られ、職業はプログラマーで自称ハッカーでもあります。この連載ではわたしたち「ハッカー」の生態や心理について紹介できればと考えています。 ハッカーとは 「ハッカー」といってもネットワーク経由でシステム侵入を行ったり、パスワードを破ったりするような悪者ではありません。そういえば、最近そういう誤用をあまり耳にしなくなりましたね。 ハッカー(Hacker)とは文字どおり「Hackする人」という意味です。「Hack」というのはもともとは「(斧などで)たたき切る」という意味です
ハッカー傾向のある人々は、正直あまりビジネス向きではないように思います。しかし、いくらハッカーでも、霞を食べて生きていくわけにはいきません。そこで今回は、ハッカーの仕事生活を紹介しましょう。 ハッカー傾向のある人々は、正直あまりビジネス向きではないように思います。なにしろ彼らの美徳は「不精」「短気」「傲慢」ですし、好きなことにはのめり込むタイプですが、逆に嫌いなことはあまり我慢しないかもしれません。しかし、ビジネスとはそんなに甘いものではないはずです。 ハッカーも人間です。眠たくもなれば、お腹も空きます。いくらハッカーでも、霞(かすみ)を食べて生きていくわけにはいきません。そこで今回は、ハッカーの仕事生活を紹介しましょう。もっともわたしの周辺のごく限られたサンプルからの情報なので、独断と偏見があることはあらかじめご了承ください。 論文や卒業がネック ハッカーが多く見受けられるのは、やはり大
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