ついに来ました! 日野日出志「ホラー自選集」の第13話は、トラウマ少年少女大量生産の「毒虫小僧」ですよ! この作品は、ひばり書房の単行本として1975年に書き下ろされたもので、カフカの「変身」の影響を受けた作品だそうです。 この作品では怪奇・猟奇シーンは実は少なめになっています。それでも日野日出志代表作の一つなのは、構成が整っており漫画としての完成度が高いからではないでしょうか。 主人公の名は日の本三平。まさに日野日出志作品の主人公中の主人公の風格です。目つきや前髪は言うに及ばず、肩や背中のしわ、左手の表情、描き込まれたスニーカーなどに作者の愛を感じます。「何をやらしてもだめな子供だった」とは随分な言われようで、クラスメートからは嫌われ、いじめられ、家族からも冷ややかな眼で見られているのですが、全ての生き物を愛する心優しい少年なのでした。 ところが春休みに入る前日、突然吐き気に襲われた三平