古今東西、偽文書は作られつづけてきました。偽文書と知らずに受け入れたり、あるいは知っているにもかかわらず利用したりしてきました。偽文書はどうやって作られ、広まり、影響を与えてきたのでしょうか。『椿井文書―日本最大級の偽文書』を刊行した馬部隆弘さんに、偽文書研究について伺いました。 ――本書は「椿井文書」ということばがメインタイトルになっていますが、そもそも椿井文書とはなんでしょうか。 馬部:現在の京都府木津川市山城町椿井を出自とする椿井政隆が偽作した古文書類を椿井文書(つばいもんじょ)と呼んでいます。実際には江戸時代後期に作成されているのですが、中世のものという体裁をとっています。巧みにつくられているため、近畿地方一円に正しい古文書として広まっていました。 ――はじめて「椿井文書」をご覧になったときは、どんな感じでしたか。 馬部:大阪府の枚方市教育委員会に非常勤職員として勤務しているときに
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