「1票の格差」が最大1.98倍だった昨年10月の衆院選は投票価値の平等を求める憲法に違反するとして、弁護士グループが広島、山口両県の全11小選挙区の選挙無効を求めた訴訟の判決で、広島高裁は30日、小選挙区の区割りを合憲と判断し、請求を棄却した。三木昌之裁判長は「『1人別枠方式』による区割りが完全に廃止されず不十分だが、格差2倍未満を実現させており、国会の裁量に関わる現実的選択として許容される」と述べた。 昨年の衆院選を巡り、二つの弁護士グループが全国14の高裁・高裁支部に起こした16件の同種訴訟で最後の判決。今回を含めて15件は合憲で、名古屋高裁のみ「違憲状態」とする結果になった。これを受け、最高裁が今後判断を示す見通しだ。
「選挙権を得て、昨年とは全く意識が変わった」と語る全国センキョ割学生実施委員会の18歳メンバー、熊崎美優さん=東京都世田谷区で2017年10月31日、丸山博撮影 投票すれば飲食店などでお得なサービスを受けられる「センキョ割」を広める活動を、衆院選でやりました。慶応大学1年ですが、高校時代に通った予備校の先生から声を掛けられたのがきっかけです。選挙に行った後、センキョ割によってお祭りのような楽しさを感じてもらいたい。投票所でもらえる「投票済証」か、投票所の看板を背景に自分を撮った写真を参加店舗に見せると、デザートが付いたり、ドーナツが半額になったりします。5日まで東京・下北沢などでやっています。 活動はやりたい時にやり、熱く政治を語るわけではありません。10月上旬都内のシェアオフィスに呼ばれ、ポスターの梱包(こんぽう)や発送をしました。投票日当日はJR横浜駅前でビラを配りました。台風で人通り
山梨1区の中島克仁氏(左)とともに、当選証書を受け取る山梨2区の堀内詔子氏=甲府市内で2017年10月24日午後1時31分、田中理知撮影 自民党系の有力2候補が激しい選挙戦を繰り広げた山梨2区。投開票日の22日も、開票作業が終了する間際まで決着がつかなかった。 深夜になって「当選確実」の知らせを受け取ったのは、堀内詔子氏だった。詰め掛けた支援者から「詔子コール」が湧き起こる中、堀内氏は「保守分裂選挙で勝たせてもらった。天国の父に報告したい」と語った。そばに立った次男の手には、ほほ笑む義父・光雄氏の遺影があった。 同じ頃、敗れた長崎幸太郎氏の選対事務所では、あちこちでため息が漏れた。うつむきがちに現れた長崎氏は「有権者の判断と受け止める」とうなだれ、「私の努力不足」と繰り返した。関係者は「前回約1万7000票離しただけに緩みもあった。甘かった」と言葉少なだった。
民進党を巡る混乱の根底には、「50億~100億円」(党関係者)とされる民進党の政治資金の問題がある。希望の党との合流方針を決めた前原誠司代表が民進党に今も残っているのは、代表として、資金や組織を希望の党に移すことを想定して、選挙後の事務手続きに備えたためだ。参院民進党から前原氏の解任論が出ているのは、これに対抗する意味がある。 2015年分の政治資金収支報告書によると、旧民主党には15年時点の翌年繰越額が約140億円あった。その後も民進党には政党交付金として、16年に約93億円、17年は10月20日支給分を含めて約65億円が振り込まれた。ただし16年参院選、17年衆院選と国政選挙が相次ぎ、現在の残高は「100億円を切った」(党関係者)という。それでも野党再編の資金としては魅力的だ。
ボードに並ぶ多くの花を背に報道各社のインタビューに答える安倍晋三首相=東京都千代田区の党本部で2017年10月22日午後10時41分、川田雅浩撮影 22日投開票された衆院選は、自民党が大勝する結果となった。「今後も謙虚に誠実に結果を出していくことに全力を尽くしていきたい」。こう語った安倍晋三首相(自民党総裁)に、有権者たちは何を求めているのか。子育て、働き方改革、原発政策--。さまざまな課題が山積する中、首相への注文を聞いた。 子育て支援、早く 首都圏などで状況がなかなか改善しない待機児童問題。3歳と1歳の子供がいる東京都日野市の女性会社員(35)は「子育て支援など生活の向上につながる政策をスピード感を持って決めていってほしい」と求めた。 女性は今春、育児休暇から復職し、子供2人は別々の保育園に通う。自宅から遠い場所なら同じ認可保育園に入れたかもしれないが、送迎の負担が大きく断念した。来春
今回の衆院選は「自民、公明両党」「希望の党、日本維新の会」「立憲民主、共産、社民3党」の3極が全国で入り乱れる混戦となった。このため、野党が与党と事実上の一騎打ちに持ち込めたのは全289小選挙区のわずか5分の1の56選挙区。多くで野党が分裂・競合し、選挙結果には与党が「漁夫の利」を得たことが鮮明に表れた。【村尾哲】
「小池さん、待てど来ず」 発足当初の勢いを失い、公示前の勢力を大幅に減らす結果となった希望の党。落選した候補者の陣営からは、小池百合子代表への恨み節も聞こえた。 「小池さんはいつ来るんだろうと思っていたら、一緒に街頭に立つことはなかった。落下傘候補の本人がかわいそう」。元熊本県議で東京7区から立候補した希望の荒木章博氏の陣営関係者が、小池代表の選挙応援のあり方に不満を述べた。 「(選挙期間中の)12日間で党勢の失速というのがね……」。9月に民進党に離党届を出して除籍され、希望の公認候補として出馬した栃木1区の柏倉祐司氏の陣営幹部が振り返った。ただ幹部は「希望の党を信じて戦ったわけですから」と語り、結果を受け止めていた。
テレビのインタビューに応じる民進党の前原誠司代表=東京都千代田区で2017年10月22日午後9時37分、佐々木順一撮影 希望の党は公示前勢力の57議席を維持できず敗北したことで、党内が動揺している。結党メンバーも多くが落選し、立て直しは難航が必至だ。小池百合子代表への不満も相次ぎ、混迷は深まっている。希望との合流を決断した民進党の前原誠司代表は辞任する意向を示した。 希望は過半数ライン(233議席)を上回る235人を擁立したが、はるかに及ばず、野党第1党も立憲民主党に譲った。樽床伸二代表代行は23日午前、国会内で記者団に、党勢を失速させた小池氏の「排除」発言を巡り「表現一つで大きく党勢が変わる脆弱(ぜいじゃく)な態勢だった」と語った。 当選者の大半は民進党から合流した前職や元職で、小池氏側近の若狭勝氏も落選した。小池氏の求心力は急激に低下している。当選した民進党出身の前職は「小池氏の責任を
小池百合子・東京都知事による希望の党結成から総選挙まで、「劇場型政治」「劇場型選挙」という言葉が飛び交った。その最中、劇作家・演出家の平田オリザ氏が朝日新聞の10月5日朝刊(東京都内版)のインタビューで怒った。「マスコミが『小池劇場』『劇場型政治』と呼ぶことに憤りを感じます。劇場は市民が集い、作品について『対話』し、考えを深める場です。いまの政治家がしているのは、それとは全く違い、目先の視聴率を競う『テレビ型政治』です」 「劇場」にこだわったのは平田氏だけではない。日経新聞の同9日朝刊1面コラム「春秋」は、両国の寄席をのぞいたところ、落語家が「希望の党を排除された人、排除した人」を噺(はなし)のなかに登場させ、大喝采を浴びていたと紹介。「『劇場型』といわれる総選挙は、あすが公示日。結末は悲劇か喜劇か不条理か」と問いかけた。
有権者はさまざまな思いを込めて一票を投じた=仙台市青葉区で2017年10月22日午後4時3分、川口裕之撮影 毎日新聞の調べでは、第48回衆院選の投票率は53.60%(小選挙区)で、戦後2番目に低い水準になる見通しだ。序盤から与党優位が伝えられたため有権者の関心が高まらず、投票日の22日が台風で荒天になったことも影響した。一方、小選挙区の期日前投票は前回から6割増で過去最多を更新。全有権者(9日現在)の20.1%と投票率全体を押し上げたため、戦後最低だった前回2014年の52.66%は上回る見込みだ。 今回は、選挙権年齢が18歳以上に引き下げられてから初の衆院選。投票率の伸び悩みは、野党が分裂して「政権選択選挙」の色合いが薄れたことも影響したとみられる。
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