自衛隊の大型車の後ろを車で走り、4月18日午後4時ごろ、熊本県南阿蘇村の久木野(くぎの)庁舎に戻ってきた。現場の指揮をとる先輩記者が手招きしている。昨日、役場の窓口で見かけた男女を、報道陣が囲んでいるのが見えた。 男女は、16日の本震で安否が分からなくなった熊本学園大4年、大和晃(ひかる)さん(22)の父卓也さん(58)さんと母忍さん(48)だった。忍さんは涙を流して訴えた。「晃は思いやりのある子。命に代えてでも助けたい。子を持つ親なら分かるはずです」 16日から夫婦で警察や役場を回り、必死で捜索を頼んだが、情報は乏しく、「救出に動いてもらえないんじゃないか」と不安でたまらなかったという。18日になって、やっと「救出作業が始まったようだ」と聞かされた。