2011/7/1212:3 ロシアのWTO加盟問題の政治化とジレンマ 廣瀬陽子 ■ロシアの悲願、WTO加盟 ロシアは1993年から、世界貿易機関(WTO)の前身である「関税及び貿易に関する一般協定(GATT)」への加盟申請を開始し、GATT、ついでWTOへの加盟を目指してさまざまな交渉や準備を進めてきた。だが2008年8月のグルジア紛争で、ロシアのWTO加盟問題は一旦白紙となる。プーチン首相のほうからWTOに決別を表明したかたちであったが、ロシアにとってWTO加盟は長年の非常に重要な課題であったことを考えれば、それは国際社会で孤立することへの覚悟と強硬さの表われだったといえる。 ■米国によるグルジアの説得 そこでグルジアは、ロシアのWTO加盟問題を外交カードとしてきた。WTOに加盟するためには、貿易の自由化を進めつつ、WTO加盟国と多国間交渉および二国間交渉を終了させる必要がある。つまり、