(前回はこちら) 王立軍と薄熙来が出会ったのは遼寧省と考えていいだろう。 王立軍は公安畑の男だ。1982年から、重慶市に呼ばれる2008年6月まで26年間の長きにわてって、遼寧省の各地で公安関係の業務に携わってきた。「東北の虎」という異名を持ち人望も厚かった。 一方、薄熙来が遼寧省と関わっていたのは1984年から2004年と、これもまた長い。出会うには十分な時間があっただろう。 薄熙来は2007年末に重慶市書記(中国共産党重慶市委員会書記)になると、遼寧省 錦州市の公安局長になっていた王立軍を呼び寄せ、重慶市の副公安局長に就任させた。公安局長が副局長になったのは格下げのように見えるが、これは「昇進」である。重慶市は直轄市なので、その格は省レベルに相当する。従って、その副公安局長は、遼寧省の市の局長よりも職階が上だ。 王立軍が薄熙来から受けた指令は「打黒(ダーヘイ)」(マフィアや汚職などの犯