ブックマーク / webronza.asahi.com (35)

  • 若者達の信念が香港人の心の境界線を乗り越えた - 清義明|論座アーカイブ

    香港の出口はどこにあるのか 激動の香港が終わりをみせない。 6月に発生した大規模なデモと暴動は5カ月以上も続き、かえって過激化の度合いを深めているようにも見える。 筆者が最初に香港に取材した6月にはプロテスター側のシンパは、このデモが非暴力であることを強調し、なかには過激な行為をする若者や香港の立法会(議会)に突入した一団を、「中国共産党がワザと騒乱を大きくするために雇ったヤクザだ」というような陰謀論も大真面目に語られていた。しかし実際は違った。 ネットでの匿名の議論と正体不明の指揮系統のもと、号令直下に機動隊にむかってプロテスターは突撃し、火炎瓶や、威力は小さいものの時限爆弾もどきのものまで現れている。そしてそれは今や白昼堂々と行われている。一般市民の大半がこの闘争を支持しているからだ。ルソーがいう「一般意志」が香港に吹き荒れている。 現在の香港では、民主的な政体であれば政権が交代したり

    若者達の信念が香港人の心の境界線を乗り越えた - 清義明|論座アーカイブ
  • 台湾を覚醒させた近くて遠かった香港の民主化運動 - 藤原秀人|論座アーカイブ

    台湾を覚醒させた近くて遠かった香港の民主化運動 「香港第一」に「台湾第一」が共鳴。台湾で高まる「香港熱」 藤原秀人 フリージャーナリスト 中国屋の私がはじめた連載「中国屋が考える『両岸三地』とアジア、そして世界」。第2回は、初回で書いた香港(「中国建国70年の日、私は香港で市民の歌を聞いた」)から台湾に渡る。そこで私が見たものは…… 香港に冷たかった台湾が 「香港加油」(香港がんばれ) 「光復香港、時代革命」(香港を取り戻せ、我々の時代の革命だ) 香港の民主化デモで叫ばれるスローガンが今、台湾の街角でも聞かれる。 台湾人は国民党独裁を克服して民主化を達成した。その誇りからか、民主化の進まぬ香港にはどこか冷淡だった。その冷たさに慣れてきた私にとって、最近の台湾での「香港熱」は驚きだ。 香港の中国返還から20年あまり。来は台湾をターゲットにした「一国二制度」の「一国」が共産党独裁の中華人民共

    台湾を覚醒させた近くて遠かった香港の民主化運動 - 藤原秀人|論座アーカイブ
  • 「香港は少なくともゴッサムシティよりはましだ」 - 富柏村|論座アーカイブ

    映画〈ジョーカー〉は10月3日に世界同日公開されると大好評。週末までに第1週の興行収入が10月公開映画では過去最高の100億円を突破した。 アクション作品で正義のヒーローに悪役は必要だが〈バットマン〉のジョーカーほど人気ある悪役は他にいない。ジョーカーは非情なのだが、何処か憎めないトリックスター的なキャラクターで、正義や権力を嘲笑うような道化師。映画作品では〈バットマン〉でのジャック=ニコルソンや〈ダークナイト〉でのヒース=レジャーが実に印象深いジョーカー像を名演したことも印象的で、ジョーカーをスーパー級の悪役(Supervillan)にした。 今回の〈ジョーカー〉はバットマンも登場せず、1980年代らしいゴッサムシティを舞台にジョーカーの誕生を描いている。ニューヨークを彷彿させるゴッサムシティは貧富の格差が激しく、市の財政難で社会福祉予算削減、ストライキでゴミ収集も停滞で治安も悪い社会情

    「香港は少なくともゴッサムシティよりはましだ」 - 富柏村|論座アーカイブ
  • 香港政府の覆面禁止 「顔認証」への重い問いかけ - 塩原俊彦|論座アーカイブ

    なし崩しに進められる監視強化 香港政府に抗議するデモ・集会参加者の多くが、黒や白などのマスクをつけて「顔認証システム」をかいくぐろうとしている。この現状を阻止するために、行政長官が緊急時に公共の利益のために必要な規制を制定できる「緊急状況規則条例(緊急条例)」を適用し、デモ参加者がマスクなどで顔を覆うことを禁止する「覆面禁止法」を10月5日から導入した。 だが、この措置がとられる以前から、すでに香港では監視カメラのレンズをペイントしたり、カメラを覆ったりする行動が広がっている。さらに監視カメラを高く設置するためのポスト自体を倒す過激な動きまである(https://www.youtube.com/watch?v=u1Ji7wonUhE)。 中国土では、主要都市で通りや広場、交差点、駅などの人の集まる場所とその周辺を死角なしで360 度を監視できるようにする計画が進行中だ。これは老子の「天網

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  • 千葉の小児科医が台風15号と大停電から考えた事 - 松永正訓|論座アーカイブ

    千葉の小児科医が台風15号と大停電から考えた事 政治・報道の初動の遅れにいら立ち。人々の関心を呼び覚ますメディア報道こそ 松永正訓 小児外科医・作家 私の自宅はJR千葉駅から車で30分くらいの住宅街の中にあります。そして自宅から千葉駅の方に向かって車を20分走らせると、私の働く小児クリニックがあります。今回の台風15号に伴う大停電を通じていろいろなことを考えました。そのことを綴ってみたいと思います。 風のうなりでほとんど眠れず 9月8日(日)の朝日新聞の朝刊には「台風15号 今夜から関東接近」というニュースが社会面に載っています。しかし言ってみれば、報道の内容はそれだけに過ぎません。テレビのニュース番組を見ると、台風の予報円は千葉県(特に南部)を直撃すること、強烈な暴風が予測されることを報じていました。 「暴風や高波、土砂災害、河川の増水に警戒してください」というのは、気象庁の常套句みたい

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  • 香港では台風が来ても出勤すべきか迷わない - 富柏村|論座アーカイブ

    台風15号の影響でダイヤが大幅に乱れ、JR三鷹駅では朝9時過ぎには入場規制がかかり、駅構外まで長い列ができた=2019年9月9日 千葉や羽田空港で観測史上最強の暴風を記録した台風15号。首都圏では、台風が関東地方に夜遅く上陸すると見込まれた8日夕方には、JR東日が翌9日の始発から午前8時頃まで運転見合わせの計画運休を発表した。首都圏では昨年9月の台風24号以来の2回目。台風の接近を前に交通機関は早めの運休を決めたことで、市民の帰宅を早め、翌朝の通勤通学に支障が出ないようにする措置だった。 台風15号は関東での風雨のピークは9日未明から朝方にかけてで、風雨が弱まるにつれ、午前8時とされた鉄道再開を目指し鉄道駅には通勤客が集まり始めた。しかし暴風が弱まるのが予想より遅く、鉄道施設の安全確認の作業にも時間がかかり、倒木など被害もあり運転再開は遅れが出た。それにより津田沼や川崎、都心でも新宿など

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  • パッテン総督が警告した「香港の力量不足」 - 富柏村|論座アーカイブ

    返還直前。整列した皇家香港警察訓練学校の卒業生を、一人一人祝福して歩くパッテン総督= 1997年6月21日、香港島・黄竹坑で 私の不安は、この(香港)社会の自治権は北京に奪われるのではなく、香港の一部の人々によって少しずつ除される可能性があるということだ。 My anxiety is this: not that this community's autonomy would be usurped by Peking, but that it could be given away bit by bit by some people in Hong Kong. これは1996年の秋、香港で立法年度の期初にクリス・パッテン総督が行った施政方針表明の一節。1997年7月1日の香港返還を控え英国領香港で最後の香港総督による最後の施政方針で、1992年に着任し香港の政治民主化に着手し、それが中英合

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  • 香港に迫る「社会信用システム」の悪夢 - 富柏村|論座 - 朝日新聞社の言論サイト

    大型デモの嚆矢となった2003年の50万人デモ 香港の十万、百万人単位の市民デモは、1989年の北京の天安門事件に呼応した運動を除けば、2003年の50万人デモが、その嚆矢といえる。 春にSARSの疫禍があった年の、香港特区設立記念日の7月1日に、多くの市民が香港基法23条(注)に基づく国家安全条例制定に反対し、香港政府ではこの立法化を強引に進めていた保安局長が退官。行政長官・董建華が同年9月にこの条例草案を「撤回」した。同年11月の区議会統一選挙では、この条例化に賛成していた親中派の民建聯が惨敗し党首が責任をとり辞任、董行政長官も2005年に任期を2年残し健康上の理由で辞任に至るきっかけが、この50万人デモだった。 (注) 第23条 香港特別行政区は国に対する謀反、国家を分裂させる行為、反乱を扇動する行為、中央人民政府の転覆、国家機密窃取のいかなる行為も禁止し、外国の政治組織・団体が香

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  • 「必要善」として花開いた香港のデモ文化 - 富柏村|論座アーカイブ

    立法会敷地内の屋根付きの「指定デモ区」で集会を開く若者たち=2019年6月17日、写真は以下すべて筆者撮影 「人類史上、最も大規模な市民デモ」 香港の「逃亡犯条例」改正に反対する100万人単位の大規模な市民デモが世界の注目を浴びている。 6月9日に主催者発表で100万人といわれる市民デモがあり香港政府にはかなりの圧力となったが、12日の若者らによる政府取り囲みの道路占拠を「暴行」として警察が鎮圧を強行、この政府の対応に対して更に反発が強まり16日も抗議市民デモが計画された。最大級の100万人デモから1週間で政府にもそれなりのインパクトを与えている中、次のデモはあくまで「再度プレッシャーをかける」ものだというのが大方の予想で、主催者も100万人規模は想定しないものだった。 しかし15日になってやっと釈明に現れた林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は条例改正についての日程と方策の見直しこそ明言し

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  • 香港の若者たちは何を守ろうとしているのか - 富柏村|論座アーカイブ

    逃亡犯引渡し条例改正に反対し、香港政府や立法会に近い道路を占拠する若者を中心とした数万人の市民=2019年6月12日、写真は以下すべて筆者撮影 中国とは関係のない「香港の価値」 香港の若者たちは何を守ろうとしているのか? 「香港の価値」であることは間違いない。中国にとっても香港の価値はあった。鄧小平の改革開放政策の中で香港の資、ビジネスのノウハウやシステムを中国は取り入れる必要があり、それによって中国が豊かになるという構図。香港返還の1997年で見ても、香港の当時のGDPは中国全体額の20%にも匹敵するものだったのが今では3%でしかない。2018年には深圳のGDPが香港を抜いた。 かつて中国にとつて「金の卵」を生む貴重な国際経済都市も、今となっては中国にとって香港が「上海や深圳と何が違うのか」となる。中国の国力と社会の安定に自信をもてば、なぜ「何かと国内の政治的安定まで脅かす」香港だけに

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  • 天安門事件30年 かつての香港はもう存在しない - 李怡|論座アーカイブ

    香港の「逃亡犯条例」改正案に反対する民主派のデモ。警官役がオリの中を監視するパフォーマンス=2019年4月28日 香港はもはや政治難民を生み出す場所になった 1989年6月4日の天安門事件(六四)から30周年、香港では誰もがあの年の〈黄雀(イエローバード)作戦〉を思い出すだろう。天安門事件で暴政により指名手配された政治難民は、香港をシェルター港として、そこから他の国々に出ていった。香港は人権擁護という文明の典型として国際的に評価された。 30年後の今日、香港特区政府は刑事事件の容疑者を中国土に引き渡すことを可能にする〈逃亡犯条例〉改悪を推進する。香港はもはや政治的圧迫を受ける人たちの避難所ではなく、政治難民を生み出す場所に様変わりしようとしている。30年で政治難民の受け入れから、その産出というこの大転換は、人類史上、社会文明の急激な凋落の典型となるのだ。 海外メディアの報道によれば、民主

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  • 「こんなはずじゃなかった」香港の無間道 - 富柏村|論座アーカイブ

    「壮大な計画」を狂わせた事件 香港が英国から中国に返還され、中国の特別行政区になってから22年が経つ。 最近、香港から伝わるニュースといえば香港政府が制定を急ぐ中国への「逃亡犯引き渡し条例」改悪であり、時間を遡れば、香港の書店関係者が反中国政府の出版販売の廉で行方不明になり広東省で公安の調査受けた銅鑼湾(コーズウェイベイ)書店事件であり、四年前には滞る普選実施に反発した学生・市民が香港の心臓部を道路占拠する〈雨傘運動〉であり、年中恒例行事のような数万人規模の反政府市民デモ……と、香港を巡るニュースは「このままで香港は大丈夫なのか」ばかり。 当は「こんなはずじゃなかった」。 1984年に中英合意で香港が1997年に英国から中国に返還され、これを危惧する移民ブームこそあったが、〈一国二制度〉と〈五十年不変〉という「鄧小平の約束」を多くの人々は前向きに受け取った。それが、その壮大な計画が狂った

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  • ゲノム編集ベビー「いずれ容認」への一歩か? - 粥川準二|論座アーカイブ

    ゲノム編集ベビー「いずれ容認」への一歩か? 「双子の女児誕生」発表をめぐる科学者の議論が浮かび上がらせた問題点 粥川準二 叡啓大学准教授(社会学) すでに広く報道されているように11月25日から26日にかけて、中国の研究者が世界で初めて「ゲノム編集ベビー」、つまり遺伝子を改変した赤ちゃんを誕生させたと主張していることが明らかになった。その後に香港で開催された国際会議でも彼は同じ主張を繰り返したが、専門家たちもメディアもその正当性に納得していないだけでなく、そもそもその臨床研究が当に行われたのかどうかさえはっきりしない。 その経緯を振り返るとともに、筆者なりに問題点を抽出してみる。 ゲノム編集された双子「ナナ」と「ルル」 11月25日、ウェブメディア『MITテクノロジー・レビュー』が「スクープ」として、中国の深圳にある南方科技大学の賀建奎(が・けんけい、フー・ジェンクイ)副教授らが「CRI

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  • パンダと中国外交~愛らしい“大使”の変容(上) - 吉岡桂子|論座アーカイブ

    パンダと中国外交~愛らしい“大使”の変容(上) 「世論工作」を源流とするパンダ外交は、中国の大国化を受けてどうなる? 吉岡桂子 朝日新聞編集委員 海を渡ったパンダの足跡を追って、アメリカロシア、欧州から東南アジア、香港、韓国台湾、そして日を歩き、朝日新聞夕刊で連載した(「海を渡ったパンダをたどって」)。連載を書きながら感じたのは、パンダの丸い背中越しに中国を見つめる人々の多様なまなざしだ。日中戦争時のアメリカにおける「世論工作」を源流とするパンダ外交は、戦後、様々に変容してきた。中国が再び大国化するなか、これからどのような変貌をとげるのだろうか――。連載には書ききれなかった米欧日の識者の含蓄ある「言葉」を2回にわけて紹介したい。(編集委員・吉岡桂子) 中国外で最多のパンダを抱える米国 今や世界21カ国・地域に約70頭の特派されているパンダ。最も多く派遣されているところはどこか? 答え

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  • 香港「雨傘運動」を描く、希望のドキュメンタリー - 大友麻子|論座アーカイブ

    オキュパイ(占拠)当時、香港大学1年生だったレイチェルは、今はNGOで人権活動に関わっているという=『乱世備忘 僕らの雨傘運動』より(以下同様) 2014年、アジアの若者たちのムーブメント 2014年、アジア各地で起きたムーブメントは、この先の未来、どのような文脈で語られていくのだろう。 2014年3月、台湾では、国民党政府が中国と結んだ「中台サービス貿易協定」の審議を強行採決したことに抗議し、学生たちが立法院(国会)を23日にわたって占拠するという、いわゆる「ひまわり学生運動」が発生、政府から一定の譲歩を引き出すことに成功した。 9月には、香港で「真の普通選挙」を求める学生や市民たちが数万人集結、79日間にわたって中心街を占拠した。警察の催涙弾から身を守るための「雨傘」は、この運動のシンボルとなり、「雨傘運動」と呼ばれるようになる。 一方、日の2014年といえば、特定秘密保護法に反対す

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