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  • 香港の「一国二制度」コモン・ロー主義は中国の大陸法に力ずくで書き換えられてしまうのか? - ふるまいよしこ|論座アーカイブ

    香港の「一国二制度」コモン・ロー主義は中国の大陸法に力ずくで書き換えられてしまうのか? アップルデイリー裁判の弁護人選びが浮き彫りにするもの ふるまいよしこ 中国/香港専門フリーランスライター 2023年、香港は2019年のデモやそれにまつわる裁判が続く。特に注目されるのが、ネットメディア「立場新聞」の「煽動出版物発行共謀罪」裁判、2020年立法会議員改選における民主派予備選挙参与者の「国家政権転覆共謀罪」裁判、そして新聞「アップルデイリー」(蘋果日報、「リンゴ日報」とも訳される)への「国家安全を損なう外国勢力との共謀罪」裁判だ。そのどれもが2020年6月に中国政府が制定した「香港国家安全維持法」(以下、国家安全法)が適用され、また被告のほとんどは未決囚としてすでに1年以上拘束されたままだ。 同法施行以降、「改善」と謳うものの実質的内容は民主からは大幅な後退となった選挙制度の改定など当局主

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  • 香港返還25年 反故にされた「自治」の約束~天安門事件記念集会も封じ込め - 藤原秀人|論座アーカイブ

    香港返還25年 反故にされた「自治」の約束~天安門事件記念集会も封じ込め 経済都市から警察都市へ。それでも忘れてはいけない声をあげることの大切さ 藤原秀人 フリージャーナリスト 1997年7月1日、香港は英国から中国に返還された。今年はそれからちょうど25年になる。 1日に香港で開かれる記念の式典には、コロナ禍で北京にとどまり続ける習近平国家主席・共産党総書記も出席し、返還の成果を誇示するのではと伝えられる。しかし、香港の高度な自治は50年間は続く、と中国側が宣言した「一国二制度」の約束は、約束の半分もたたないうちに反故(ほご)にされている。 警官隊に封鎖されたビクトリア公園 中国の領土でただ一つ天安門事件の犠牲者を悼む公開の集会が続いていた香港。だが、中国共産党と政府の意向に反した言動を取り締まる香港国家安全維持法 (国安法)が2年前の6月末に施行され、集会は今年も封じ込められた。 香港

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  • 「リンゴ日報」最後の日~中国共産党、苛烈化する香港民主派への弾圧 - 今井 一|論座アーカイブ

    「リンゴ日報」最後の日~中国共産党、苛烈化する香港民主派への弾圧 合法的な脅しと暴力によって“抹殺”された「自由」と「民主」 今井 一 ジャーナリスト・[国民投票/住民投票]情報室事務局長 中国政府やその支配下にある香港行政府に対して批判的な姿勢を貫いた新聞「蘋果日報」(リンゴ日報=Apple Daily)は、6月24日付の同紙発行をもって廃刊となった。また、この廃刊に伴い、デジタル版(登録会員は世界中に380万人いて、そのうち有料会員は63万人)によるニュース配信も終了した。 これは、習近平・中国共産党の「合法的な脅しと暴力」による“抹殺”だ。彼らが殺したもの。それは「蘋果日報」という新聞だけではない。言論・表現の自由、とりわけ中国政府や中国共産党を批判する自由を、主権者であるはずの人民(香港市民)やさまざまな香港メディアから奪った。 当局による「蘋果日報」に対する攻撃は今に始まったこと

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  • 激化する米中対立 「香港自治法」の影響は? 香港はどうなる? - 武田淳|論座アーカイブ

    激化する米中対立 「香港自治法」の影響は? 香港はどうなる? 米国の対中経済制裁はポーズか。「一国二制度」は形骸化、中国化が加速する香港 武田淳 伊藤忠総研チーフエコノミスト 世界中が新型コロナウイルスに翻弄されるなか、米国と中国の対立が着実に激しさを増している。 今年1月、ひとまず合意した貿易摩擦問題は、少なくとも11月の米大統領選まで静観されるかと思われたが、6月にトランプ大統領が合意事項である中国の輸入拡大の履行を改めて求めるなど、関税引き上げ合戦となった米中貿易摩擦が再燃する可能性を意識させた。その一方で、米中経済戦争の主戦場は、ファーウェイ問題に象徴される先端技術を巡る攻防に移っており、米国による同社など中国企業の排除のみならず、これまで同社の使用を認める方針を示していた英国が排除姿勢に転じるなど、他国を巻き込む広がりを見せている。 「香港国家安全維持法」制定で対中姿勢を変えた英

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  • 司法の独立を失った香港は国際金融都市から中国の金融都市に変わる - 吉岡桂子|論座アーカイブ

    司法の独立を失った香港は国際金融都市から中国の金融都市に変わる 許成鋼・香港大名誉教授に香港の将来、コロナ後の中国と世界経済を聞く 吉岡桂子 朝日新聞編集委員 中国政府が「香港国家安全維持法」の施行を強行、英国からの返還後も高度な自治を約束した「一国二制度」を壊そうとしている。米中対立の矢面にも立つ国際金融都市・香港の行方は――。コロナ後に中国、そして世界経済はどうなるのか――。研究拠点を香港からロンドンに移したばかりの中国出身の経済学者、許成鋼・香港大学名誉教授にきいた。 許成鋼(Xu Chenggang シュイ チョン・カン) 1950年中国生まれ。経済学者。香港大学名誉教授、長江商学院教授。清華大学大学院修了後、米ハーバード大学で経済学博士。英ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)終身准教授を経て、2016年まで香港大学教授。英国在住。 「一国二制度」が壊された香港の今後

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  • 「香港問題」は公約違反の国際問題~国家安全維持法が施行 - 田中秀征|論座アーカイブ

    「香港問題」は公約違反の国際問題~国家安全維持法が施行 人民中国建国以来の重大局面にどう対応するか 田中秀征 元経企庁長官 福山大学客員教授 香港の返還記念日(7月1日)の前日、「香港国家安全維持法」(国安法)が施行された。記念日恒例の集会やデモを封殺するために間に合わせたのだろう。 これを受け、香港政府当局は、抗議のために街頭に出た1万人を越える市民に対し、施行されたばかりの法律を適用し、10人を逮捕、約300人を拘束した。 昨年の「逃亡犯条例改正案」をめぐる「200万人デモ」、さらに区議会選挙での民主派の圧勝によって、香港の市民たちは、中国政府が今度こそ牙をむいて向かってくることを承知している。このまま9月の立法会選挙を迎えれば、民主派が圧勝しかねないからだ。 中国政府として、それを事前に粉砕するための“装置”が国安法であり、それに対応する「国安護持公署」である。くわえて、今まで英国譲

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  • 中国が制定した国家安全法で香港が空洞化する! - 田中秀征|論座アーカイブ

    中国が制定した国家安全法で香港が空洞化する! 自由で民主的な国際都市としての独自の魅力が失われて 田中秀征 元経企庁長官 福山大学客員教授 中国テレビではアメリカでの激しいデモの様子がしきりに伝えられているらしい。政府がメディアをコントロールする中国である。政府とすれば、「わが国にはそんなデモはない」と言いたいのか、それとも「わが国の警察や軍は国民を弾圧しない」と言いたいのか。 だが、中国のほとんどの国民の受け止めは、そうではないだろう。アメリカでは、民衆の声や力は選挙に反映され、トップの大統領を交代させることもできる。また、アメリカでは、大統領がいかに反発してもメディアが世界に向かって、いま起きている事実をありのままに発信することができる。中国の人たちは、それをうらやましく思っているのではないか。 そもそも、アメリカのデモの発端となった黒人への人種差別という根深い問題に目を向ければ、中

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  • 米中が「香港カード」を持ち合う中で、日本企業はどういきるか - 高島大浩|論座アーカイブ

    米中が「香港カード」を持ち合う中で、日企業はどういきるか アフターコロナの処方せんだけでは解けない、香港とのビジネスの向き合い方 高島大浩 ジェトロ香港所長 今年第1四半期の在香港日系企業の業績に基づく景況感指数(DI値*)は、マイナス56.7ポイントとなった。もとより、米中貿易戦争中国の景気低迷、香港デモの影響を受け、昨年第4四半期の数値もマイナス19.4ポイントとダメージを受けており、37.3ポイントの大幅な下落をみせた(掲載図参照)。そして、ビジネスの操業環境に影響を与えた項目の中で、新型コロナウイルスを挙げた企業が95%を占めた。 (*)営業利益が前期比で「改善」と回答した企業の割合から、「悪化」および「大幅悪化」と回答した企業の割合を引いた数値。 新型コロナウイルスが世界的に感染拡大する直前、1月前半時点の第1四半期の予測値は、マイナス11.8ポイントと悪いながらも前期よりは

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  • 大学病院は「最後の砦」である~東京医科歯科大 コロナ・パンデミックとの闘い - 大川 淳|論座アーカイブ

    大学病院は「最後の砦」である~東京医科歯科大 コロナ・パンデミックとの闘い 重要なのは看護師の数、清掃を担った外科医たち、これが続けば年間100億円の減収… 大川 淳 東京医科歯科大学 理事・副学長(医療・情報担当) 整形外科学教授 我が国における新型コロナウイルス感染症との1回目の戦いもようやく収束しつつあり、緊急事態宣言対応も多くの自治体で終了します。メディアでは出口戦略の議論が盛んとなり、経済活動と社会生活の回復が焦点となっています。 しかし、一方では自粛解除により三密状態が再発し、パンデミックの第2波が発生することも危惧されています。また、ワクチンの登場までは慢性的に患者が発生するともいわれています。 長期戦になっても医療の最後の砦である大学病院が提供できる役割は少なくありません。私たちの大学病院での4月以後の経験に基づき、慢性期に向かっての対策を提案します。 <はじまり> 東京医

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  • 徹底して情報公開される香港の新型コロナウイルス感染経路 - 富柏村|論座アーカイブ

    「アモイガーデン」。この香港のマンションの名前はをまだ記憶している人は、日にも少なくないかもしれない。2003年のSARS疫禍で香港の九龍湾地区にある、香港の典型的な密集型マンション群である淘大花園(Amoy Gardens)で312人ものSARS感染者が出て海外にも大きく報道された。 「そこまでやるか」と驚く情報公開 敷地面積は東京ドームの4割である2万㎡に30〜40階建てのマンション19棟が寄せ合い約4,800世帯の約1万人が居住する。深刻な感染はとくにE棟に4割が集中。この棟に強度な感染力のある保菌者がおり、下水道管を介して階下に、そして浴室の換気扇からウイルスが近接の棟にも広まっていた。E棟の住民は3月末から10日間、住宅地から比較的距離のある自然活動センターの宿泊施設に強制的に隔離された。 それから17年。このSARS疫禍の経済打撃で香港の地価は大幅下落したが、その後の中国政府

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  • 香港区議選から学ぶ投票率アップのために必要なこと - 大濱﨑卓真|論座アーカイブ

    香港区議選から学ぶ投票率アップのために必要なこと 民主化デモはどうして高投票率につながったのか?選挙プランナーが考えた 大濱﨑卓真 選挙コンサルタント 昨年11月に行われた香港の区議会議員選挙では、民主派の圧勝と同時に、投票率が急上昇したことが大きな話題となりました。前回区議選の47%から71%と実に24ポイントも上昇したわけですが、民主主義の先進国・地域において投票率が20ポイント以上も上昇することは非常にまれなことです。 香港と同様に小選挙区制度を導入している日の衆議院議員選挙では、小選挙区制度導入後に投票率が70%を超えたことはありません。(小選挙区制度導入後最も高かったのは平成21年の69.28%であり、70%を超えたのは最後の中選挙区制度であった平成2年の73.31%まで遡る必要があります) 筆者は、この香港区議選が香港民主化デモの分水嶺になると同時に、民主化運動下における選挙

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  • 新型肺炎。マスクはしないフランスの徹底的な危機管理 - 山口 昌子|論座 - 朝日新聞社の言論サイト

    世界を震撼とさせている新型コロナウイルスが欧州に上陸して約1カ月。私が住むフランスでも、中国・武漢からの帰還者が完全隔離されるなど、“戒厳令下”を思わせる緊張した雰囲気が続いている。チャイナ・タウンの中国系の子どもたちがイジメにあうといった嫌なムードも漂う。そんななか期待されているのは、狂犬病のワクチンを開発したパスツールが開設した研究所だ。 日人を上回る新型コロナウイルスへの恐怖 2月の初め、年末年始を過ごした東京からパリに戻ってきた。日との最大の違いは、マスクをする人がいないことだ。東京を歩いていると、すれ違う人の多くがマスクを付け、ドラッグストアやコンビニからマスクが消えたが、パリに帰って1週間、マスクをしたパリ市民にお目にかかったことがない。 とはいえ、新型コロナウイルスを気にしていないわけではない。それどころか、新型ウイルスと新型肺炎への恐怖は日人をはるかに上回っているよう

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  • 新型コロナウイルス防疫も政治化する香港 - 富柏村|論座アーカイブ

    「条例改定撤回」を除けば、他の四つ「市民の抗議活動を〈暴動〉とみなす見解の撤回」「デモ参加者の逮捕及び起訴の中止」「警察の暴力制圧に対する独立調査委員会設立」「警察調査実施」はどれも実現は難しい。

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  • 中国における「日本人スパイ狩り」の背景 - 柴田哲雄|論座アーカイブ

    はじめに 周知のように、近年中国において、日人が相次いでスパイ容疑で拘束されています。インテリジェンス活動やカウンター・インテリジェンス活動を担う国家安全省の当局によるものです。幸いにして、北海道大学の40代の男性教授は拘束を解かれ、無事に帰国することができました。しかしその後も、伊藤忠商事の40代の男性社員(2018年2月に広東省広州市で拘束)が懲役3年の刑を科され、さらには介護関連の50代の男性従業員が湖南省長沙市で拘束されました。2015年以降にスパイ容疑で拘束された日人は少なくとも15名に上り、そのうち9名に懲役3~15年の実刑判決が下されています。日人スパイ狩りの様相を呈していると言ってよいでしょう。 一般的には、2014年から15年にかけて「反スパイ法」や「国家安全法」が制定されたことを契機にして、日人スパイ狩りが始まったと理解されています。確かにその通りなのですが、他

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  • 香港の警察はなぜ暴力をエスカレートさせるのか - 富柏村|論座アーカイブ

    香港で6月に格化した逃亡犯条例に反対する市民の大規模な抗議活動が始まってから半年が過ぎた。この条例じたいは9月に入り林鄭月娥・行政長官が正式に「撤回」を表明、10月に立法会(香港特区の国会に相当)で正式に撤回された。これで抗議活動は一つの成果に達したのだが、市民の怒りは収まるどころか更に強くなっている。 その大きな原因になっているのが、「警察の暴力」だ。 世論の鎮静化を妨げた暴力的鎮圧 11月24日の区議会選挙は民主派が圧勝して8割の議席を獲得、親中派で政府寄りの「建制派」政党は大敗した。区議会は政治的役割は薄いのだが、この区議会選挙は小選挙区制で、今回479議席中27議席の新界地区にある郷事委員会〔Rural Committee〕枠を除く94%の議席が有権者の直接普通選挙で選ばれる、香港で唯一の直接普通選挙制度を採用している。そのため、過去にも2003年に香港政府が香港基法23条に基

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  • 民主派大勝で頑なになる中国。香港に活路はあるか - 藤原秀人|論座アーカイブ

    民主派大勝で頑なになる中国。香港に活路はあるか 民主派が親中派を圧倒した区議選の後も続く香港デモ。出口が見えない民主化運動 藤原秀人 フリージャーナリスト バス停の位置やごみ回収の回数など暮らしに身近な問題を扱ってきた香港区議会の選挙は今回、民主化をめぐる「住民投票」の様相となり、民主派が親中派を圧倒し地滑り的な勝利を収めた。 選挙から3日後の11月27日には、トランプ米大統領は香港の人権と自治を擁護するための「香港人権・民主主義法案」に署名し、「内政干渉」として中国側が猛反対していた同法は成立した。これは、香港特別行政区政府やその後ろ盾である中国への抗議を続けている民主派への支援になるが、中国側に譲歩の兆しは見られない。むしろ、より強張り、居丈高になっている。 区議会選挙が直接選挙になったわけ 独裁を続けたい中国共産党にとって、リーダーを民主的な投票で選ぶことは、体制転覆につながりかねな

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  • 香港と中国本土との間の根本的な価値観の違いとは - 高橋 浩祐|論座アーカイブ

    香港と中国土との間の根的な価値観の違いとは 「自由」か「平和」か。香港デモをめぐって相互に不信を募らせる香港市民と深圳市民 高橋 浩祐 国際ジャーナリスト 焼け焦げたヘルメットや瓶、缶、、下着、傘、さらに散乱するガラスの破片――。 11月中、香港デモの拠点となり、世界中のメディアで取り上げられた香港理工大学の現場を11月28日に訪れた。ありとあらゆるものが丸焦げになり、四方八方に散らばっていた。鼻を突く油の臭いと、焦げ臭い空気が周囲に漂う。デモ隊と香港警察がもろに衝突した正門付近には、バリケード代わりに椅子や机が山積みになっていた。 正門前の道路ではちょうど、損傷が目立つアスファルト舗装の工事も始まっていた。すべてがデモ隊と香港警察の衝突の激しさを物語っていた。 近くで取材していた日メディアの新聞記者は「まるで戦場のようだ」ともらした。その傍らで、私はなぜか1995年1月に起きた阪

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  • 顔認識の香港〜近未来からの報告 - 下條信輔|論座アーカイブ

    顔認識の香港〜近未来からの報告 匿名性の崩壊が導く、新しい「なりすまし社会」 下條信輔 認知神経科学者、カリフォルニア工科大学生物・生物工学部教授 「顔は自分に属するといふよりも半ば以上他人に属してをり、他人の目の判断によつて、自と他と区別する大切な表徴なのである」 (安部公房の小説『他人の顔』を論じた三島由紀夫の評論『現代文学の三方向』の一節) これからお届けするのは、SFのようなお話である。しかし私が専門とする知覚心理学、脳神経科学の見地から、十分な科学的根拠を持ったお話だ。まずは2019年の香港の風景からお届けしよう——。 <Hong Kong 2019-’20 慢性化する抗議デモと、マスク> 民主化を求める香港の抗議行動は、2019年末現在、ますます深刻化・過激化しつつある。ただ区議会選挙で民主派が圧勝して盛り上がった後は、むしろ「慢性化」というのが的確だろう。黒ずくめの上下、マス

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  • 香港区議選の民主派圧勝と香港人権法成立で中国は - 田中秀征|論座アーカイブ

    香港区議選の民主派圧勝と香港人権法成立で中国は 民主派の要求を阻止するのは至難の業。日の国会も明確な意思表示を 田中秀征 元経企庁長官 福山大学客員教授 世界の注目を集めた香港の区議会選挙(11月24日)は、民主派が全452議席の8割以上の385議席を獲得する、歴史的な勝利をおさめた。この結果を、国際社会の大方は双手(もろて)を挙げて歓迎している。 香港の区議会は、日の区議会を思い起こせばよい。実際のところ、身近な仕事務で、香港の重要政策や重要法案の決定に参画するものではない。 ただ、香港のトップである行政長官や立法会議員が反民主的な方法で選出されるのに対し、1人1票の直接選挙で選ばれる。しかも、いわゆる小選挙区制である。それゆえ、学生や青年層を中核とする民主派は、この選挙を、民主派が掲げる香港の争点を問う「住民投票」と位置づけてきた。 民主派の主張は、「五大要求」として打ち出され

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  • 未来をかけた“戦場”と化した香港で起きている事 - 吉岡桂子|論座アーカイブ

    未来をかけた“戦場”と化した香港で起きている事 香港の将来像を描いたオムニバス映画『十年』を手がけた蔡廉明さんに聞く 吉岡桂子 朝日新聞編集委員 国際金融都市の香港が、自らの未来をかけた“戦場”と化している。街中を催涙弾と火炎瓶が飛び交い、24日に予定される区議会議員の選挙が、かつてない注目を集める。中国の影響力が強まっていく香港の将来像を描いたオムニバス映画『十年』の“世界”を、現実が早送りで追い越していくようだ。4年前に上映され、話題を呼んだこの映画のプロデューサー、アンドリュー・チョイ(蔡廉明)さん(48)に、香港の現状について聞いた。チョイさんからは、未来を楽観できないとしつつ、それでもいつか、若者の希望を描きたいという言葉が返ってきた。(聞き手 吉岡桂子・朝日新聞編集委員) アンドリュー・チョイ(蔡廉明) 1971年生まれ。デジタルメディアや映像プロダクションを経て、若者たちの映

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