いま台湾と香港を騒がせているのは、香港民主化に対して支援や協力をしてきた台湾の学者や文化人が、香港への入境を相次いで拒否されているという問題である。 文化人や研究者の「入境拒否」 12月16日、台湾の中央研究院台湾史研究所副研究員の吳叡人氏と、中央研究院社会学研究所副研究員の呉介民氏が、香港中文大学の学生会が主催するシンポジウムのゲストに招かれて、インターネットから香港の入境ビザを申請したところ、発給を認められなかった。また、12月上旬にも台湾の文化団体「中華文化総会」副秘書長の張鐵志氏も入境できなかった。彼らはいずれも香港の民主化運動や「雨傘運動」(2014年に起こった、香港政府に対する民主化要求デモ)の活動家と近い関係にあるか、言論界で香港の運動をサポートする発言を重ねていたことから、「黒名単(ブラックリスト)」に入れられたとみられる。
中国の民主活動家、劉暁波氏が7月13日亡くなった。末期の肝臓ガンが全身に転移した末の多臓器不全が原因で、享年61。病死ではあるものの、自ら述べているように「文字(もんじ)の獄」(中国の歴代王朝で、王朝批判の言論や出版を弾圧してきたこと)による非業の死であった。 死去の情報が流れたのが13日夜。その途端、中国のSNSアプリ『微信(ウィーチャット)』の「朋友圏(モーメンツ=フェイスブックのタイムラインに相当)」には、ロウソクや献花の写真が続々と流れた。劉氏の写真や過去の発言を投稿する者もいたが、一部は削除されていた。中国版『ツイッター』ではしばらく前から「劉暁波」の名前を打ち込んでも検索できないようになっている。
インタビューに応じた方志恒氏は香港の政治学者で、香港教育大学副教授。香港の独自性や香港人のアイデンティティに着目し、編著『香港革新論』で香港と中国を明確に区別し、香港の主体性の確保にポイントを置いた「内部自決」や「永続自治」を掲げた主張を展開した。いま香港で最も注目される若手論客の1人で、9月の立法会選挙で本土派とされる「雨傘勢力」が躍進した香港の現状と未来について聞いた。 香港政治の構造的変化 野嶋:9月4日に行われた香港立法会議員の選挙では、「本土派」などと呼ばれている雨傘運動で台頭した新しい勢力が6人も当選しました(2016年9月7日「終わらぬ雨傘:『香港選挙』で中国が憎む『本土勢力』が躍進した理由」参照)。これは中国にとって大きなショックだったはずだと思います。なぜ、このような結果になったのでしょうか。
香港でまた「1国2制度」に対する香港人の「信頼」を揺るがす問題が起きている。香港の書店「銅鑼灣書店」の関係者5人が失踪し、中国国内で長期拘束されていることが明らかになった問題で、釈放されて香港に戻った同店店主の林栄基さん(61)が6月14日、公の場に姿を現して記者会見に応じ、赤裸々に拘束をめぐる実態を語った。 拘束された5人のうち、出版社オーナーの桂敏海さんを除く3人は林さんより先に香港に戻っているが、彼らは口を閉ざして実情を明らかにすることを拒んできたので、当事者の証言は初めてとなる。拘束中に中国のテレビで流された「告白」のビデオの内容は、「脚本があり、監督もいた」として、事実ではなく、強制された演技だったとも語った。
非営利の報道機関『国際調査報道ジャーナリスト連合』(ICIJ)の調査によって、中米パナマの法律事務所から流出した電子ファイルをもとに、世界の政治家たちがタックスヘイブン(租税回避地)を利用している実態が暴かれ、国際社会を騒がせている。そのなかには、中国の最高指導部の現職あるいは元職の顔ぶれが多数含まれており、広く世界の関心を呼んだ。 どのような人物が、どのような形で、租税回避地を利用していたのかを丹念に追いかけてみると、実際には、革命世代の指導者の子孫である「紅二代」「紅三代」と呼ばれる人々が、党・政・財にまたがる巨大な「利権共同体」を構築している実態が、「パナマ文書」からは否が応でも浮かび上がってくる。
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