政府の危機管理の中核となるのは2002年に完成した首相官邸地下の危機管理センターだ。しかし、各省庁との連絡は電話やファクスに依存、高度化する情報通信環境に追い付いていないのが現状だ。首都直下型地震などで官邸が機能不全に陥った場合の代替施設をどうするかも課題となっている。 東京電力福島第1原発事故で、住民避難に活用されなかったことが問題となった「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム」(SPEEDI)。その予測図は、事故翌日の昨年3月12日、経済産業省原子力安全・保安院から危機管理センターにファクスで送られた。しかし、混乱状態の中で放置され、当時の菅直人首相ら官邸の主要メンバーには即座に届かなかった。 センターと各省庁とのやりとりは緊急電話(ホットライン)とファクスが主として使われる。政府関係者は「電子媒体だと情報漏えいの危険があるため」とするが、情報共有の点で効率は悪い。藤村修官