「医療用防護服、8万着購入することを検討している」 その後、やりとりを続ける中で、長野県はこんな書類を企業に渡した。 「物品購入状況説明書」だ。企業からの調達を前提に、県の担当部署が「契約書等を準備しています」という内容が書かれていた。 ところが、長野県が医療機関に問い合わせた結果、意外に需要が少ない。県はあわてて「5万着はキャンセル」と伝えた。ただ、企業側は困った。既に調達先に発注してしまっているためだ。企業も調達先にキャンセルしたい旨を伝えたが、応じてくれたのは2万着だけ。このままでは、残りの3万着分を損することになる。 長野県にも言い分はある。企業とはまだ正式な契約を結んでいなかった。 それでも、企業はこの状況に黙っていなかった。長野県を相手取り、1億3千万円の支払いを求めて提訴。2月になって長野地方裁判所は判決を出した。2年半に及んだ法廷闘争は、結局どうなったのか。(共同通信=滝野