世界初の量産ハイブリッドカーとして誕生した「トヨタ・プリウス」。純ガソリン車の2倍という燃費性能を実現したこのクルマは、どのような経緯で生まれ、どのように世界を変えたのか? 新時代のエコカー創出に向けた挑戦の歴史を振り返る。 1968年から進められていた研究 1997年10月、世界初の量産ハイブリッド乗用車「トヨタ・プリウス」が発表された。「21世紀に間に合いました。」というキャッチコピーが示すように、20世紀の終わりに次世代の自動車像を示した歴史的なモデルである。ただ、プリウスはトヨタが初めて発売したハイブリッドカーではない。同じ年の8月、「コースターハイブリッドEV」が世に出ていた。シンプルなシリーズ式ハイブリッドシステムを搭載したマイクロバスである。それ以前にも、トヨタはさまざまなチャレンジを繰り返していた。プリウスはある日突然出現したわけではなく、長い試行錯誤の末に生まれたのだ。