ある日を境に、がんの外科医は、がん患者になった。手術、抗がん剤、医者とのコミュニケーション……自分が病気になって初めて分かったことがある。金沢赤十字病院・西村元一副院長が知った、がん患者にとって一番大切なものは何か。 後輩の外科医に告知され 「治療をしなければ余命半年」――そう宣告されてから9月で2回目の誕生日を迎え、58歳になりました。 私は消化器、主に大腸がん専門の外科医として、数多くのがん患者を治療してきました。これまでがんを治す側だった人間が、がんになって初めて見える世界があったのです。 それを綴ったのが自著『余命半年、僕はこうして乗り越えた! がんの外科医が一晩でがん患者になってからしたこと』(ブックマン社)です。 胃にがんが見つかったのは昨年の3月でした。患者さんを診療中に気分が悪くなりトイレで下血し、胃カメラ検査を受けたところ食道から胃に入るところに腫瘍があったのです。 僕は