「とても幸せだったと思います」―。三浦市初声町下宮田の市立初声小学校に植えられている桜の木に、猫の写真入りの紙がくくり付けられている。14年以上、校舎の隅っこで暮らしていた「やよい」は、在校生に広く知られた猫だった。老衰だったのか、昨年8月7日に眠るように息を引き取った。風に揺れる1枚の紙が、今も子どもたちに命の尊さを教えている。 やよいは1997年ごろに同校に迷い込んできた。当時は生後半年程度の子猫で「ニャーニャー」と鳴きながら餌をねだり、そのまま敷地内にすみ着いた。 校門近くにある、弥生期の赤坂遺跡(同市初声町三戸)の出土品を管理する市文化財収蔵庫周辺が縄張りだったことから、「赤坂やよい」と名付けられた。 普段は、同収蔵庫で作業をしている発掘調査員や近くの主婦らが交代で餌をやっていたが、休み時間や放課後には缶詰を手に多くの児童が様子を見に来た。 「猫ってこんなにあったかいのか」