(1)、(2)の続き。 〈学界出身者のやおい論や腐女子論〉がしばしば、〈やおいやBLを、〈女性〉に対する社会的抑圧、特に性的抑圧からの解放を指向する政治的文脈に、間接的にあてはめようとするものが多い〉と森川氏は指摘し、こう続けます(引用者の責任で改行しました)。 この『BLスタディーズ』の論考部分にも、そのような傾向があるかもしれない。 本書の前書にあたるユリイカ増刊『腐女子マンガ大系』の、学界の書き手による文章には、明確にそのような傾向があった。 前書でもゲスト編集長を務めた金田淳子氏が、ジェンダー論を専門とする社会学者なのだから、これは自然な成り行きでもある。〔…〕 加えて、日本の大学における人文科学のさまざまな研究が、今も英米の学派の植民地であり続けている構造にも、目を向ける必要があるだろう。 やおい風に表せば、[英米×日本]となる。 たとえば、本場である英米の大学で盛り上がっている