2024年の「カンヌ国際映画祭」の公式出品作が発表された。世界的な映画監督による新作がめじろ押しの期待が高まるラインアップだが、意外なセレクトや新発見が含まれているのも例年通りだ。 カンヌというと、ややマニアックな印象を持っているかもしれない。だが、近年は映画界全体への影響力を強めており、カンヌでプレミア上映された作品が翌春のアカデミー賞に選ばれることも多い。その一例は、今年のアカデミー賞をにぎわせた「関心領域」(監督:ジョナサン・グレイザー)や「落下の解剖学」(監督:ジュスティーヌ・トリエ)だ。前者はホロコーストを独自の視点で描き、後者は山を舞台にした複雑な殺人ミステリーである。 何と言っても、まだ世に出ていない作品の封切りには心をかき立てられるものだ。今回初公開される作品群が、各地の映画館にかかる数カ月後が待ち遠しい。ここでは、中でも注目の10作品を紹介しよう。 Photograph: