レインボーブリッジを過ぎてしばらく走ると東京タワーが見えてきた。ピンク色の東京タワーが光る。 「ね、どこに行くの?」 女が聞く。男は何も言わずに、一ノ橋ジャンクションでカーブを曲がる。スピードは落ちない。80キロを保ったまま。 ナビは、池尻で降りるように指し示すが、さきほどから距離は減ったり増えたりしている。 「首都高といってもいろんな降りるところがあるのね」 女は、窓の外を見る。そして、携帯を見る。携帯の時間は23時15分をさしている。 「何か聞きたい曲はないの?」 と男が聞く。女は首を振る。男が言う。 「あれかけてよ。シャキーラの、あれ。なんだっけ?」 「Wakawaka?」 「そうそう」 女は、iPhoneをいじり、その曲を選び、車のAV端子に指す。車に警戒な音楽が流れる。 「思い出の曲をかけても、私はあなたの家にはいかないからね」 そういう女の口もとは笑っている。 「どうしたら、う