その顛末(てんまつ)をシホに話した。もちろん、「豪徳寺で面倒な二人」云々は言ってない。 シホはリスのようなほっぺたをわずかに膨(ふく)らませて、眉根(まゆね)を寄せて聞いていた。 「アンタの話なんてどうでもいいのよ」 ――じゃあなんで最後まで聞いてたんだ、と心のなかで反駁(はんばく)した。反駁した途端(とたん)、「ああ、愚痴を最後まで聞かせるためね」とトレードオフの関係にするためなのだと気づいた。 「ねえ、アイツ。今日初めて会ったのにさ、いきなりラブホに誘ってきたんだよ。アイツ、なにさ」 昭和の映画のスケバンみたいな口調でそう言った。いきおい、手をついていた一人掛けの椅子の背もたれによじ登り、背もたれをまたいだ後にソファに座った。青色のパンツが丸出しになった。僕はそれを見て、反射的に顔をしかめてしまう。 「仕方ないんだよ、アイツ、変わったやつなんだよ」 善悪の区別がないと言えば大げさだが、