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ブックマーク / ao-rui.hatenablog.com (7)

  • 僕と僕 - OK 余裕

    「ありがとう。お陰様でだいぶよくなったみたいだよ。」 そう言って晢也さんはベッドから身を起こし横にいる愛香の手を握った。 「よかった。昨日も夜中苦しそうにうなされていたから…。」 「ごめん、もしかしてそのせいで眠れなかった?」 「ううん違うの。私は大丈夫だから気にしないで。ご飯にしましょ。栄養のあるものをつくるわ。」 Tシャツと下着一枚でキッチンへ向かう綺麗な後ろ姿を見送り、晢也さんはテーブルの横にある煙草を手に取って火をつけた。宙を浮遊する淡い煙とカーテンから刺し込む光を眺めて、晢也さんは深いため息を吐いた。 「たくさんべてね。お野菜をたくさんつかったの。」 「すごいね。俺まさにこんなのべたいと思ってたんだよ。おいしそう。っていうか愛香は毎回毎回ホントに僕がべたいと思ってるものを作ってくれてすごいよね。やっぱり僕らって相性完璧だからテレパシーみたいなものあるのかもね。」 「そうかも

    僕と僕 - OK 余裕
    masarin-m
    masarin-m 2015/05/12
  • 刹那に散りゆく定めと知りて - OK 余裕

    ピンク色に染まったアスファルトの上に、風といっしょに、満開に咲く桜の花びらが次から次へとやってくる。今日はとても暖かい。というよりも暑い、といった方がいいかもしれない。マキオは羽織っていた上着のジャケットを脱ぎ、ズボンのポケットに入っていたハンカチで額の汗を拭いた。 「やべぇ、時間ねぇな。バスまであと45分しかねぇ。つか腹へった。。」 転勤になった初日、全く土地勘のない場所に顧客先への挨拶回りで訪れたわけだが、予想以上に時間がかかってしまい相当体力を消耗してしまっていた。桜の木の下でお弁当というよりも、とにかく涼しい場所でご飯を済ませて社へ戻りたいとマキオは思っていた。 「すいません、僕この辺、初めて来たんすけど、近くにご飯たべれるようなところってないすかね??」 「おめぇココ何屋だと思ってんだよ!?」 店番をしていた店主にそう返され、恐る恐る表の看板を見上げると特太ゴシック体で書かれた

    刹那に散りゆく定めと知りて - OK 余裕
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    masarin-m 2015/04/11
  • 交差点 - OK 余裕

    ダメだ。。眠い。。。超眠い。午前3時。。あと2時間。そしたら僕は、この時間と空間から、解放される。恐らく寿命真近であろう、微かに薄暗い光の蛍光灯を見ていると、シンパシーを感じてしまうあたり、もう、結構ヤバいかもしれない。帰りたい。一刻も早く。今日も華麗に沈みたい。ベッドに。 「こんばんわ。どうされましたか。」 「今日の夜ー、7時くらいからだと、思うんですけど、なんか急にこのあたりが、めちゃくちゃ痛くて。もしかして盲腸とかだったりするんでしょうか。」 「大丈夫ですか。わかりました、間もなくお呼び致しますので保険証をお出しになってそちらにお掛けになって、お待ちください。」 こんばんわって、前提を無視した言葉。そして大丈夫ですかって、なんて適当な言葉。っていうか感情移入してると疲れるんす。保たないんす。だって仕事ってこういう感じっしょ?僕はこの目の前の病人を救ってやる事もできないですし。Mr.d

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    masarin-m 2015/03/13
  • 春と冬、そして野々村スーパーBOY。 - OK 余裕

    もう春なんですかね?冬ですかね?あぁ〜そうですか。春になるとこの曲が聞きたくなります。高校生ですね。とくにこの曲に関連したエモいエピソードがあるわけではなく、春の日差しが気持ち良いいベッドの上で、繰り返し聴いていたんですよっていうだけの事なんです、すいません。このアルバムが以降の宇多田カラーの原型質だと勝手に私は思っております。1stも最高だけどね。Its Automanbo。 春の話しておいてなんだけど、吹雪の中外で聴いたYMOのライディーンはとてもエモかった。ワープ感が半端なかった。 野々村スーパーボーイ。

    春と冬、そして野々村スーパーBOY。 - OK 余裕
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    masarin-m 2015/02/25
    そうつながるのね。ライディーン+野々村
  • 甘党 - OK 余裕

    4年間。っつーか1460日。マジであっという間に4年になっちまった。過去、現在、未来。あっという間に時間は過ぎてしまったようだけど、4年前のオレと今のオレ。1浪してるから正確には5年か?退化??完全に羽化するタイミングを逃してしまったってか??バカやろう、まだ始まってもいねぇよ。とかって。過去、現在、未来。さぁ今のオレはドコよ?山積みの漫画、垂れ流しのTV、横たわるアコギ、ビールの空き缶、飲みかけのコーラ、ティッシュなトイレットペーパー、ベタベタとステッカーを貼ったノートPC、ずっと微笑んでるエロ、干しっぱなしのパンツと下、キャバ嬢からもらった名刺、レトルト品の詰まったダンボール、小さなコタツ。オレの部屋にはなんだってある。なんでもあるけど、なんにもない。なんにもないけど、なんでもある。ってかカオス。カオスは時間が経てばいずれコスモスになるって事を一人暮らしをするようになって分かった

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    masarin-m 2015/02/02
  • サンタがくれたごめんなさい - OK 余裕

    嫌な夢を見たらしい。ゆっくりと光が侵入してきて部屋の中が少しずつ紫に染まっていく。真っ赤な網タイツとワインでびしょ濡れのバスタオル、蟻の群がるショートケーキとべかけのチキン、プラス、数字と長針と短針が引き剥がされて秒針だけが動く時計。それらのモノと差し込む光が共鳴して何処かに行ってしまうのではないかと不安になったらしい。クリスマスカラーにラッピングされたトラックの鳴らす音楽が段々近づいて来るのが聞こえてますます不安になり、怯えてとっさにテレビのリモコンのスイッチを次々に押していった。壁一面を埋め尽くすように並んだ55インチのテレビから部屋中を染めるようにホワイトノイズが鳴り始めると、目を大きく見開きニヤニヤしながら舐め回すようにそれらを眺めた。気が付けば既に部屋は真っ暗だったから、天井にぶら下がる部屋には不釣り合いなほど大きなシャンデリアの電気をつけた。 バキバキにひび割れた鏡に顔を近ず

    サンタがくれたごめんなさい - OK 余裕
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    masarin-m 2015/01/07
  • 4445.0MHz - OK 余裕

    ステンドグラスを張り巡らした天井から光が差し込み大理石の床を照らしている。木製の重厚な扉が円状に等間隔で並んでいる空間の中央で、白髪混じりの長髪を後ろで一に結わえた男が、頬杖をついてPCモニターを眺めている。そしてその男の正面で、金髪のツンツンした頭でパーカーにジーンズ姿のタケシがキョロキョロ周囲を見回している。 「ちょっとパツキン、早くこっち来てくれる?」 「あ、すいませんってか、すいません、ここどこすか?つか、なんで俺ココにいるんすかね?」 「あんた死んだから、これから星になるのよ。」 「はぁっぁああ!?何言ってんすか!?てか俺死んだの!?えぁあえ!?マジ!?」 「マジマジ。死んだ死んだ。てかあんた早く座んなさいよ。てかあんた声でかいわよ。ここ響くんだからもうちょっとボリューム落としなさいよ。」 「いやえと、ちょっとまって、俺が死んだっていうのとだからこれから星になるっていうのどっ

    4445.0MHz - OK 余裕
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    masarin-m 2014/12/14
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