坂を転がる前に 【西部謙司】2008年09月24日 鹿島アントラーズのサポーターが、旗で対戦相手の選手を妨害する事件が起こった。 以前、浦和レッズvsガンバ大阪の騒動のときにも書いたが、いったんこの方向へ動くと途中で修正するのは非常に難しい。 報道で広まったネガティブなイメージを覆すには、間髪入れずJリーグがインパクトの強いメッセージを出すのがよい。事件が新聞一面に出るようなものだったら、同じく一面になるような処置(無観客試合など)でも打ち出さない限り、イメージの回復は難しい。しかし、現実には莫大な損失の生じる無観客試合など、そう簡単に実行できるものではない。有名なヘイゼルの悲劇のときでさえ、死体を片付けて試合を行っているのだ。 金の前では、モラルなど物の数ではない。悲しいかな、それがプロサッカーの現実である。 当事者への観戦禁止処分、警備の強化、罰金など、対策を小出しにしても効果は
もし、自分がマチャラ監督だったら 【西部謙司】2008年09月03日 いよいよワールドカップ最終予選が始まる。緒戦の相手は3次予選でも対戦しているバーレーンだ。 ここで相手の立場になって考えてみよう。自分がバーレーンの監督だったら、日本とどう戦うだろうか。以下、もし僕がマチャラ監督だったら…。 最も警戒すべきはセットプレーだ。遠藤、中村俊の正確なキックと中澤、闘莉王の高さは十分に注意しなければならない。3次予選では封じることができたが、なるべくファウルしないことが肝心。とくに相手が背を向けているときには当たりに行かないこと。日本のアタッカーには、それほど突破力も決定力もないので慌てる必要はない。 日本はサイドバックのオーバーラップからの攻撃を得意としているが、中央に高さのあるストライカーがいないので、ニアポストを重点的にケアしておけば決定機にはなりにくい。日本のロークロスが“ストライク”
[水沼貴史]サレーへの注意足りなかった駒野 【ニッポン原論】2008年06月09日 【日本1-1オマーン】前半12分に先制された場面はFKからつながれたものだが、やるべきことをきちんとやっていれば与えなくて済んだ点だった。岡田さんがその直前に「9番だけ絶対に見ろ」と指示する声が聞こえたが、分析でも要注意は9番のサレーだけだと分かっていたはず。スピードがあり、ターンがうまく、シュートまで持っていく力がある。彼を抑えるのがポイントだった。 あの場面で駒野は自分の正面にいた選手を気にして前ぎみにポジションを取っていた。GKからロングボールが来ると予想されただけに、もっとポジションを下げるべきだった。そうすれば警戒するサレーに対して闘莉王と挟み込んで守れる。仮に短いボールでつながれて正面の選手と1対1になれば前に出てチャレンジすればいい。結局戻るのに時間がかかり、闘莉王が1対1でサレーに対処しなけ
ゴール裏から見たキリンカップ 【山内雄司】2008年05月29日 埼玉スタジアムで行われるキリンカップ、パラグアイ戦のチケットが売れていないと聞き、少しでも売り上げに貢献しようと(?)、いつもの記者席を離れ、スタンドで観戦することにした。試合開始約3時間前、コンビニの端末機でイベント検索すると、ほとんどの席種が購入可能。どうせならコア層の実像を見てみようと、ゴール裏の券を選択した。あっさり発券できたのはいいが、これまでの代表戦になかった事態に、逆に戸惑ってしまった。スタンドに着いてさらに戸惑う。これまた、あっさり席を確保できたばかりか、周囲を見渡すと空席もちらほら。ゴール裏がこの状態である。当然ながらメイン、バック、アウェー側のゴール裏はガラガラ。何とも寂しいキリンカップ最終戦となった。 平日のナイトゲームということを差し引いても、もう少し関心が持たれて然るべきではないか。6月2日に再開さ
サイドで進化した松井と中村 【西部謙司】2008年05月01日 松井大輔が移籍するらしい。ルマンとの契約は更新せず、新たなチームからのオファーを待つと報道されている。サンテチエンヌやパリ・サンジェルマンが獲得に興味を持っているという噂もあり、いまの松井なら引く手あまただろう。ランス戦でも華麗な2ゴールを決めた。 一方、セルチックの中村俊輔も来季の動向が注目されている。レンジャースとの“オールド・ファーム”での大活躍など、もはやセルチックの歴史に名を残す中心選手。クラブ側からは「いたいだけいてくれ」と、“永久契約”みたいな声さえ出ているという。 2人に共通しているのは、典型的な№10の選手だったこと。そして、サイドプレーヤーとしてヨーロッパサッカーの中で居場所を見つけて成功したことだ。 サッカーのフォーメーションはDFの人数を増やすことで変化してきた。2人が3人になり、4人になった。ただ、
もっと声を 【戸塚啓】2008年04月23日 スタンドで観ているうちに、どちらのための練習試合なのかが分からなくなってきた。4月23日に行われた日本代表のトレーニングキャンプである。 この日、代表チームは筑波大との練習試合を行なった。3-0という結果は「貫祿を見せつけた」と言えるものでなく、内容的にはほとんど見るべきところがなかった。 とにかく静かなのである。聞こえてくるのはGKのコーチングぐらいで、フィールドプレーヤー同士のコミュニケーションは圧倒的に少ない。声を出していたと言えるのは、1本目にセンターバックとして出場した闘莉王ぐらいだった。「ターン」とか「出せ」とか「寄越せ」といった声はあったが、ミスを叱責する声はまったくなかった。つまらないミスがあり、判断に誤りのあるプレーも多かったが、改善を求める声はあがらなかった。 3日間の合宿である。次に集まるのは5月のキリンカップだ。与え
中東でいつも思うこと 【戸塚啓】2008年04月03日 中東へ取材に行くと、いつも感じることがある。日本人が思っている以上に、日本代表が巨大な存在として理解されているのだ。 06年9月に、アジアカップ予選の取材でサウジアラビアのジェッダへ行ったときのことである。サウジはワールドカップドイツ大会の出場メンバーがごっそり残っていて、日本はオシム前監督のもとで若返りをはかっていた。川口、三都主、坪井、加地、駒野、遠藤、巻とW杯ドイツ大会代表が7人スタメンに並んだが、ジーコ元監督がレギュラーとして使っていたのは川口、三都主、加地の3人だけになる。闘莉王と鈴木啓はデビュー2試合目で、駒野もAマッチ出場がようやく2ケタにのったところだった。 試合前は苦戦を覚悟した。アウェイのサウジ戦である。こちらは3大会連続でワールドカップに出場しているが、あちらもフランス、日韓、ドイツと本大会に進出している。敵
サッカーで命を落とすということ 【海外通信員】2008年03月21日 3月15日、試合観戦のためスタジアムに向かうサポーターたちの乗ったバスに何者かが発砲し、昇降口に立っていた21歳の青年、エマヌエル・アルバレスが銃弾を胸に受けて尊い命を失った。 エマヌエルは、筆者行きつけのヘアサロンのオーナーの一人息子だった。オーナーのウーゴと妻グラシエラにとっては、結婚から10年後にやっと授かった大切な子供だった。自宅のあるリニエルス地区は、ベレス・サルスフィエルドのベースタウン。エマヌエルは物心ついた頃からベレスの大ファンで、94年にカルロス・ビアンチ監督率いるチームが遠い日本の地で天下のACミランと対戦し、トヨタカップを制したときはまだ8歳だったが、生中継を観ていたときの感動を「今でも忘れられない」と筆者に熱く語ってくれたこともあった。 ヘアサロンはブエノスアイレス市内の高級住宅地にあるため、ウ
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