「先輩。聞いてくださいよ。今朝、シャワー浴びてるときに、やっとわかったんですけれども、」 「(どうぞ、うかがおう、の手ぶり)」 「いままで、『作品のリアリティが…』とかいった話を聞いていて感じてた違和感の、整理がやっとついたんですよ」 「リアリティ?」 「ええ。そのリアリティってやつです。ときどき聞く、『作品の世界観にリアリティがあってこそ視聴者は物語に没入でき…』とかいった話があるでしょう。あれでリアリティって単語を聞くたび、少しずつひっかかるものがあったんですが、」 「『ジャンルによって固有のリアリティが存在し、それに基づくことなくては…』みたいなやつね?」 「そうそれ、そういったあれ。あの単語はですね、あまりよくない。」 「単語が、あまり、よくない」 「えーといや、かなりよくない。」 「なにどういうこと」 「たとえばですね、戦隊ヒーローもので見栄を切っているあいだ相手が割込み攻撃せず