ブックマーク / ityou.hatenablog.com (14)

  • 諦めた神と諦めない神/指輪物語の魔法使いたち - 指輪世界の第五日記

    「いやーウォーオブザリング新版、いいですね。面白かった! お疲れ様でした」 「お疲れ、ありがとう。ずいぶん洗練されてるね、これだけ要素をたくさん入れてありながらかなり運用しやすかったと思う。デザイナーはフランス人か…やっぱりドイツボードゲームのルーリング、デザインを学んで、そうとう追いついてるんだなあ…」 「そのようですかね。しかしサルーマン(サルマン)が即殺されたのは傑作でした。あれは何しに来たのこのおっさんって感じでした」 「あのカードは場に出す順序を考えとかないといけないな」 「それとこのプレートを2人ぶんで。…はい。さっきさ、サルーマンが何しに来たのこのおっさんって言ってたじゃない」 「はい、ええ?」 「けっこうそれはちかごろ思うようになってさ。サルーマンって、けっこうあれ、おっさんだと思ってしまっていいんじゃないかって」 「はあ。?」 「あれさ指輪物語ってさ、あのガンダルフやサル

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  • 僕の考えた最高の翠星のガルガンティア - 指輪世界の第五日記

    「こんばんはー。何見てるんですか。ああ、翠星のガルガンティア。2話か」 「こいつは面白い。もう見た?」 「ええ。ラストの圧勝、一同どん引きでしたね」 「あそこは見どころだ。何点かポイントがある。まず第1点、なぜ船団の一同がどん引きしているかというと、海賊は物資や人員の略奪を目的としているのであって、船団を皆殺しにするなどといった目的ではない。その被害者である船団側も、その略奪や誘拐へ対抗したいと思っているのであって、つまり海賊と船団は、互いに、殺戮レベルの抗争を開きたいと思っているわけではない。」 「略奪する相手じたいがいなくなってしまったら、海賊という商売が成り立ちませんもんね」 「しかし、あの少年は海賊の艦船を大破させ、人員を皆殺しにした。これはつまり、海賊と船団の対立の強度を、臨機的な略奪とそれへの対抗、ていどのレベルから、人員を殺戮するレベルに押し上げた行為だ。これによって両者はお

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  • 暴力の予兆表現とおおかみこどもの雨と雪 - 指輪世界の第五日記

    「おおかみこどもはさ、雪斜面の疾駆のような躍動的なシーンが素晴らしかったのもあるし、あと、暴力の予兆表現が当に、実に素晴らしかった」 「ふうん?」 「以前、伊藤計劃さんが、スピルバーグの宇宙戦争のキャッチボールシーンはすごい、って書いていたけれど、http://d.hatena.ne.jp/Projectitoh/20050701」 「なにこれ読めばいいの」 「読んだほうがいい」 「伊藤計劃さんは苦手なんだよなー 話したでしょ? 神林長平先生が取り上げてたから虐殺器官とハーモニーを読んだんだけど、環境に対する主人公の主体性が、まさに…」 「読んだ」 「暴力行為そのものというよりも、それへの徴候、予兆をはらんだ状況を描くことが大事だと僕は思う。たとえばサウダーヂはそこがよかった。主人公の土方労働シーンでの肉体や重機の物理的な力の描写が強力で、そのへんからくる映画全体に常に伏流した暴力の予感

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  • おおかみこどもの雨と雪/田舎とスタッフワークと強い方 - 指輪世界の第五日記

    (この映画でもっともバイオレントセクシャルで素晴らしいと思う風呂場で錠を下ろすシーンの画像が見つからない! ここにあると思って頂きたい) 「hoi」 「hai」 「他の作業しながらなんで応答率低いけれど、いるよ」 「これが細田守監督のインタビュー http://wired.jp/2012/07/21/interview-hosoda-mamoru/」 「とりあえず昨日の怒りの話をさせてもらうけどさ、」 「どうぞ」 「田舎の社会性、田舎で農業やってる社会集団はさ、すごく環境の共有部分が大きいから、ああいう動きにはならないんだよ。ああはならない」 「というと?」 「都会であれこれ雇用労働してる人らはさ、ある地域のお隣ご近所っていってもけっこう職種とかばらばらだからさ」 「たとえば、お隣のご主人が最近調子よくて昇進したらしいですわねとか、いったって、」 「そのうわさ話からそんなに自分とこの生活や

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  • 暴力は手元にあるが、いつそれを使っていいのか?/スーパー! - 指輪世界の第五日記

    「面白かったね、『スーパー!』。章浩君笑いすぎ。」 『シネマハスラーで褒めてる映画に間違いなしですね。あ、すみません。レタしゃぶ二人前と、それと生をふたつで。どうも。もっとも、あのオチに、主人公への優しい視線とか、ありますかねえ』 「ふむ。古い言葉に、『暴力は手元にあるが、いつそれを使っていいのか?』という問いがある。」 『どういう話ですか』 「この問いは、日のヒーロー物なんかでも扱われることがあるが、アメリカ人のほうが何段階か強く考えている課題だと思われる。個人単位の肉体的な暴力でもいいし、あるいは、銃だったり、国家の軍事力だったりだ。」 『ほう。』 「個人の肉体の暴力というのは、たとえば、男の子が第二次性徴期に急激に戦闘能力を高めたときに、どうする、なんて話になる。これはどの国の男の子もそこそこ考える課題ではあろう」 『ははあ。学生の殴り合い系の話になりますね。でも、銃は日ではあま

  • 欲望の同格の大混戦/へうげもの - 指輪世界の第五日記

    「このところの漫画とかはどうですか」 「そうね。へうげものの面白さがすごいね。もう絶好調だよ」 「ほお」 「利休が死ぬところもすごいが、死んでからの人物の欲望の格のひらたさがとても楽しい」 「欲望の格?」 「なんのかんのといってもやはり織田信長と千利休、このふたりの欲望・執着は、へうげものの中で別格の扱いの描写だったんだよね。他の人物とは違うっていうさ」 「どんな違いです」 「漫画って比較的そういうのが得意でしょう。他のキャラと格が違うキャラがいるっていう描写。つまり、このふたりの目標、理念というのは一段違うんだ、たしかに世界がそれに従う必然性があるのかもしれない…という描写になっていた。」 「ああ、漫画描写としての偉人というか、強キャラというやつですね」 「そう。それがね、そのふたりが死んでから、へうげもの世界の一番上が武人としては秀吉、茶人としては織部になったわけだよ。」 「トップが小

  • リアリティという言葉を後輩がいかに警戒し嫌うか - 指輪世界の第五日記

    「先輩。聞いてくださいよ。今朝、シャワー浴びてるときに、やっとわかったんですけれども、」 「(どうぞ、うかがおう、の手ぶり)」 「いままで、『作品のリアリティが…』とかいった話を聞いていて感じてた違和感の、整理がやっとついたんですよ」 「リアリティ?」 「ええ。そのリアリティってやつです。ときどき聞く、『作品の世界観にリアリティがあってこそ視聴者は物語に没入でき…』とかいった話があるでしょう。あれでリアリティって単語を聞くたび、少しずつひっかかるものがあったんですが、」 「『ジャンルによって固有のリアリティが存在し、それに基づくことなくては…』みたいなやつね?」 「そうそれ、そういったあれ。あの単語はですね、あまりよくない。」 「単語が、あまり、よくない」 「えーといや、かなりよくない。」 「なにどういうこと」 「たとえばですね、戦隊ヒーローもので見栄を切っているあいだ相手が割込み攻撃せず

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  • 第9地区/傑作!ゲーム脳の恐怖! - 指輪世界の第五日記

    「第9地区」を見た。 ゲロ映画の系譜というものがあるんだけど、その線で良かった。やや、世界の空気感が一辺倒だったかな。市内とか、空気の変わるところでブラックジョークがひとつふたつあるといいかも。あと母船の内部のカットが1カット是非あるべき。 民間軍事会社の歩兵の仕事が非常に強靭に描写されていて、異星人を実効的に制圧しているんだという説得力が強く出ているのが大事。そこがしっかりしているのでお話がゆるまずに引き締まっている。見事な、クリップボードとアサルトライフルを持った人間最強の世界観。左手にお役所仕事、右手に軍事アウトソーシング。 武器的に見ていくのも非常に面白く、HALO映画化のために集められた人材の作ったプロットだということがよくわかる。 主人公登場 →拳銃 →アサルトライフル →スナイパーライフル →ショットガン →火炎放射器 →(一時的に武装を奪われてスニーキングするパート) →ナ

  • バットマンの基本設定 - 指輪世界の第五日記

    バットマンの基設定について。 もともとバットマンの基設定は「すごい資産と軍事力を持っているやつが、社会構造レベルでうまく回っていない世界に存在しているとき、教条的な正義でいいのか? 駄目じゃね?」なわけだが、そう、駄目だ。 たとえばおまわりさん、警官であるならば、市中のいかなる地点にも即座に現れ現行犯の犯罪者を殺さずに殴り倒せればよい。警官のはたすべき正義というのはそれでいいわけだ。しかし、とてもすごい資産と軍事力を持った人間が「とてもすごい正義の警官」をやれば世の中がとてもすごくよくなるかというとならない。スケールしないのだ。 司法機関はシステムの一部として教条的短期的な行動指針で、世界を犯罪者と良民とに分け、罪に罰を与えるたぐいのほとんど自動的な反応をしていていいけど、すごい資産と軍事力のある奴でありシステムに収納されない奴なんだったら、中長期的な、また構造的な関心がないと困る。バ

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  • それがあんたたちの敵か?待てや/バットマン:ダークナイト - 指輪世界の第五日記

    「こうして映画を観るのもひさしぶりですね。どうでした、バットマン:ダークナイト。こわかったですねえ」 「うむうー。これさあ…怖がれないんだよね。あの悪玉のつくり…」 「ふむ?」 「これなあ…アメリカ人、敵の動機、悪意の源に、かなり興味なくしてるかんじだ。いやむしろもっと積極的に、知りたくない、というぐらいなのかもしれない」 「どういう話ですか」 「悪玉の過去語りが言うたび違うじゃん、いわば、 敵の怨恨話なぞもう聞き飽きた。出まかせだ。口実にすぎず、聞く意味はない。「おいいーそれがあんたたちの敵か? そして悪玉にまた言わせる、 金も権力も目的じゃない。ビルを爆破倒壊させることそのもの、また、正義を行おうとした男に悪をなさせ、悪にそめることこそが目的なのだ。「待てやちょっとお。アメリカ人はベトナム共産党やビン・ラディンのことをぜひもっと知るべき。」 「はあ。」 「これ一種の否認なのかなあ。敵の

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  • 無情レスラー伝/新世紀エヴァンゲリオン - 指輪世界の第五日記

    新世紀エヴァンゲリオンの新しい劇場版を観てきた。 もしも、リメイク的でない話、旧作の続きとしてまったく新しい話をしたならば、それは旧作の知識をおさえておかなければおいてかれる話になってしまう。それを見たパチスロからの新規層は諦めて、今後二作目以降の展開についてこないだろう。 (1) パチスロからの新規層に対しては、旧TV版の基設定とストーリーを紹介し、怪獣も抜かさずに見せ、今後二作目以降の展開から離れさせずに、ついてこさせる。 (2) 旧TV放映からのファン層は、勝手にTV版との違いに気付いて、クオリティの上がり方に感嘆し、ループ的な設定を読み考え遊び、楽しんでくれるであろう。 今回の劇場版は、上記のような二正面作戦を、リメイク的なループ話でもって狙っているようだ。ややこしいことをするものだ。 TV版と並べると、ある話で強烈な引きをしておいてから一週間待たせて、いきなり減速してみせたり、

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    matakimika
    matakimika 2007/10/01
    なるほど
  • 混ぜるな危険:動く城と恋物語 - 指輪世界の第五日記

    ハウルの動く城を観てきました。 あらすじ1。 帽子屋で働く主人公ソフィは老婆である。この年を経た老人の所作が、階段を上り下りするなど四肢による動作だけにとどまらず、視線の振り方などいろいろの小芝居で作画されており、素晴らしいのだが、しかしパーティに誘う同僚の娘っ子たちや店長、町のひとびとの対応などから、ソフィは絵面と立ち振る舞いが老婆に描かれているのであって、実は気の持ち方がむやみに老成して人生を早見切りしまくっている少女なのだということが、薄々示される。 帽子を注文先にとどけに行く途中、はなやかな軍隊のパレード。ここの軍勢の格好良さ、頼もしさ、人々の高揚、国民としての一体感と誇りの描写が素晴らしい。しかし、ソフィには感動も嫌悪もない。 ソフィは戦術魔法空軍の青年士官ハウルに出会う。ハウルはエキセントリックで、その感情と行動の脈絡がソフィにはさっぱりわからないが、彼のくれた魔法の指輪は彼女

    混ぜるな危険:動く城と恋物語 - 指輪世界の第五日記
    matakimika
    matakimika 2007/08/25
    やはりこの感想はすばらしい
  • 指輪世界の第二日記 - 先輩300解題

    「だってあれ、馬鹿映画じゃないんだもん。適ッ確でさ。いちいちクレバーで可愛気が無いんだよ」 「またまた」 「いやいやそれがどうして。あの娘やるもんだねだよ。絵面は隙だらけの馬鹿映画に見える。戦闘筋肉馬鹿格好いいぜ、ってね。そういう見た目、テクスチャに見える。でも実のところ、題材、脚、演出どれもが、世界観を伝えるために必要十分に、ウェルメイドに構成されていて、隙なんかぜんぜん無いんだ。それでその世界観っていうのがこれが………」 「何ですか」 イラクで負けているのは、最初から数十万の大兵力を投入せずに、連合14万などという不十分な陸戦兵力で開戦したためだ。当時なぜそうしたかというと、上下議会における反戦派の権限が強く、大統領がそれに屈さざるをえなかったからだ。そのうえ反戦派は大統領を「詭弁によって法をまげ、さらに嘘をついて開戦した」と侮辱し、のみならず、勇敢な男達の留守に、卑劣にも配偶資源を

    指輪世界の第二日記 - 先輩300解題
    matakimika
    matakimika 2007/07/02
    300 感想
  • 300人と裏切り者達の国 - 指輪世界の第五日記

    ザック・スナイダー監督「300」を観てきた。 軍人としての訓練を受けた王こそが人々の自由を守ることができる。暴力に脅されて開戦を思いとどまる……と……思うか? この国がそんな国と思うか!! 上院は、よぼよぼの爺達が若い娘といちゃつきながら、ラリった平和主義を有難いご託宣みたいに唱えやがる。そういう連中は裏切り者。 下院は、賢しらな法治主義者が、「王は嘘つきで法を枉げて出兵している!」とか言いたてるうえに、軍人の留守宅の人に手を出しやがる。その手の野郎は裏切り者。 戦争に負けているのは、まず、こいつらが開戦時の兵員投入規模を制限したからだ。次に、兵役不適格者が裏切り者で、敵に側面を衝かれるためだ。 (まったく裏切り者ばっかりだなこの国は。) だが、ここで少数の、最良の兵士達が死んでいくことは無駄ではない。王が倒れようとも、われわれは負けてはいない。この物語は国の人々を奮い立たせ、必ずや大

    300人と裏切り者達の国 - 指輪世界の第五日記
    matakimika
    matakimika 2007/06/22
    300 感想
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