中国は「バランスシート不況」に陥りつつあり、財政刺激策を速やかに強化し、これに対処する必要がある。日本経済が1990年代に停滞したことを説明するため、この言葉を生み出した野村総合研究所のチーフエコノミスト、リチャード・クー氏がこう指摘した。 同氏は「中国がバランスシート不況に入りつつある」とし、資産価格や経済成長の見通しに対する懸念から、消費者が「もはやお金を借りなくなっており」、その代わりに「負債を減らそうとしている」と述べた。 クー氏は民間セクターの借り入れ・消費意欲が減退しているため、政府が介入する必要があるとし、「政府は金融緩和や、エコノミストが好んで口にする構造改革政策で時間を浪費すべきではない」と話した。 クー氏の考え方はここ1年にわたり、中国の経済・金融界で広く議論されている。同氏はバランスシート不況を、家計や企業が消費や投資よりも債務の返済に収入の多くを振り向ける状況と定義