はじめに柿埜真吾『自由と成長の経済学』(PHP新書 2021年)を読んだ。 大雑把に言うと、「資本主義やグローバリゼーションのせいで、世の中はどんどん悪くなってる」といった思想を、様々な統計データと角度から批判した本である。ハンス・ロスリング『FACTFULNESS』(2019年)など類書は多いものの、日本の論壇を強く意識した点が希少と思われる。第7章の斎藤幸平『人新世の「資本論」』批判は、一読する価値がある。 しかし先進国中間層の苦境については、ほとんど触れられていない。「資本主義やグローバリゼーションのせいで、世の中はどんどん悪くなってる」と批判する、マルクス主義系書籍が大きな支持を集めるのは、先進国中間層のの苦境に敏感だからである。 どちらかと言うと、大局で同意できるのは柿埜さん>斎藤さん なのだが…。 グローバリゼーション肯定論と否定論、それぞれにおける盲点について、この機会に解説
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