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ブックマーク / econ101.jp (1,426)

  • スコット・サムナー 「ポール・クルーグマン、ジョン・ロック、ディオクレティアヌス帝、ゼロ下限制約」(2012年5月2日)

    ポール・クルーグマンが次のように述べている。 ディオクレティアヌス帝が統治するローマ帝国が「ゼロ下限制約」から抜け出すのを加勢するために、Fed(連邦準備制度)にどんなことができるでしょうか? 今日の午後にRedittで寄せられた質問だ。返答した後に、決定的な事実を見過ごしてしまっていたのに気付いた。古代ローマ経済が「ゼロ下限制約」に悩まされるなんてことは、そもそもあり得なかったのだ。古代ローマでは、ゼロの概念が無かったのだから。ローマ数字を使って政策金利の水準を決めなくちゃいけなかったのだ。LXXVベーシスポイント(75ベーシスポイント/0.75%)とかいう感じで。 アラブ世界でアラビア数字が発明されるまでは、「流動性の罠」に嵌る(「ゼロ下限制約」に悩まされる)可能性なんて無かったのだ。 クルーグマンとディオクレティアヌス帝のどちらが貨幣経済学者として優れているかと問われたら、その答えは

    スコット・サムナー 「ポール・クルーグマン、ジョン・ロック、ディオクレティアヌス帝、ゼロ下限制約」(2012年5月2日)
    maturi
    maturi 2024/07/20
    やはり金属本位制に復帰するしかないですね♡
  • アダム・グリ「『発明』を発明する:ブラッドフォード・デロング『20世紀経済史:ユートピアへの緩慢な歩み』書評」(2022年11月21日)

    19世紀、世界の一部の地域(「グローバル・ノース」)が豊かになり始めた。成長はゆっくりと始まったが、19世紀終盤には急加速し始めた。科学、技術、生産能力の拡大は想像を絶するもので、当時の人々の一部はさらにその先を想像し始めた。この物質的成長のトンネルの先に人々が見たのは、人間の持ち得るあらゆる欲求が充足され、余暇の時間もたっぷりと残された、真のユートピアであった。 それから1世紀半経ったが、ケインズの想像した余暇の有り余る社会にも、ましてマルクスの無階級社会、あるいはヴィクトリア期に生まれ育ったユートピア主義者たちの思い描いた地上の楽園にも、私たちは到達できていない。ユートピアに到達しようとする人類の試みの中で成功の見込みがあったのは、1914年から1991年までの「短い20世紀」、すなわちソ連が勃興し失墜するまでの期間だけであった、と歴史家のエリック・ホブズボームは論じている。これに直接

  • ノア・スミス「パレスチナ抗議運動は若者世代を代表していない」(2024年5月10日)

    パレスチナ抗議運動が Z世代に活動家の情熱の火をともしていないのがあらわになっている.それどころか,たいていの若者は,これがまるごと終わってくれるのをただ静かに待っている. 我ながら,パレスチナ抗議運動について書くのにはだいぶ飽きてる.2週間前の記事で言いたいことはだいたい言い尽くしていて,この運動全体がちょっとつまらないというのがぼくの中心的な論点だった.ただ,最近出たこの世論調査の結果は掲載した方がよさそうだ.というのも,ぼくが言ってたことはだいたいこれで裏付けられるからだ. Generation Lab は1250名の大学生を対象に調査を実施して,自分がとくに重要だと思う3つの問題を彼らに選んでもらった.パレスチナに言及したのは,たった 13% だけだった: Source: Axios この世論調査について,Axios がもうちょっと詳しいことを言っている: 抗議運動のいずれかの側に

    ノア・スミス「パレスチナ抗議運動は若者世代を代表していない」(2024年5月10日)
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    maturi 2024/07/20
  • スコット・サムナー 「フォード大統領の思い出 ~1975年に起きた二件の暗殺未遂事件~」(2024年7月14日)

    1975年9月5日、リネット・「スクイーキー」・フロムがジェラルド・フォード大統領の暗殺を試みた。しかしながら、銃の引き金を引こうとしているところをシークレットサービスに制止された。 1975年9月22日、サラ・ジェーン・ムーアがフォード大統領を狙って銃を撃ったが、銃弾はフォード大統領の頭部を数インチほど外れた。 これら二件の暗殺未遂事件は、大きなニュースにならなかった。少なくとも、(このエントリーを読んでいる)読者が予想するほどには。どちらの事件も瞬く間に忘れ去られて、翌年(1976年)の大統領選挙に何の影響も及ぼさなかった。当時は政治的な分断が深まっていたかというと、そうじゃなかった。その一方で、政治的な暴力が今よりもずっと蔓延(はびこ)っていた。今とは大違いだ。今はどうなっているかというと、物理的な暴力(が伴う事件)はずっと少なくなっているが、言葉の暴力がずっと激しくなっているのだ。

    スコット・サムナー 「フォード大統領の思い出 ~1975年に起きた二件の暗殺未遂事件~」(2024年7月14日)
    maturi
    maturi 2024/07/20
    暗殺未遂の岸田文雄さん!
  • マイルズ・キンボール 「ドル紙幣について知っておくべき基本的な事実」(2018年10月18日)

    ドル紙幣について誰もが知っておくべき基的な事実がいくつかある。 市中に流通しているドル紙幣の大半は、100ドル紙幣。 市中に流通するドル紙幣のうちで100ドル紙幣が占める割合は、上昇傾向にある。 大半のドル紙幣――とりわけ、100ドル紙幣――は、海外で流通している。 ジョー・クラヴァン・マッギンティー(Jo Craven McGinty)がウォール・ストリート・ジャーナル紙の記事(2018年7月6日付)で報じているところによると、そうらしいのだ。記事の一部を引用しておこう。 連銀(Fed)が公表している情報によると、昨年(2017年)の終わりの時点で市中に流通していたドル紙幣の総額は1兆6000億ドルで、そのうちの1兆3000億ドル――全体の80%――が100ドル紙幣だったという [1] … Continue reading。1997年の終わりの時点ではどうだったかというと、市中に流通し

    マイルズ・キンボール 「ドル紙幣について知っておくべき基本的な事実」(2018年10月18日)
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    maturi 2024/07/20
    価値保存機能
  • タイラー・コーエン 「小銭って要る?」(2018年3月20日)

    1セント硬貨だとか5セント硬貨だとかの額面の小さい小銭の発行をやめてしまうべきなんだろうか? 「何とも言えない」というのが私の答えだが、「やめるべきじゃない」というのがジェイ・ザゴースキー(Jay L. Zagorsky)の答えだ。 真っ先に指摘しておくべきことがある。造幣局は、需要に応じて硬貨を発行しているに過ぎないのだ。額面の小さい小銭に対する需要は、急速な勢いで増えている。過去10年の間に、1セント硬貨(ペニー)と5セント硬貨(ニッケル)の発行枚数は、ほぼ倍増しているのだ。世論調査でも、1セント硬貨や5セント硬貨への人気は高い。 1セント硬貨にしても、5セント硬貨にしても、製造コストが額面を上回っているのは確かだ。2017年のデータ(pdf)によると、1枚の1セント硬貨を製造するのに1.8セントの費用がかかる一方で、1枚の5セント硬貨を製造するのに6.6セントの費用がかかる。しかしな

    タイラー・コーエン 「小銭って要る?」(2018年3月20日)
  • デビッド・ベックワース 「サンベルトが発展したのは、エアコンのおかげ?」(2015年3月28日)

    ポール・クルーグマンによると、サンベルトが発展したのはエアコンのおかげらしい。 (アメリカ南部および南西部の温暖な気候の)サンベルトの発展は、エアコンの登場が契機になっていると概ね(おおむね)理解することができる。エアコンのおかげで、湿気が多くて蒸し暑い夏もしのげるようになり、冬場でも暖かいこの地域の魅力が増したのだ。とは言え、ゆっくりとした緩慢な変化だった。立地の決定には、慣性がかなり働くからだ。 こちらの記事でも同様の考えが述べられている。 1960年頃に人口動態の面で転換点が訪れている。南部の人口が総人口に占める割合は一貫して下落し続けていたが、1960年頃から一貫して上昇する方向に転じているのだ。・・・(略)・・・この転換点は、エアコンが登場したタイミングと合致している。サンベルトにある州の方が北東部にある州よりも成長率が高かった理由を誰かに尋ねられたら、アーサー・ラッファーのおか

    デビッド・ベックワース 「サンベルトが発展したのは、エアコンのおかげ?」(2015年3月28日)
    maturi
    maturi 2024/07/20
    「原因」とは、いくつもある中、人がストーリー形式を使って世界を解釈するときに、その都合で頼りにする概念である、ということを18世紀にヒュームは指摘しました”
  • マイケル・ペティス「通貨安、貿易不均衡、実質賃金、国内製造業シェアはどのように関係しているのか」(2024年6月28日)

    近年のアメリカの政策関係者間での懸念材料の一つに、外国貿易と産業政策がアメリカ国内の製造業の健全性と強靭さにどのような長期的な影響を与えるかというものがある。トランプ政権とバイデンバイデン政権は、弱点となっているアメリカの製造業に対処しようとしている。トランプ政権は2018年と2019年に中国からの輸入品に数千億ドルの関税を課し、バイデン政権も今年の5月になって追加の関税対象を発表した。11月の大統領選で誰が勝っても、アメリカの政策立案者の間でこうした貿易への関心は続くことは明らかであり、実際こうした関心は世界中に広がっている。 しかし、アメリカが世界の最後の消費者としての役割を果たし続ける限り、つまりアメリカ以外の世界の貿易黒字の半分を吸収するだけの貿易赤字を抱え続ける限り、アメリカの製造業が全体的に復活する可能性は低いだろう。なぜなら、貿易不均衡と製造業の強さに関しては、世界規模でのパ

    マイケル・ペティス「通貨安、貿易不均衡、実質賃金、国内製造業シェアはどのように関係しているのか」(2024年6月28日)
    maturi
    maturi 2024/07/10
    家計は全て純輸入者であり、純輸出者は主に貿易財の生産者だ。通貨安は、家計から生産者への実質的な補助金の強制となる。(略)つまり、生産者の輸出競争力(の強さ)は、単に弱い内需の裏返しである。
  • アレックス・タバロック 「マネーロンダリング対策の欺瞞」(2021年1月22日)

    マネーロンダリング(資金洗浄)対策は、コストが嵩む(かさむ)わりに、効果に乏しいようだ。 大まかな推計になるのは致し方ないが、年間3兆ドルに及ぶと見込まれている不正資金のうち、当局が差し押さえるのに成功しているのは約30億ドル。成功率は0.1%だ。その一方で、マネーロンダリング関連の法令を遵守するために、銀行をはじめとした民間の合法な企業が負担している費用は、年間で3000億ドルを上回っている。当局が犯罪組織から差し押さえている額(30億ドル)の100倍以上だ。 ・・・(略)・・・犯罪組織は、年間で30億ドルを差し押さえられている。その一方で、銀行をはじめとした民間の合法な企業は、法令を遵守するために年間で3000億ドルの費用を負担しているだけでなく、80億ドルの罰金を科されている。マネーロンダリング対策の真の標的は、非合法の犯罪組織ではなく、合法の組織なのではないかと疑いたくなるのも無理

    アレックス・タバロック 「マネーロンダリング対策の欺瞞」(2021年1月22日)
    maturi
    maturi 2024/07/10
    吐き気を催す
  • ジョセフ・ヒース「民主主義における政党の役割:ロブ・フォードについての考察その3」(2014年5月3日)

    このエントリで言いたいのは、州や連邦レベルの政党をすぐに貶すべきではないということである。政党が果たしている多くの有益な機能は見落とされがちなのだ。 トロント市長ロブ・フォードが、選挙キャンペーン(と自身の仕事)を一旦やめてリハビリに専念することに決めた [1] … Continue reading 。トロント市民の多くは、このニュースを聞いて間違いなく安堵したことだろう。現実の問題について議論できるようになるかもしれないと考えると、ほとんど胸が躍るような気持ちになる(また私としては、オリヴィア・チャウ [2]訳注:トロント市長選での左派の候補者。ヒースは、再分配に傾倒しすぎているとしてチャウに批判的な態度をとっている。このエントリを参照。 に投票しなければならない義務感を抱かずに済むという開放感もある)。 題に入る前に、フォードに少しだけだがお別れの言葉を述べておきたい。みんなと同じく

    ジョセフ・ヒース「民主主義における政党の役割:ロブ・フォードについての考察その3」(2014年5月3日)
    maturi
    maturi 2024/07/07
  • ノア・スミス「アセモグルとAIのマクロ経済学: 都合のいい仮定を選んで得られた結論の意義ってなんだろう」(2024年7月1日)

    ノア・スミス「アセモグルとAIのマクロ経済学: 都合のいい仮定を選んで得られた結論の意義ってなんだろう」(2024年7月1日) [Noah Smith, “Acemoglu and the macroeconomics of AI,” Noahpinion, July 1, 2024] ダロン・アセモグルといえば,いままさに最盛期にある経済学者で,おそらくもっとも名声が高くて業績がすぐれている人だ.そのアセモグルは,AI がお好きじゃない.彼はまるまる一冊を費やして,AI みたいなテクノロジーの発展が大量失業や格差拡大をいかにしてもたらすかを論じ,それを防ぐために規制が必要だと主張している.ぼくは,このをちっともよく思わなかった(日語記事). ただ,興味を引く点はあって,それは,AI による経済成長の加速はゼロではないまでもほんのわずかでしかない一方で人間の労働者たちは困窮させられると

    ノア・スミス「アセモグルとAIのマクロ経済学: 都合のいい仮定を選んで得られた結論の意義ってなんだろう」(2024年7月1日)
    maturi
    maturi 2024/07/07
    "この件から,どうやってマクロ経済学の理論家たちがどの仮定をおくか選ぶことでお望み通りの結論に基本的には到達できるのかが示されている"
  • ジョセフ・ヒース「哲学者がキャンセルカルチャーを懸念すべき理由」(2024年1月25日)

    エントリでは、現在哲学の分野で広く実践されていると同時に、公共の場での議論の構造的変化によって脅かされている学問的実践の一部に注意を向けたい。 この数年、哲学の同業者たちが、オンライン上での流行りに飛びついて、様々な事柄について自身の考えを述べた学者を罰したり、脅そうとしているのを見て、私は驚き、失望してきた。少し上から目線に聞こえるかもしれないが、哲学者がこうした行動をとっているのに驚いていることを認めざるを得ない。ソクラテスの裁判と死を描いたプラトンの対話篇を最初に読んだとき、私は自然と、アテネの市民裁判官たちではなく、ソクラテスの側に感情移入した。哲学研究者のほとんども同じように感じるか、似たような原体験を持っているものだと思い込んでいた。だから、同業者の多くが、自身の考えを語ったことで糾弾されている哲学者(当初は男性が多かったが、最近は女性もいる)の側ではなく、市民裁判官の方をこ

    maturi
    maturi 2024/06/06
  • ノア・スミス「中国製品への関税で他の多くの国々がアメリカのあとに続くだろう理由」(2024年5月19日)

    経済学には,「シュタッケルベルグ競争ゲーム」っていう古い理論がある.あらゆる企業が同時に自分たちの商品・サービスの価格を設定するんじゃなくて,ひとつの重要な企業が価格を設定して,残りの企業のペースを定めてしまうんだ.最初に動く先行者とその追随者がいる状況では,基的にこのゲームが現実を単純化した表現になっている(先行者も追随者も,それぞれ単数かもしれないし複数かもしれない).シュタッケルベルグ・タイプのモデルを使って,国際貿易政策を分析している人たちもいるし,ごくわずかだけど,アメリカ-中国間の競争にこの考えを応用している人たちもいる. いずれ,いま世界中で起こりつつある貿易戦争についてシュタッケルベルグ・タイプの論文を書く人もそのうち現れるんじゃないかとぼくは見てる.一般に,中国がこのゲームでの「先行者」だ.なにしろ,中国の送り出してる洪水のような輸出製品によって他の国々は保護主義的な対

    ノア・スミス「中国製品への関税で他の多くの国々がアメリカのあとに続くだろう理由」(2024年5月19日)
    maturi
    maturi 2024/05/24
    中国の生産が今は海外事情ではなく国内でのインセンティブによって決定されているから,中国製品がアメリカ国内に入ってくるのを関税が阻止した場合,中国企業はその生産ラインを止めておしまいにはしないってこと
  • マーク・コヤマ「制度変化において個人はどんな役割を果たすか:宗教改革におけるルターの役割」(2024年4月29日)

    実現可能な均衡が複数存在するなら、個人は大きな影響力を持ち得る。個人は、社会が特定の結果や制度編成にコーディネートすることを可能にすることができるのだ。 社会科学研究ネットワーク(SSRN)の”the Handbook of New Institutional Economics”『新制度派経済学ハンドブック』に収録される、制度変化について扱った章を、ディシリー・ディシエルト(Desiree Desierto)との共著で書き上げた。 制度分析は個人を強調しない傾向にある。14世紀終盤から15世紀序盤にかけてのイングランドにおける農奴制の終焉といった展開は、農奴や貴族など一個人の行為や思想に左右されたものではなかった。産業革命は、ジェームズ・ワットやリチャード・アークライトを歴史から取り除いても生じただろう。制度分析の根底には、一個人よりもはるかに重要な、深層的・構造的要因が存在する、という

    maturi
    maturi 2024/05/12
    (タイトルで損している、閲覧数に結びつかない記事)はてぶ民論
  • ノア・スミス「ウォーク資本は競争の弱いところで栄える」(2024年4月22日)

    過去10年というもの,アメリカの多くの大企業は純粋な収益に傾注することから離れて,社会的・政治的な活動に力を入れるようになった――たいていは,進歩派〔左派的〕な方向での活動だ.この減少は,しだいに「ウォーク資」(woke capital) として知られるようになった〔woke は,差別や不公正に敏感な態度を示す傾向を意味する〕.Fan (2019) は,この傾向をこんな具合にまとめている 過去10年というもの,アメリカの多くの大企業は純粋な収益に傾注することから離れて,社会的・政治的な活動に力を入れるようになった――たいていは,進歩派〔左派的〕な方向での活動だ.この減少は,しだいに「ウォーク資」(woke capital) として知られるようになった〔woke は,差別や不公正に敏感な態度を示す傾向を意味する〕.Fan (2019) は,この傾向をこんな具合にまとめている: Apple

    ノア・スミス「ウォーク資本は競争の弱いところで栄える」(2024年4月22日)
    maturi
    maturi 2024/05/04
    ゆとり
  • ノア・スミス「アメリカでインフレが再燃しつつある」(2024年4月30日)

    さて,今回の小ネタ選集は,ちょっと憂なマクロ経済ニュースで締めくくろう:どうやらインフレ率が再加速しつつあるようだ. 個人消費支出 (PCE) インフレ率(パーセンテージ変化,年率) / Source: Jason Furman もっとデータを見たい人は,ジェイソン・ファーマンの更新スレッドを覗いてみるといい.インフレ率の数字は,おおよそ全体的に上がってきている. なにが起きてるんだろう? フーシ派民兵による紅海航行の混乱も,ひとつの要因かもしれない.ただ,サンフランシスコ連銀の分析によると,3月のインフレの多くは需要側の要因に起因しているそうだ: 青が需要側要因のインフレ率,緑が供給側要因のインフレ率,黄色はどちらとも判別できない部分 / Source: SF Fed 利上げがあって,しかもパンデミック期の給付による貯金がおおよそ使い切られた状況で〔参考〕,需要側に起因するインフレの原

    ノア・スミス「アメリカでインフレが再燃しつつある」(2024年4月30日)
    maturi
    maturi 2024/05/01
    それはそれとして紅海の安全は回復してほしい  \ 一つの説明としてインフレについてhttps://news.yahoo.co.jp/articles/d17bfec6e0c3a29038033f644a1ecfcbdec29de7(わずかに古い?)
  • ビル・ミッチェル「現代貨幣理論(MMT)入門」(2023年10月)

    MMTは、財政赤字の規模そのものに焦点を当てるべきでないと強調している。主流派の経済学者は財政比率(公的債務の対GDP比など)にこだわる。しかし、責任ある政府であれば、支出全体を完全雇用と整合的な水準に維持するために必要な赤字は何でも許容する。それ以上でも以下でもない。財政の持続可能性とは、働きたい人なら誰でも働くことができる包容力ある社会を維持するという政府の責任を果たすことである。 1.はじめに 稿『現代貨幣理論(MMT)入門』は、筆者(ビル・ミッチェル)が2022年11月5日に京都大学で行った講演に基づいている。 世界金融危機〔2007年〜2010年〕とその十数年後の新型コロナウイルスの世界的大流行によって、経済政策においても、またその政策の根拠となる経済学においても、新自由主義の時代が持続不可能であることが明らかになった。 過去数十年間、ほとんどの先進国では、政府が緊縮寄りの財政

    ビル・ミッチェル「現代貨幣理論(MMT)入門」(2023年10月)
  • ハンス=ヨアヒム・ボス&ニコ・フォクトレンダー 「ナチス流の利益誘導 ~ナチスによるアウトバーンの建設は政権への支持を高めたか?~」(2014年5月22日)

    ハンス=ヨアヒム・ボス&ニコ・フォクトレンダー 「ナチス流の利益誘導 ~ナチスによるアウトバーンの建設は政権への支持を高めたか?~」(2014年5月22日) ヒトラー率いるナチス政権は、国の全土に及ぶ高速道路網――アウトバーン――を世界で初めて整備した。稿では、ナチスによる高速道路の建設が政権への支持にいかなる効果を持ったかを検証する。1933年から1934年までの間に行われた選挙なり国民投票なりで投票結果にどんな変化が起きたかに着目して分析を加えたところ、「利益誘導」を意図した財政支出が政権への不支持率を低下させる効果を持ったことが見出された。高速道路が横切らなかった郡(選挙区)と比べると、新たに高速道路が横切ることになった郡(選挙区)では、選挙なり国民投票なりで政権への反対票の減り方がより大きかったのである。少なくとも1934年以降に関しては、アウトバーンが政権の人気をいくらか支える

    ハンス=ヨアヒム・ボス&ニコ・フォクトレンダー 「ナチス流の利益誘導 ~ナチスによるアウトバーンの建設は政権への支持を高めたか?~」(2014年5月22日)
    maturi
    maturi 2024/04/09
    ナチスは良いこと(大統領に影響を与えることを通じてのUSA国内の州間高速道路整備計画の推進)もした!
  • ノア・スミス「週末の小ネタ:アメリカ社会の不穏な情勢が退潮しつつある小さなきざし」(2024年3月29日)

    アメリカの不穏な情勢はピークを迎えていると,かなり早いうちにぼくは発言していた――だいぶさかのぼって,2021年中盤のことだ.それ以来に起きたいろんなことは,その判断と広い範囲で整合している.ただ,もちろん,不正だとして選挙に異論が唱えられたり今年の大統領選挙でトランプが当選したりすれば,状況は大きく変わるかもしれない.ともあれ,社会の不穏な情勢はちょっぴり引き潮になりはじめている小さなきざしはひとつまたひとつと現れている. たとえば,2020年2月(パンデミックが全面的に社会を襲う前)に比べて,いまニュースウェブサイトを人々が見る量はだいぶ減っている.また,右派系ウェブサイトへのトラフィックを見ると,非主流・過激派サイトも主流派サイトも,いっそう流入数が減っている. Source: TheRighting 左派はどうかと言うと,ハサン・パイカーみたいな主要な左派系ストリーマーの視聴数も,

    ノア・スミス「週末の小ネタ:アメリカ社会の不穏な情勢が退潮しつつある小さなきざし」(2024年3月29日)
  • トマシュ・ウィラデク「量的緩和と伝統的金融政策、どちらがインフレに強い影響を与えるのだろうか?」(2024年1月3日)

    記事では、8つの計量手法を用いて、ユーロ圏、イギリス、アメリカについて、量的緩和と伝統的金融政策〔短期金利の操作〕を比較し、インフレへの影響を検証する。 パンデミック後の先進国全般でのインフレの高進について、量的緩和(QE)が重要な役割を果たしたと多くの論者が主張している。もし中央銀行が伝統的金融政策を採用していたなら、インフレの結果は異なっていたのだろうか? 記事では、8つの計量手法を用いて、ユーロ圏、イギリス、アメリカについて、量的緩和と伝統的金融政策〔短期金利の操作〕を比較し、インフレへの影響を検証する。検証から、量的緩和は、伝統的金融政策よりもインフレへの強い影響をもっていることが示された。このことから、パンデミック時代に取られた量的緩和政策によって生じたインフレを目標値に戻すためには、伝統的金融政策での引き締め〔短期金利金利の引き上げ〕がどの程度まで必要なのかについての議論に

    トマシュ・ウィラデク「量的緩和と伝統的金融政策、どちらがインフレに強い影響を与えるのだろうか?」(2024年1月3日)
    maturi
    maturi 2024/03/15
    QEは、為替レート、広義通貨供給量、家計のインフレ期待での強い反応と関係していることが判明。家計は、QEにマネタリスト的な見解を持ち、政策から「お金の印刷」を想起し強いインフレをもたらすと考えることは妥当