雇用の差は、自殺者数の差にも表れている。白川時代はほぼ年間3万人以上だったが、黒田時代は2・7万人程度から2・1万人程度まで減少した。黒田氏は白川氏と比べると、年間数千人以上の命を救ったということもできるだろう。 リーマン・ショック前後、バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)をはじめ世界中の中央銀行が金融緩和したなか、白川日銀は金融引き締めに固執して超円高を招き、日本の産業とりわけ電機・半導体系を壊滅させた罪は大きい。自動車産業さえ韓国勢に苦戦していた。 そんな白川氏がどの面下げて黒田時代を批判するのか、信じられない思いだ。リーマン・ショックの対応で白川日銀と好対照だったバーナンキ氏は昨年、ノーベル経済学賞を受賞した。日本の経済紙のインタビューを受けた白川氏には悔しさがにじみ出ていたが、両者の差は比べるまでもない。いまさらバーナンキ氏の批判はできないので、黒田批判に転じたのだろうか。