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ブックマーク / honz.jp (86)

  • 『花殺し月の殺人 インディアン連続怪死事件とFBIの誕生』 - HONZ

    書『花殺し月の殺人──インディアン連続怪死事件とFBIの誕生』は、2017年にダブルデイ社から刊行された、デイヴィッド・グランの最新ノンフィクション、Killers of the Flower Moon: The Osage Murders and the Birth of the FBI の翻訳である。 2017年4月18日の刊行以来、40週連続で《ニューヨーク・タイムズ》のベストセラーリストにランクインした話題作だ。《タイム》、《ウォール・ストリート・ジャーナル》、《シアトル・タイムズ》、《ブルームバーグ》、《ニューズデー》、《ライブラリー・ジャーナル》、《ペースト・ブック》、《BookBrowse.com》、《Literary Hub》、《カーカス・レビュー》、《スレート・マガジン》、《GQ》、《エンターテインメント・ウィークリー》、《ヴォーグ》、《スミソニアン》、《コスモポリタン

    『花殺し月の殺人 インディアン連続怪死事件とFBIの誕生』 - HONZ
  • なぜ一見何の利益もない嫌がらせ行為を行う人間が存在するのか?──『悪意の科学: 意地悪な行動はなぜ進化し社会を動かしているのか?』 - HONZ

    なぜ一見何の利益もない嫌がらせ行為を行う人間が存在するのか?──『悪意の科学: 意地悪な行動はなぜ進化し社会を動かしているのか?』 最近、仕事中のほとんどの時間は何らかのゲーム配信(最近はLeague of Legends)を垂れ流していることが多い。人気のストリーマーは数千、数万といった視聴者を集める。そうすると、一人用ゲームではない対戦系ゲームを配信で行っている配信者は、少なからぬ「嫌がらせ」行為に遭遇するものだ。 たとえば、配信者がゲームのマッチングを開始したのにタイミングを合わせてマッチング開始し、配信者とマッチングしたらその試合で通常ありえないえないゲームプレイをして負けに導いたり、挑発行為を繰り返したり、Apexのようなバトロワなら配信を見て位置を把握し集中攻撃をかけたりが行われるのである。 そうした悪意あるプレイヤーが、なぜ、自分にとってたいして利益があるようにも思えない悪意

    なぜ一見何の利益もない嫌がらせ行為を行う人間が存在するのか?──『悪意の科学: 意地悪な行動はなぜ進化し社会を動かしているのか?』 - HONZ
    maturi
    maturi 2023/01/26
    デビットライス先生に/”ホモ・リヴァリス” |  タダで何でも飲めるときに、一番飲みたいものではなく、一番高いものを注文する人は?
  • 『カースト』カーストのプログラムは、我々全員の無意識にインストールされている - HONZ

    カーストといえば、多くの方がインドを想起するかもしれないが、書はアメリカの話である。カーストこそがアメリカ社会のヒエラルキー構造であり、社会秩序を維持するための手引きであり、対立の基盤でもあると著者は説く。 著者はアフリカアメリカ人の女性。ヒエラルキーに抗うことにより獲得した自由な視点で、自由の国アメリカの水面下に広がる、不自由や差別の構造を鬼気迫る筆致で描き出した。 まず、アメリカ社会における人種のヒエラルキー構造を浮かび上がらせるため、2つの補助線が引かれる。それがナチスドイツにおけるカースト制度、そしてインドのカースト制度であった。 書で印象的なエピソードが紹介されている。かのマーティン・ルーサー・キング牧師は、ある日インドの高校を訪れたとき、校長にこのように紹介され唖然とする。「みなさん、アメリカ合衆国から来た、みなさんと同じ不可触民の方を紹介しましょう」 しかし、その後ほど

    『カースト』カーストのプログラムは、我々全員の無意識にインストールされている - HONZ
  • 『差別はたいてい悪意のない人がする』特権という厄介で見えにくいことを考える - HONZ

    差別はつねに、差別によって不利益をこうむる側の話である。差別のおかげで知らぬうちにメリットを得る側の人が、自ら立ち上がって差別を語ることはしない。ただ、よーく考えれば、差別される側になる可能性があるのであれば、差別する側になることだってあるはずということに気がつける。 「もうすっかり日人ですね」 「希望を持ってください」 この2つの声がけは一見褒めていたり、励ましていたりする言葉のように見える。だが、前者は国外から日移住した人たちに、後者は障害者に対する代表的な侮辱表現の例としてあげられる。このように日常の会話の中に、悪意のない差別が潜んでいる。 特定の言葉を口にしないよう、注意すればいい。それだけではすまない。このような言葉がなぜ侮辱することにあたるのかを理解しなければならないのだ。実はその方法はそこまで難しくない。当事者に聞いてみることだ。 著者は、移民,セクシュアル・マイノリテ

    『差別はたいてい悪意のない人がする』特権という厄介で見えにくいことを考える - HONZ
    maturi
    maturi 2021/11/15
    トークニズム:ある集団にマイノリティ(被差別集団)の構成員のごくわずかを受け入れることである。建前主義、体裁主義と訳されることもある。 例えば、女性の管理職を増やす施策において、
  • 『暁の宇品』日本はなぜ「海の戦争」で敗れたのか - HONZ

    新刊が出たと聞けば、迷わず購入する著者がいる。内容を事前に確かめることはない。なぜならその人が書くものに期待を裏切られたことはこれまで一度もないからだ。 堀川惠子氏は、当代最高のノンフィクションの書き手のひとりである。著作はいずれも高い評価を受け、受賞歴も数知れない。書も凄いだった。すでに膨大な文献が世に出ている太平洋戦争について、これまでにない新しい視点から光を当てている。 四方を海に囲まれた日は、糧や資源の輸入を船に頼らざるを得ない。いざ戦争となれば、戦地に兵を送り出すのも、武器や糧を届けるのも船頼みとなる。海上輸送は国家存立の基だ。日清日露から太平洋戦争に至るまで、日が戦った戦争は実は「海の戦争」だった。その中心にあったのが、広島の宇品である。 東京を起点とする鉄道が広島まで開通していたことや、西日でもっとも早く港湾整備が終わっていたことなどから、軍事拠点として宇品に

    『暁の宇品』日本はなぜ「海の戦争」で敗れたのか - HONZ
    maturi
    maturi 2021/08/28
  • 『ドリーム・ハラスメント 「夢」で若者を追い詰める大人たち』大志を抱かない生き方は許容されるか? - HONZ

    書は、大人たちの「夢を持て」「大志を抱け」という温かなアドバイスが数多の若者たちを苦しめている事実を剔出する一冊である。なんだそりゃ、軟弱すぎる、大袈裟だ、そんなわけない……などと憤る方は多いだろう。だが、大学の事務職員として学生のキャリア支援と講演活動を精力的に行ってきた著者は、一万人以上の若者の生の声を聞き、もはや看過できない域に達していると痛感する。今の時代、将来の夢の話はただの嫌がらせになるリスクのほうが高いのだ。 とはいえ、あらかじめ断っておくと、このの目的は犯人の糾弾ではない。なぜ夢の話がハラスメント化したのか。第一、夢とは何か。夢の持てる状況とはどのように生じるのか。こうしたメカニズムを詳らかにした上で、多様な生き方を受け容れる社会とはどんなものか思案・思索していく内容となっている。 まずは現状認識から。将来の夢なんかない。やりたいことがよくわからない。自分のキャリアビジ

    『ドリーム・ハラスメント 「夢」で若者を追い詰める大人たち』大志を抱かない生き方は許容されるか? - HONZ
    maturi
    maturi 2020/07/19
    たたたたたっくん!
  • 『ウルトラセブンが「音楽」を教えてくれた』 - HONZ

    1968年のまだ冬か春浅き頃のことだ。父が会社からシールのシートを一束持って帰ってきた。私は幼稚園の年少組から年中組に上がる頃。満4歳である。 シールは「ウルトラセブン」の番組宣伝用だった。父の勤める広告代理店は、TBS系列の日曜夜7時から30分間、大手製薬会社が単独でスポンサーをしていた番組枠を担当することを、大きない扶持ちにしていた。その枠で前年秋から放送されていたのが「ウルトラセブン」である。子供向きの枠だから子供に宣伝させるのが早道。私が友達にシールのシートを配る。そのために、父は宣材を家にときおり持ち帰ってきた。「ウルトラセブン」の前に同じ枠で放送されていた「ウルトラマン」や「キャプテンウルトラ」のときから、そうだった。 「キャプテンウルトラ」でも同様のシールがあった。「ウルトラマン」のときも似た宣材のあった記憶がある。一枚のシートに、何枚もの円形のシールが貼ってある。小さめの

    『ウルトラセブンが「音楽」を教えてくれた』 - HONZ
    maturi
    maturi 2020/02/27
     http://anicobin.ldblog.jp/archives/56251827.html?p=2 2019年12月にシューマンのピアノコンチェルトネタがあったがこれだったのか
  • 『ラディカル・マーケット』ラディカルなマーケットが創造する、平等で寛容で成長する社会とは - HONZ

    書は、マイクロソフト首席研究員兼イェール大学客員研究員のグレン・ワイルと、シカゴ大学ロースクール教授のエリック・ポズナーによる共著である。 34歳の社会工学者・経済学者ワイルは、書を監訳している大阪大学の安田洋祐准教授のプリンストン大学留学時代のオフィスメートで、同大学を首席で卒業して直ぐに大学院に進学し、経済学博士号をわずか1年で取得した大秀才だと言う。 この辺りの詳細は、安田氏が東洋経済オンラインに書いているのでそちらに譲るとして、書はその「ラディカル」(Radical)というタイトル通りに、「過激で急進的で根的な」市場改革の書である。 現代社会のOS(オペレーティングシステム)である資主義は、広い意味での市場の存在を前提に成り立っている。更にその根幹にあるのが、財産の私的所有を保証している私有財産制である。 「(神の)見えざる手」で有名な『国富論』の著者で、「近代経済学の父

    『ラディカル・マーケット』ラディカルなマーケットが創造する、平等で寛容で成長する社会とは - HONZ
    maturi
    maturi 2020/02/18
    不平等
  • 『孤塁』初めて語られた双葉郡消防士たちの「あの日」 - HONZ

    あの日、あなたはどこで何をしていただろうか。 2011年3月11日、福島県双葉郡では、多くの学校で卒業式が執り行われた。子どもたちは通い慣れた校舎に名残惜しさを感じながら、未来への希望に胸を膨らませていたに違いない。だが14時46分、巨大地震がこの地を襲った。 書は、双葉郡の消防士たちが初めて「あの日」について語ったノンフィクションである。震災について書かれた多くのノンフィクションの中でも出色の一冊だ。 書の優れている点。それはプロフェッショナルの証言に基づいているところだ。私たちは現実を見ているようで、案外見ていない。事故現場の取材で目撃者に話を訊くと、「とにかく驚いた」とか「ドカーンと音がして気がついたら倒れていた」とか、目の前で起きたことを描写するのではなく、単なる感想や擬音で雰囲気だけを伝えるケースがよくある。無理もない。私たち素人は、想定外の出来事を前にすると動転してしまうの

    『孤塁』初めて語られた双葉郡消防士たちの「あの日」 - HONZ
  • 『プログレッシブ キャピタリズム』経済学が目指すべき目的とは? - HONZ

    作者:ジョセフ・E. スティグリッツ 翻訳:山田 美明 出版社:東洋経済新報社 発売日:2019-12-20 書の著者であるコロンビア大学のジョセフ・スティグリッツ教授は、非対称情報下での市場経済理論への貢献により、2001年にジョージ・アカロフ、マイケル・スペンスと共にノーベル経済学賞を受賞した経済学の泰斗である。 研究面において優れた論文を多数発表し、米国の経済政策に大きな影響を与えたのみならず、クリントン政権で大統領経済諮問委員会委員長、世界銀行で上級副総裁・チーフエコノミストを務めるなど、自ら経済政策を遂行する立場にも身を置いた実践者でもある。 近年は、『世界を不幸にしたグローバリズムの正体』『世界の99%を貧困にする経済』『フリーフォール』などの著作で、グローバルに新自由主義経済を推し進める米国の政策を批判し、富裕層への増税を主張するなど、経済格差是正のための多くの提言を行って

    『プログレッシブ キャピタリズム』経済学が目指すべき目的とは? - HONZ
  • 『人喰い ロックフェラー失踪事件』精神世界と現代社会、両者間の深刻な断絶 - HONZ

    「虚実皮膜」とは、芸術は虚構と事実との、皮と膜とのようなほんのわずかな間にあるという意味で、近松門左衛門が語ったとされる言葉だ。しかし、実際にそうかは時と場合によるだろう。書で扱われる「ロックフェラー失踪事件」について知れば、「虚実の皮膜」にあるのは悲劇でしかないということを痛感する。 事件は1961年のオランダ領ニューギニアで起きた。ロックフェラー家の一員として輝かしい未来を約束されていた、マイケル・ロックフェラーという米国の白人青年が、現地のアスマット族によって殺されたのだ。単なる殺人ではなく、首狩りに遭い、その後べられてしまった。 当時、さまざまな事情から真相は闇に葬られ、事件の原因はその後「失踪」や「溺死」とされた。書はその事件の一部始終を徹底的に調べ上げ、なぜマイケルが殺されなければならなかったのかという核心に迫った衝撃のノンフィクションである。 アスマット族の世界は、西洋

    『人喰い ロックフェラー失踪事件』精神世界と現代社会、両者間の深刻な断絶 - HONZ
  • 『反穀物の人類史──国家誕生のディープヒストリー』 農業の優越性という神話、国家の形成をめぐるパラドックス - HONZ

    『反穀物の人類史──国家誕生のディープヒストリー』 農業の優越性という神話、国家の形成をめぐるパラドックス いまからおよそ1万年前、人類は農業を発明した。農業が生まれると、人びとは必要な栄養を効率的に摂取できるようになり、移動性の狩猟採集生活から脱して、好適地に定住するようになった。そして、一部の集住地域では文明が興り、さらには、生産物の余剰を背景にして国家が形成された──。おそらくあなたもそんなストーリーを耳にし、学んだことがあるだろう。 しかし、かくも行き渡っているそのストーリーに対して、書は疑問符を突きつける。なるほど、初期の国家はいずれも農業を基盤とするものであった。だが、人類はなにも農業を手にしたから定住を始めたわけではない(後述)。また、メソポタミアで最初期の国家が誕生したのは、作物栽培と定住の開始から4000年以上も後のことである。それゆえ、「農業→定住→国家」と安直に結び

    『反穀物の人類史──国家誕生のディープヒストリー』 農業の優越性という神話、国家の形成をめぐるパラドックス - HONZ
    maturi
    maturi 2020/01/03
    20世紀中盤までのイラクのマアダンの生活を活写した「湿原のアラブ人」ウィルフレッド・セシジャー著を読めば3000年前のチグリスユーフラテス域の住民の生活を想像する助けに()
  • 『死の海「中河原海岸水難事故」の真相と漂泊の亡霊たち』あの日、彼女たちは何を見たのか? - HONZ

    夏の定番番組といえば怪談。今でこそ少なくなったが、昔は終戦記念日前後には、ドキュメンタリーだけでなく怪談話も戦争に関わる番組は欠かせなかった。特に空襲で死んだ人が、当時の姿で現れるという物語は定型のように語られた。今でも心霊スポットなどをめぐる番組で、兵士や防空頭巾姿の霊を見た、という話は残っている。 書は64年前に起こった海難事故を、原因や責任、後に起こった怪談話までを包括的に調べ上げたルポルタージュである。 昭和30年7月28日午前10時ごろ、三重県津市の中河原海岸では、市立橋北中学校の生徒約400人が参加する水泳の授業が行われていた。天気は快晴、風も波も穏やかで朝から太陽が照り付ける絶好の海水浴日和であった。橋北中学校は市内の他の中学校と同様、学校行事の一つとして夏季に水泳訓練を海で実施してきた。学校にプールが普及するずっと以前の話で、遠浅の海を沖に向かって40メートルほどまでを訓

    『死の海「中河原海岸水難事故」の真相と漂泊の亡霊たち』あの日、彼女たちは何を見たのか? - HONZ
    maturi
    maturi 2019/12/11
     中河原海岸があるなら 中海原河岸もあるのか()
  • 『つけびの村』山口連続殺人事件の真相、噂は続くよ、どこまでも - HONZ

    山口連続殺人事件は、2013年に山口県周南市の小さな集落で起きた凄惨な事件である。住民わずか8世帯12人、半数以上が65歳以上という限界集落で、ある日突然5人の連続殺人と放火が起きた。 事件からほどなく犯人として名が挙がり、現場付近の林道で捕まった保見光成もまた、集落の住民の1人であった。 後にこの事件が大きな話題になっていった背景には、この村をめぐりさまざまな噂話がネットやマスコミで飛び交ったことがある。犯人の家に貼られていた「つけびして 煙り喜ぶ 田舎者」という言葉が犯行予告だったのではないかというもの。犯人は村の人たちから村八分にあっていたのではないかというもの。 根も葉もない噂を立てられ、それを真に受けた無関係な人たちから一方的に攻撃される。どんどん騒ぎが大きくなっていき、さらに深刻な事態を引き起こす。書で描かれているのは、今では当たり前のように頻発する、ネット炎上の原風景とでも

    『つけびの村』山口連続殺人事件の真相、噂は続くよ、どこまでも - HONZ
    maturi
    maturi 2019/10/11
  • 『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』無類に面白い!少年の成長物語 - HONZ

    今年もっとも感情を揺さぶられた一冊だ。 なにしろこのを読んでいる間、いい歳して中学生かよ!というくらい落ち着きがなかった。世の中の不条理に憤って汚い言葉を口にしたかと思えば、声をあげてギャハハと笑い、気がつけば目を真っ赤にして洟をかんでいた。 ノンフィクション好きで著者の名前を知らない人はいないだろう。ブレイディみかこさんは地元福岡の進学校を卒業後、音楽好きが高じてアルバイトと渡英を繰り返し、英国で保育士資格を取得、「最底辺保育所」で働きながらライター活動を開始し、2017年に『子どもたちの階級闘争−ブロークン・ブリテンの無料託児所から』で新潮ドキュメント賞を受賞した。ここ数年、注目を集める書き手である。 書は彼女がこれまで書いたものの中で、もっともプライベートな色合いの濃い一冊といっていいだろう。彼女は英国南部のブライトンという街で、アイルランド出身で大型ダンプの運転手をしている配偶

    『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』無類に面白い!少年の成長物語 - HONZ
    maturi
    maturi 2019/06/26
    フランスの「郊外少年マリク」マブルーク・ラシュディ, も
  • 祝 復刊!!『戦後最大の偽書事件「東日流外三郡誌』 - HONZ

    書の単行が出版されたのは2006年の年末のことだ。出版社は、今は無き新人物往来社。当時、屋をめぐって新刊を探していた時に、棚から私を誘ってきただった。 タイトルを見た瞬間に気持ちが鷲づかみにされた。「ツガルソトサングンシ」と読むこの文書の話を私が初めて聞いたのはずいぶん前のことだ。「青森の旧家から見つかった、大和朝廷に対抗した豪族の記録」で、当時から真偽が問われていると聞いていた。「東日流外三郡誌』はその旧家から見つかった膨大な和田家文書の一部であると言われた。 嘘かもしれないと言われても、書かれていた歴史がものすごく面白かった。少し長いが編より引く。 はるか昔、津軽地方には大陸をルーツとする阿蘇辺族が居住。そこに津保化族と呼ばれる人々が渡来し、土器や竪穴式住居など縄文人独特の生活スタイルをつくり上げた。その後、岩木山の噴火によって阿蘇辺族王国が滅亡し、津保化族王国に統合されるこ

    祝 復刊!!『戦後最大の偽書事件「東日流外三郡誌』 - HONZ
    maturi
    maturi 2019/05/16
    原田実先生が捗るな
  • 医師にも患者にもバイアスだらけ 『医療現場の行動経済学』 - HONZ

    京都大学の庶佑特別教授のノーベル医学生理学賞受賞が決まり、日中が湧いている。この素晴らしい快挙の一方で、医療現場では混乱も生じているようだ。がん治療の現場で、医師が手術を選択したにも関わらず、患者側からオプジーボを使用したいと相談があるようなのだ。なぜ、患者側はそう考えるのか。書は、その「なぜ」に答えるである。 当然のことだが、医師はオプジーボの存在は知りつつ手術を選択している。冷静に考えれば、患者もそれはわかるだろう。しかし、生きるか死ぬかの瀬戸際で、毎日のように「オプジーボで命を救われました」という報道を目にしている患者の気持ちもわかるような気がする。 このような医療現場の意思決定について、現在の医療ではインフォームドコンセント(説明と合意)という手法が一般的にとられている。しかし、情報さえ提供すれば、患者は合理的な判断をできるのだろうか。書の執筆チームは、ここに昨年ノーベル

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    maturi
    maturi 2018/10/09
    大竹文雄氏
  • 『死に山 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相』ロシア史上最悪の遭難怪死事件に挑む - HONZ

    一般に、は読めば読むほど物知りになれると思われがちだが、実際は逆だ。読めば読むほど、世の中はこんなにも知らないことであふれているのかと思い知らされる。その繰り返しが読書だ。 「ディアトロフ峠事件」をぼくはまったく知らなかった。これは冷戦下のソヴィエトで起きた未解決事件である。 1959年1月23日、ウラル工科大学の学生とOBら9名のグループが、ウラル山脈北部の山に登るため、エカテリンブルク(ソ連時代はスヴェルドロフスク)を出発した。 男性7名、女性2名からなるグループは、全員が長距離スキーや登山の経験者で、トレッキング第二級の資格を持っていた。彼らは当時のソ連でトレッカーの最高資格となる第三級を獲得するために、困難なルートを選んでいた。資格認定の条件は過酷なものだったが、第三級を得られれば「スポーツ・マスター」として人を指導することができる。彼らはこの資格がどうしても欲しかったのだ。 事

    『死に山 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相』ロシア史上最悪の遭難怪死事件に挑む - HONZ
  • 『偽りの薬 降圧剤ディオバン臨床試験疑惑を追う』 - HONZ

    製薬企業と大学医学部などの医療機関がカネで癒着して、特定の薬の効果を証明する臨床試験のデータを改ざんあるいは捏造して、実際にはない効果を「ある」とする報告(論文)を公表し、企業は論文を利用して大々的に宣伝、医師はどんどん患者に投薬したら何が起こるのか。 それは、あまりにも明白だ。その薬を処方された患者は、効くと信じて医療費を支払い、薬を飲み続けているのに、症状が改善されなかったり、危惧していた副作用が生じたりするという被害を受けることになりかねない。 一方、製薬企業はその薬の売れ行きを大きく伸ばして巨額の収益を得、臨床試験の主任を務めた教授クラスの医師は製薬企業から多額の奨学寄付金を大学に提供させて、学内での権威と地位を高めることになる。そんな「患者無視」の偽りの臨床試験と偽りの薬の販売は、医の倫理・企業の倫理に反することであり、絶対にあってはならないことだ。 ところが、まさにその通りの事

    『偽りの薬 降圧剤ディオバン臨床試験疑惑を追う』 - HONZ
  • 『Bullshit Jobs: A Theory(洋書)』どうでもいい仕事を理論化する - HONZ

    経済学者のジョン・メイナード・ケインズ(1883-1946年)は、 1930年に”Economic Possibilities for our Grandchildren(孫の世代の経済的可能性)”というエッセイの中で、イギリスやアメリカのような先進国では、テクノロジーの進化によって20世紀末までに週15時間労働が実現しているだろうと予言した。(”Essays in persuasion(ケインズ 説得論集)”) ケインズの指摘する通り、確かにテクノロジーは大いに進化したものの、結局、この予言は当たらなかった。ロンドンスクール・オブ・エコノミクス(LSE)の社会人類学教授のデヴィッド・グレーバーは、その理由を、テクノロジーがむしろ無意味な仕事を作り出す方向に使われたからだと説明する。 グレーバーは、”We are the 99%(我々は99パーセントだ)”というスローガンで行われた、201

    『Bullshit Jobs: A Theory(洋書)』どうでもいい仕事を理論化する - HONZ
    maturi
    maturi 2018/07/28
    プロ倫とベーシックインカム