私は経済学者として国内外の大学で教鞭をとったりした後、’13~’18年には日本銀行副総裁として金融政策の立案にも携わりました。そこで、感じたのは「経済を知れば、生活はもっと豊かになる」ということ。そのお手伝いができればと思い、『週刊SPA!』で経済のカラクリをわかりやすく発信していきたいと考えました。 6月から’24年分の所得税・住民税の徴収額から定額が控除されます。対象者は合計所得金額が1805万円以下の人です。減税額は納税者と同一生計配偶者、または扶養親族1人につき所得税3万円、住民税1万円で、合計4万円。家族4人世帯であれば、合計16万円が減税されます。 定額減税の目的は、賃金上昇が物価上昇に追いついていないことによる国民の負担を緩和することにあります。しかし、その緩和策は不十分と言わざるをえません。’24年4月の消費者物価は前年同月比2.5%にとどまっているとはいえ、生活を直撃する