東京一極集中の是正は、長きにわたり重要な政策課題とされてきた。「過密と過疎の同時解消」は「国土の均衡ある発展」を経て「地方創生」に変わったが、一極集中の是正と地方分散を求める声は今も根強くある。そのような声は、かつては道路や鉄道、空港などのインフラ整備を求めるものであったが、最近は少子化への対応と関連づけて是正策が論じられるようになった。 「東京はブラックホール」という議論自体は都市伝説だとしても(各地域の出生率は人口移動の「結果」として決まる指標でもあるということに留意)、首都直下地震のことなどを考えると、東京への過度の集中は好ましくない。もっとも、一極集中是正の対象となる「東京」の範囲をきちんと意識しないと、対応策があいまいなものとなってしまうということを前回の議論で確認した。東京の都心への大学の立地を規制することも一極集中の是正策ではあるが、このような立地規制の結果、都心にある大学の