箱根駅伝が苦手だ。いや、見たくない。嫌いだ。 僕の父親は長男で、弟がいる。僕の叔父だ。この叔父が嫌いな原因だ。 僕の父親は地元で自営業だ。起業なんてものではなく、自営業だ。地方で多少なりともまともに生きようとするなら自営業しかない。圧倒的大多数の中小企業は同族経営で、従業員は人間扱いされないからだ。父は高校卒業と同時にどこぞで働き始め、そのうちに自営業となった。叔父は偶然にも知力が高く、運よく兄がすでに働いていたたため都内のM大学に進学した。 そのM大学が駅伝に出る。毎年、毎年、叔父は楽しそうにテレビで駅伝を見て、大学時代の話を繰り返す。それがいやで仕方がない。直接的には言葉がないが、進学しなかった兄を見下げ、東京と比較して地元をけなし、地元で暮らしている人たちを見下しているとよくわかる。 父に学力があれば、進学したのだろうか。家庭の事情はそれを許しただろうか。それはもう僕の想像でしかなく