この間、仕事仲間と話していたときのこと。 「昨日ちょっと風邪っぽくて、“おうどん”作ったの」 そのひと言で、関西の人だとわかって笑った。 うどんに「お」をつけるのは、関西だけなのだろうか? とにかく大阪の実家ではうどんは「おうどん」だったし、 粥(かゆ)になると「お粥さん」と「さん」付けまでしてしまう。 小さな頃は当たり前で、なんとも思わなかったけれど、 大人になって東京で長く暮らしていると、 懐かしいその呼び方を耳にするとホッとする。 子どもの頃、風邪気味で食欲がないときは、 よく母が「おうどん作ったろか?」と言ってくれた。 その優しい声色と、心細さがすっと消える感覚。 そういうあたたかい思い出が 「おうどん」という響きの中にあるせいか、今でも 疲れたり、気落ちしたりするとうどんが食べたくなって、 誰もいない台所に立ってネギを取り出し、 「はぁ、おうどんでも作ろ……」とつぶやく。 我が家