日本不整脈学会は、ペースメーカーなどの医療機器を植え込んだ患者が亡くなった際の取り扱いの明確化に着手した。まず、ペースメーカーなどを植え込まれた遺体の火葬拒否がどれくらいの割合で起きているのかを明らかにするため、全国の火葬場を対象とした実態調査を月内にも開始する。 不整脈の治療に使われるペースメーカーや植え込み型除細動器は、急激に加熱されると破裂する危険性があり、火葬場によっては、植え込まれた遺体の火葬を拒否しているという。一方で医師側でも、遺体からペースメーカーを取り出すかどうかは意見が分かれている。 同学会では、実態調査の結果を踏まえて、火葬場を所掌する厚生労働省に要望書を出し、省としての指針を通知するよう働きかける。また、ペースメーカーなどを扱う企業団体と協力して、火葬や取り出しに対する考え方をまとめ、学会の会員医師らに周知する。
医療専門職の15団体と、患者団体やジャーナリストなどでつくる「チーム医療推進協議会」。2009年秋の発足後、2年半にわたって代表を務めた日本放射線技師会の北村善明理事(現・協議会顧問)に代わり、4月下旬、日本理学療法士協会の半田一登会長が新代表に就任した。昨年度、協議会の副代表を務めた半田代表は、全日本病院協会(全日病)の西澤寛俊会長と、日本病院会(日病)の堺常雄会長を顧問に据えるなど、組織体制の強化を打ち出した。「チーム医療と、医療の効率化の議論は、分けて考えるべきだ」と指摘する半田代表に話を聞いた。(敦賀陽平) 「チーム医療と医療の効率化の議論は分けて考えるべきだ」と話す半田代表 ―昨年2月から副代表として、約1年間、協議会の運営に携わりました。 37年間の臨床経験の中で、多職種が集まることはよくありましたが、最後にはエゴのぶつかり合いとなり、解散に至るケースが多かった。協議会の発足
社会保障と税の共通番号制度「マイナンバー」を踏まえ、医療分野における情報連携のあり方などを検討するため、「社会保障分野サブワーキンググループ(SWG)」と「医療機関等における個人情報保護のあり方に関する検討会」が12日、合同で初めて開催された。意見交換では、医療情報の利活用と個人情報保護のバランスのあり方などについて意見が寄せられ、厚生労働省の担当者は「利活用と保護は、表裏一体。一方的に保護するだけで、使えなくなってしまうことを目指しているわけではない」と述べた。 同制度は、行政機関などの法定手続きを対象とする一方で、医療機関の情報連携などは含まれていない。政府は国会に「マイナンバー法案」を提出しているが、医療分野は個人の診療情報などを取り扱うことになるため、情報の特性に配慮した措置を盛り込んだ医療分野などの個別法案が、来年の通常国会に提出される予定。同検討会とSWGの合同開催による検討は
全国医学部長病院長会議は7月21日の定例記者会見で、大学病院が大半を占める特定機能病院の外来診療のあり方に関する社会保障審議会医療部会での議論を受け、同会議としての見解を示した。同会議の「DPCに関する専門委員会」の小山信彌委員長(東邦大医学部教授)は会見で、外来診療のあり方を議論する前に、フリーアクセスについて議論すべきだと主張した。 特定機能病院の外来のあり方をめぐっては、6日の同部会で、委員から大学病院で外来患者が増加していると指摘する声が上がり、「原則として、紹介外来以外の外来診療を行わないことも考えるべき」との意見が出ていた。 小山委員長は、「フリーアクセスをそのままにしておいて、外来患者を制限することはおかしい」と主張。「まずは、フリーアクセスについて議論すべき」との見解を示した。 また、同部会の委員に特定機能病院の医師が少ないと指摘。特定機能病院の外来患者数など、エビデン
弁護士の桑原博道氏は7月15日、日本病院学会のワークショップで講演し、「モンスターペイシェント」と称されるような迷惑患者に対しては、コミュニケーションを断つことも必要との考えを示した。そのためには、原則は医師法違反の診療拒否よりも、敷地や建物の「管理権」を行使する方が違法性は少ないと説明した。 桑原氏によると、管理権の行使は、迷惑行為の内容や患者の病態により例外的に違法になるケースもあるが、原則は合法行為。一方、診療拒否は「正当な事由」がない限りは原則、医師法違反で、「管理権の行使の方が、法的な問題は少ない」という。 一方で桑原氏は、コミュニケーションを断つことは「あくまでも例外」とも述べ、迷惑患者を8類型に分け、それぞれに合わせた対応を取るべきだと指摘した。 8類型は、(1)刑事犯型(2)粗暴型(3)反社会的勢力援助型(4)ストーカー型(5)居座り型(6)診療報酬不払い型(7)粘着型
厚生労働省はこのほど、レセプト情報を希望者に提供するまでの当面のスケジュールを公表した。今年5月10、11日に開かれた同省の事前説明会の参加者に向けたもので、7月19日からの事前相談を経て、8月29日から5日間の申請受付期間を設けるとしている。実際に希望者へ情報提供されるのは、11月以降になる見通しだ。 事前相談は、7月19日から8月19日までの1か月間。希望者が提出する「提供依頼申出書」の要件や、添付書類の確認などを主な内容としている。希望者は、同省のホームページに掲載されている「事前相談様式」に質問事項を記入し、メールで提出する。 その後、8月29日-9月2日の5日間に申請受付を行う。提出された申出書について、同省が9月5日から10月21日までの期間に事前審査を実施。申出書の記載事項に不備がないかなどを確認する。不備が見つかった場合には、原則として申請を認めない方針。 事前審査を通
ホームヘルパーがいなければ自分で介護までこなす上、利用者が起こしたトラブル処理のために謝罪にも出向く。それが本来の業務ではないと知っていながら-。そんなケアマネジャーの業務実態が、東京都介護支援専門員研究協議会の調査で明らかになった。同協議会では、関連職種間の業務分担の不明確さや成年後見制度の普及の遅れが、ケアマネの「何でも屋」化を招いたと分析している。 調査は今年3月に実施。東日本大震災の影響が小さいと考えられる近畿地方以西で特定事業所加算を取得している2873事業所から500事業所を抽出し、そこに勤めるケアマネを対象とした。このうち、38.4%に当たる192人から回答を得た。 質問では、利用者が起こしたトラブルへの対応など、担当が不明確な業務について実際に行うかどうかと、その業務が法的にケアマネの業務だと考えるかどうかについて聞いた。 その結果、利用者が近隣トラブルを起こして苦情が
東日本大震災で壊滅的な被害を受けた宮城県石巻市は、市立病院の建物が大破したほか、中心部にある病院や診療所の多くが津波で浸水した。石巻保健所によると、震災から3か月が経過した今も、管内にある42か所の診療所が事実上の休止状態にあるという。こうした中、海から程近い石巻港湾病院(135床)は、8月上旬の完全復旧に向けて準備を進めている。「いつまでも引きずっていられない」―。同僚2人を津波で亡くし、失意の底にありながらも、職員たちは懸命の努力を続けている。 震災発生から間もない3月下旬、石巻港湾病院の入り口付近には、ヘドロまみれになった医療用品が積み重なっていた。受付や薬局などのあった1階部分が浸水し、そこにあった備品のほとんどが使い物にならなくなったからだ。検査機器も損壊したため、当面の間、外来診療は休止せざるを得なくなった。 それから2か月半余り―。あの医療用品の山は、駐車場と駐輪場に姿を
医療介護ニュース > 医療現場 > 医療羅針盤 「支援供給倉庫」を構築へ、連絡協の嘉山氏- 震災から3か月、医療支援のこれから 【第156回】嘉山孝正・国立がん研究センター理事長(被災者健康支援連絡協議会事務局長) 東日本大震災の発生から、きょう6月11日で3か月を迎えた。被災地では、多くの悲しみと不安を抱えながら、それでも少しずつ、復興に向けた歩みが始まっている。医療や介護の現場も同じだ。32の医療・介護団体が参加する「被災者健康支援連絡協議会」(代表=原中勝征・日本医師会長)で事務局長を務める嘉山孝正・国立がん研究センター理事長に、医療支援のこれからを聞いた。(烏美紀子) ■医療支援の需要と供給をマッチング ―協議会には、日医や日本病院会、全日本病院協会など、多くの団体が参加しています。 これまでの医療支援は主に、それぞれの団体や大学、病院などが自主的に、被災地との個人的
朝日インテックは6月9日、狭心症、心筋梗塞などの治療に用いる医療器具「ガイディングカテーテルHA」について、特定ロット番号の製品で先端チューブ部が離断する可能性が判明したとして、同日から自主回収すると発表した。自主回収するのは、2008年7月9日から11年6月1日までに出荷された特定ロット番号の製品で、計4492本。 同社によると、カテーテルの先端部が血管内で離断し、そのまま残された場合、血流閉塞など、重篤な健康被害が発生する可能性がある。現在までに、同製品の先端部が離断し、そのまま血管内に残された事例が1件報告されているが、同事例については既に先端部を体外に排出する処置が取られたという。また、死亡事例の報告はないとしている。
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