油長酒造が棚田の近くに新設した「葛城山麓醸造所」=奈良県御所市で2024年9月26日午後0時15分、小坂剛志撮影 「伝統的な酒造り」が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録される見通しとなった日本酒。国内外で評価が高まる背景には、フランスのワインのように地元産の酒米にこだわる酒蔵のたゆまぬ努力があった。 奈良県西部に位置する御所市の中心部に本社を構える油長酒造は1719年創業の老舗だ。今秋、市街地から離れた里山にあえて新たな醸造所を開いた。油長酒造が挑む新たな酒造りの形とは? 15年で売り上げ10倍に 秋晴れの10月中旬、油長酒造の本社や酒蔵がある御所市中心部から離れた山のふもとで「葛城山麓(さんろく)醸造所」の開所式が開かれた。標高約400メートルの高台にあり、眼下には棚田が広がっている。稲穂が揺れる風景が美しい。 イチオシは、山本長兵衛社長(43)の父親である先代が「地元